読始:2008,2,17
読了:2008,2,18
ここ最近で最も出会えてよかったと思う一冊。
鎌田敏夫の作品はこれで5つ目。そして5つ目にして初めて短編集でなく長編?もの。
全て会話で書かれ余分な説明はない。二人の会話から成り立つ。作中に多く登場する「………」がたまらなくいい。
恋愛映画は全部で10章から成り、全てが映画のタイトルである。そして作中にも映画の話が数多く登場する。
私がこの作品が好きな理由として、このような関係に強くあこがれるから。『一緒に映画を見て、食事して、色々語り合える友達。』これってなかなかいない。この映画のあとのおしゃべりがたまらなくいいんです。今見たばかりの映画の批評をするもよし、映画に自分を重ねて理想を話すもよし、とにかく映画を一緒に見ることで共有できるなにかがあるのがいい。ぃゃ少し違う。純粋にいいと感じた一番のポイントは「お互いの世界観を素直に見せ合える関係」だろう。この世にいる人間にはどういうタイプがいるか、映画を通して見事に表現している。
この作品ではそんな関係から恋に発展していく過程も好きです。こんないい友達だからこそ、何度も映画を見に行きたい、一緒に会って話したいと思う。それが次第に相手への恋へと変わっていき、それを自覚する。だが、このままではそのいい友達という関係を失うかもしれない…それだけでなく相手には立派な恋人もいる…
互いに恋しあい、相手の気持ちもわかり、もう会うのはやめようという。だがまたあってしまう…
映画はおとぎばなしであり、自分の本心がかくれている。だが現実ではどうだろうか?何度も話すうちにお互いの本心も、現実との差もわかあう。だがわかりあえるからこそ、どうしようもない気持ちを抑えきれない
結局最後まで2人には肉体関係はなかった。ただ一度のキスだけしか。しかし恋愛は決して体ではなく、どれほど自身をそして相手を理解できているかが、2人の会話で見事に表現されている。
「王子さまとお姫さまが結ばれた後、どうなるんだろうなんて考えるとおとぎ話は成り立たないわ。」
「おとぎ話はハッピーエンドで終わらなければならない」
これはこの作品で結構ポイントになる言葉だったのかもしれない。
終わり方もいい。結局どうなったのかわからずじまい。第十章特に最後は2人の沈黙「………」が多い。だが沈黙によって描かれる余韻がたまらない
あぁ。言いたいことはたくさんあるのにそれが文章としてまとめられない…
この本を読んでみればわかる!!とかそういったものでもない。この共感を押し付ける気はないが、私はこれほどまでに色々なことを感じたってことは書きたかったのに…
思いつくままに書いたから支離滅裂かもしれないけどいいや。これが整理とかして要約されたような手の加えられたものでなく、純粋に感じたことだから
満足度は当然MAX。この作品に出会えてありがとう