あなたの知らないガリバー旅行記

著者 : 阿刀田高

• 新潮社 (1985年12月1日発売)

感想・レビュー・書評

[羽さんの感想 · 2018年5月1日]

"「これ、本当にガリバーのお話なの。ぜんぜん関係ないじゃない。小人も出て来ないし」そんな声が聞こえて来そうだ。回り道は毎度のことだが、今回はとりわけ散歩がひどいようだ。" うん、たしかに今回は雑談が多かった。でもガリバー旅行記の粗筋が分かったし、スウィフトが世間を欺く趣味がある人だったことや、彼が書いた『貧家の子女が、その両親ならびに祖国にとって重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案』という長すぎるタイトルの本の紹介なども面白かった。ただ『家畜人ヤプー』の話だけは読んでいて吐きそうになった。

著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」