隠蔽捜査

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103002512

感想・レビュー・書評

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  • 常にうまく部下を使う方法を考え、同時に、いかにして上司を動かすかを考えなければならない。上に立つ者は、常に判断を強いられる。

    問題が起きたときに、まず何をすべきか、何ができるかを、必死で考えているだけのことだ。無能な上司は、何か問題が起きたときに、それが誰のせいかを追求したがる。有能な上司は、対処方法を指示し、また何かのアイディアを部下に求める。

  • 竜崎伸也は東大卒の警察官僚。
    現在は警察庁長官の総務課長で警視長。
    マスコミ対応を担っている。
    その朴念仁ぶりに、周囲からは変人と呼ばれていた。
    組織を揺るがす連続殺人事件が発生する…。

    警察官僚として順風満帆に出世してきた堅物キャリアの竜崎。
    竜崎の人物像が丹念に描写されていた。
    最初、東大以外は価値が無いと言い切ってしまう竜崎に唖然としつつ、
    嫌だなぁって思っていた。
    そんな時、殺人事件がある法則に則り連続して発生。
    少年時代に重大犯罪を起こし服役し数年で出所した男性が殺害される。
    それは、警察組織を根底から揺るがす事件となる…。
    捜査を指揮するのは小学時代自分を虐めたグループの大将だった同期の伊丹。
    そんな時、家庭では息子が犯罪を犯している事に気付いた竜崎。
    彼のどこまでもぶれない、融通の利かない正義感がちょっと…と、
    思っていましたが、読み進むにつれどんどん魅力的に感じられた。
    真っすぐな生き方に好感が持てました。
    警察という、巨大な組織の前例主義にも与せず、
    国家の治安を守る事、この役割を果たすべく原理原則を重んじ
    本音と建て前を使い分ける事なく、合理的・理性的に判断してゆく。
    息子の事も、一番正しい道・正攻法で守った。
    保身の為じゃなく、信念を持った正論だった。

    竜崎と伊丹の友情も良かったなぁ。
    竜崎の奥様も素敵だった。
    何より、竜崎がとっても魅力的でした。
    シリーズ化されているので、続き読みたいって思いました(*Ü*)

  • 変人と呼ばれるエリート官僚が、馬鹿正直なまでに、愚直に行動する姿が眩しい。シリーズのようなので、機会が有れば続編も読みたい。

  • なるほど、これが原点なのか!渋いけど面白いねぇ。シリーズのタイトルになった「隠蔽捜査」のベースがここに在ることが解った。面白い設定を思い付くものだね 笑。初めはイヤな性格の嫌味な警察官僚だな と感じながら読み進むうちに竜崎伸也46歳がだんだん好ましくなるから面白い。一つ年上の奥さんが素敵なバイプレイヤーになっていて物語をもり立てております♪

  • 大好きです。今野敏さん。
    今回も期待を裏切りませんでした。

    一つ一つの会話が分かりやすく登場人物の個性がよく表れている点、全体を通して一連の繋がりを初心者にも容易に把握させる文章力、まるでドラマを見てるかのように想像力を掻き立てるストーリー、そしてなにより警察官として働く竜崎署長のかっこいいこと。こんな風に、まっすぐ揺ぎない軸を持って仕事ができたらいいなと思う理想の人物像でもあります。でも上司がこんな人だったらやりにくいかもしれない(笑)

    隠蔽捜査シリーズは全て読んでいますが、個人的に3作目があまり好きではなかったので今回4作目の転送には満足です。

  • 隠蔽捜査シリーズ第一弾。
    警察官僚の人間関係、殺人事件、主人公である長官官房の総務課長である竜崎伸也の家族の問題も、同時に進行していく。
    変人と言われる竜崎の警察組織と家族を守る行動に感動すら覚えてしまいます。

  • なんて嫌な奴なんだ…!
    竜崎の最初のイメージはそんなものでした。
    しかし読んでいくうちに、あれ?となり、最後の頃になると素直に応援していました。
    初登場時には颯爽としていた伊丹の印象も変化していき、とても面白かったです。

    どんでん返しがあるような物語ではありませんでしたが、結末はどうなるのだろう!と、わくわくさせてくれる素敵な本でした。

  • この筆者のは初めて読んだ。ま、結構面白い。警察って内部は階級世界なんだろうなあ、とは思っているけど、益々その思いに拍車をかけた。主人公は正義感溢れる、こういう方ばかりがキャリアだといいんだろうけど、実際はどうなのかなあ。

  • これは文字通り「警察」小説である。ただし現場の捜査員などではなく、キャリアの目から見た警察が浮き彫りになっている。読んでいて難しい情報で埋もれそうなものを今野はわかりやすく噛み砕いて提示してくる。続きが気になる作品である。

  • 初めての今野作品でした。

    主人公はキャリアである警察庁長官官房総務課長:竜崎警視長

    原則原理の男で、国を守る使命のためなら家族も犠牲にするような仕事一筋の男。

    連続殺人事件が起き、その被害者達は少年時代、殺人事件を起こし、2~3年で社会復帰してきた元加害者であった。

    連続殺人事件の犯人が現職の警察官の可能性が出てくると、警察庁幹部は事件を迷宮入りさせようと画策するが、竜崎は一人立ち向かっていく。

    最初はこんなキャリアぶった人物が気にくわなかったが、その芯の強さと、実直な性格が、読者にじわじわと好印象を与えると思いますわーい(嬉しい顔)

    こんな警察官僚も悪くないかなあと思いました。

著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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