一勝九敗

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104642014

感想・レビュー・書評

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  • 2010/11/27
    かなり面白かった!
    会社とはどうあるべきか、成長するにつれてどんな問題が起こるか、どういう状態が好ましいか、などすごい引きこなれた。
    ・仕事をするために組織がある。
    ・肯定と批判が渦巻いてぐらぐらしてるぐらいが丁度いい。
    ・本部と店舗、上司と部下は同等。

  • これほどの成功した柳井氏の苦難の数々を知れて想いが強くなった。
    尊敬していると自負している社長の努力に対する会社の愛情も、より一層深まった。

  • 学び得た事柄。

    ◯目標を1ヶ月・6ヶ月など近未来に設定するのではなく、5年・10年などの時間軸で設定し、そこに向かって全力で取り組む。

  • 2010.9.25-10.05
    図書館

    146Pまで読んで一旦返却

    2010.11.29-12.12
    図書館

    1勝9敗ほど負け越して無い気もするが、ただでは負けない、失敗を教訓にして数々の障壁をひとつひとつ乗り越えていく姿勢は、とてつもなく粘り強さを感じます。

    今後は引退を見据えているみたいですが、引き際としてどういう形になっていくのか注目ですね。

  • 新規事業はリスクの取れる範囲でどんどん挑戦し失敗と判断すればその敗因を次に活かすという明快な姿勢はまさに企業内の生態系に活力を注入し活気を呼ぶに違いない。経営者たるもの見習いたいものだ。

  • 商売人から意識して「経営者」になった。
    意識して人材を採った。

    ビジネスは失敗するもの。ただし致命的な失敗はせずに
    成功の芽を育てる。

    透明評価の実力主義。

    店長こそが最終目標であってほしい。

    いい品質のものを売ろうと思えば、生産まで自前でやるという
    結論に至る。

    同質化=死

  • 忙しいにのによくこんな本を書いたなと感心しました。
    成功し続けるよりも失敗を重ねたほうが企業は成長するという柳井さんの経営哲学が伝わってきます。
    どうやら父親も立派な人みたいですね。やっぱ家庭環境って大事だなってつくづく思います。

  • 非常に簡潔ながらも、ユニクロの興隆史がわかりやすく書かれていたし、成功体験よりも失敗体験を多く生々しく語っている点が良かった。十戒や経営理念23条など、柳井さんの熱さが伝わってくるけど、さすがにお腹いっぱいでもう入らへんって感じ。

  • 【読書メモ】

    ●先生に言われたことで印象に残っていることが二つある。
    一つは、株式公開がすべてでなく、公開できるような実力を持った会社、つまり社会的に認められる会社にしないとこれからの競争社会に生き残っていけない、ということ。もう一つは、社長がいなくてもある程度は会社の経営が回っていくような会社、つまり組織で動ける会社にしないといけないということ。

    ●とりあえずやったことのポイントを並べてみよう。
    まず、会社全体に必要な業務・機能を整理し、本部社員の役割・目標を明確に定め、組織図を書く。
    ユニクロのいままでの成功要因を分析し、今後ますます成長させるための成功要因を検討し、それぞれを目標として設定する。
    ユニクロの標準店舗の規模(売り場面積、売上・在庫規模、人員体制、設備投資額など)を決める。一店あたりの標準損益を設定する。それに基づいて年間の出展計画、販売計画、仕入計画、資金繰り予定表を作る。
    関係会社を整理する。
    月次決算をスピーディに正確に実施する。年度予算と月次決算を比較し差異を分析し、すぐに手を打つ。
    仕入・販売・在庫・店舗運営・出展開発などの各業務管理業務ごとに、不正や間違いを防止・発見するための牽制制度(内部統制制度)作りを実施。同時に仕事の流れをスムーズにするためのフローチャートを作る。
    POSシステム(レジで読み取るバーコードの売上データの管理)の見直しと、商品情報・販売情報システムの新システム導入をする。
    社内管理規定と運用マニュアルを作る。
    新店オープンのマニュアルを作る。出展開発の手順・基準を決める。
    設備投資資金の調達方法を検討する。
    給与体系を整備する。


    ●ぼくは社員に「高い志や目標をもて」とよくいう。人は安定を求めるようになるとそこで成長が止まってしまう。高い目標を掲げて、それに向かって実行努力することこそ重要なのだ。目標は低すぎてはいけない。到底無理だと思われる目標でも、綿密に計画をたて、それを紙に書き、実行の足跡と常に比較し、修正していく。そうすれば大概のことはうまくいく。大切なのはあきらめないことだ。

    ●ユニクロの商品認知度を高めるために、広証上場直後から始めたことがある。それは次の三つだった。
    ・購入後三ヶ月は理由を問わずに返品交換します。
    ・広告商品の品切れを防止します。万一品切れの場合は、そく取り寄せるか、代替商品を手配します。
    ・いつでも気分よく買い物していただくためにクリンリネス(清潔・整頓)の徹底した売り場を作ります。

    ●95年10月には全国紙や週刊誌に「ユニクロの悪口を言って100万円」という広告を出した。へたにコンサルタントなどに聞くより、直接お客様に不満を聞いた方が早いと考え、やってみた。・・・ユニクロの品質向上には、現場学んだ失敗の数々が大きく寄与している。つねに「現場を知る」ことこそ、経営の原点だと今も考えている。

    ●問題は、失敗と判断したときに「すぐに撤退」できるかどうかだ。儲からないと判断したら、その事業を継続すべきでないのは誰にでも理解できるはず。撤退もスピードが大事である。・・・だらだらしていたらその分、損が膨らんでいくばかりだ。失敗に学ぶことと、リカバリーのスピード。これが何より大切である。

    ●企業には成長のステージごとに最適の教育が必要なのだ。(ボトムアップとトップダウン)

    ●ABC(オール・ベター・チェンジ)改革のポイントをまとめると次のようになる。
    「FR(ファーストリテイリング)のイノベーション。作った商品をいかに売るかではなく、売れる商品をいかに早く特定し、作るかに業務の焦点を合わせる」
    「マーケティングを徹底し、マーチャンダイジングと連動して"売れる理由"を売り場で表現することに全エネルギーを集中する」
    「個店対応、SKU管理(色やサイズ別の商品管理)を、最初の企画生産から最終の販売まで徹底し、無駄の排除をする」

    ●ABC改革運動の具体的な施策は、いくつかにまとめられる。
    1.中国の痛く生産工場の集約
    2.専門経営者グループへの移行(「ワンマン体制」から「集団で意見形成」)
    3.店舗の運営思想の大転換(「中央集権」から「自律と自律」へ)
    4.ニュープロトタイプの構築
    5.デザインオフィスを原宿一ヶ所に統合
    6.業績にリンクした給与体系を整備した
    7.雑誌とのタイアップ、駅・電車中吊り広告や品質を問う広告など、さまざまな宣伝製作を展開した。
    8.一週間単位の会議体を確立した

    ●一番いい会社というのは、「社長の言っていることがそのとおりに行われない会社」ではないかとぼくは思う。社長の言っていることを「すべて」真に受けて実行していたら、会社は間違いなくつぶれる。表面的に社長の言うことを聞くのではなく、まずは社長が言いたいことの本質を理解すべきなのだ。現場では自分なりにその本質を見極めどう具体化するかを考える。そして、実行する。これができる会社は本当に立派な会社である。

    ●もし今、日本の企業が長いトンネルの中にいるとすれば、その根本には社会貢献や社会的責任に対する意識の低さも、目に見えにくい要因の一つとなっているのではないかと思っている。

    ●現場からの声で「いつでも本部の人にもっと店舗にきてもらって、店舗の実情を理解してもらいたい」というものがある。しかし、その店舗に行っても、理解しようとする人は理解するが、理解しない人は絶対に理解しない。時間の無駄だ。それよりも反対に、店舗側の人が本部にきて、本部を変えないといけない。お客様の一番近いところにいるのは、店舗の社員たちなのだから。

    ●会社組織も、中央集権的なものからインターネットのような同時進行可能な組織に変わっていくべきだと思う・・・誰が何をやっているかお互いに把握でき、目的が同一であれば仕事も同時進行可能になる・・・インターネット組織を目指し、それに転換できないと、世界的な企業と戦えないばかりか、次世代への生き残りさえ危うい。現状ではまだまだ、クライアントサーバー型だ。

    ●リーダーは、仕事の内容によって変わると考えたほうがいい。仕事によってリーダーになったり、部下になったりする。ただし、部下といっても従来の概念ではなく、自律あるいは自立しているプロジェクトの構成員といったほうがいい。全員が自立し、それぞれが決められた範囲の仕事に責任をもつだけでなく、全体の仕事にも責任をもつ。リーダー像も、何から何まで指示・命令し、いちいち報告させるタイプではなく、プロジェクトの評価の取りまとめ機能を果たし、同時にプレーヤーでなくなければならない。

    ●常時同期化するというのは、いままでは経営学者がよく言う暗黙知、「あうんの呼吸」だったが、これからはそうではない。あらゆるモノに「判断基準」や「評価基準」があって、全員に周知徹底されていて、やった仕事の結果も全部、皆で共有できる。それぞれの評価に関しても、全部公開されている。すべてはっきりと目に見えるものに置き換えていくことが同期化の意味である。

    ●すべての人たちが、一人ずつ"自営業者"としてその会社にコミットする。そういう組織を目指すべきだと思う。その大前提として、経営に対する考え方、経営理念が明確に示され、経営者たちが何を考え、何を実行しているかもオープンになっていることが必要だろう。開かれた活力ある会社にトップダウンのみの一方通行はありえない。将来は、社内とか社外の区別や境すら意味がなくなり、どこまでを社内でやるべきか、どこから社外の人にやってもらうかなどという線引きもなくなるかもしれない。

    ●店長を最高の仕事ととらえ、店長の仕事を全うすれば、本部にいるよりも高収入が得られる。このような仕組みを作らないと、小売業は反映しない。

    ●会社はその成長の度合いに応じて、経営構造や業務分担を全部変えていかないと、次の段階への成長はないと思う。ぼくがいつも考えているのは、今の体制や構造でいいかどうかである。疑問に思ったら、しつこくそれを考える。・・・「いま、向かっている方向は間違っている。だから、こういうほうがいいのではないか」とまずは警告を発することにしている。ぼくが言った言葉の真意は当初は理解されなくても、徐々に気付くようになる。全員がその意識になって実行されるまでには時間が掛かるものだ。このタイミングを見計らって、「こういうふうに変更しましょう」と今度は具体的に指示する。当社はこういったことを繰り返してきた。経営者の役割とはこういうものだとも思う。

    ●社会も会社組織も、結婚や出産をある意味でのハンディキャップと認めて、環境作りや制度の整備を積極的に実践していかなければ、この慣習はいつまでも解消されない。

    ●「性差」を認めあいながら、対等な立場で仕事をする。それが実現すれば女性の活躍する場も、可能性も拡大するだろう。

    ●商売というのは、現状があまりうまくいかないときに、「だったら、どうやればうまくいくのか」ということを徹底的に考えるということであり、成功したと思った時点でだめになるのだと思う。

    ●一つだけ注意しておきたいのは、挑戦と実行を支える「覚悟」があるかどうか、ということだ。当社の社員たちは頭で勉強している人が多いので、ビジネスモデルや戦略計画という部分ではまったく申し分ない。しかし、それだけでは机上の空論に終わってしまう基幹性が或る。実際に泥にまみれて「現実」というステージの上でやっていけるかどうか。これが最終的には問われることになる。挑戦と実行には必ず次々と難題が降りかかってくる。そんな現場で最後まで手を抜かずに、責任を持ってやり遂げられるのか。これが以外に難しいのだ。・・・それではその「覚悟」はどうすれば身につくのか、実際に自分で会社を回してみて学び取り体感する以外に方法はない。そんな「覚悟」を持って仕事と取り組んでいるかどうかを、これからもおリアルごとに全社員に問いかけていきたい。

    ●ぼくは失敗するのであれば、できるだけ早く失敗するほうがよいと思う。早く気付いて、失敗したということのひとつひとつを自分自身で時間する、そこが一番大事。その次に、失敗しないようにするにはどうやっていくかを考える。そこで「工夫」というものが生まれる。ほとんどの人が、失敗しているのに失敗したと思わない。だから余計失敗の傷口が深くなる。

    ●一般には、ぼくは成功者と見られているようだが、自分では違うと思っている。本書でも触れたように、実に「一勝九敗」の人生なのだ。勝率でいうと一割しかない。プロ野球のピッチャーではすぐに二軍落ちは確実だ。もし、これでも成功と呼べるのなら、失敗を恐れず挑戦してきたから今の自分があるのだろう。野球でも盗塁の成功率が高いチームは、盗塁をねらって走る回数が非常に多い。刺されることを考えていては走れない。走れば走るほど盗塁成功率が上がってくる。経営にも同じことが言えよう。


    ●起業家十戒
    1.ハードワーク、一日24時間仕事に集中する。

    2.唯一絶対の評価者は、市場と顧客である。

    3.長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない。

    4.現実を知る。その上で理想と目標を失わない。

    5.自分の未来は、自分で切り開く。他人ではなく、自分で自分の運命をコントロールする。

    6.時代や社会の変化に積極的に対応する。

    7.日常業務を最重視する。

    8.自分の商売に誰よりも高い目標と基準を持つ。

    9.社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ。

    10.つぶれない会社にする。一勝九敗でよいが、再起不能の失敗をしない。キャッシュがつきればすべて終わり。


    ●経営者十戒

    1.経営者は、何が何でも結果を出せ

    2.経営者は明確な方針を示し、首尾一貫せよ。

    3.経営者は高い理想を持ち、現実を直視せよ。

    4.経営者は常識に囚われず、柔軟に対処せよ。

    5.経営者は誰よりも熱心に、自分の仕事をせよ。

    6.経営者は鬼にも仏にもなり、部下を徹底的に鍛え勇気づけよ。

    7.経営者はハエタタキにならず、本質的な問題解決をせよ。

    8.経営者はリスクを読みきり、果敢に挑戦せよ。

    9.経営者はビジョンを示し、将来をつかみ取れ。

    10.経営者は素直な気持ちで、即実行せよ。


    ●経営理念23カ条

    1.顧客の要望に応え、顧客を創造する経営

    2.良いアイデアを実行し、世の中を動かし、社会を変革し、社会に貢献する経営

    3.いかなる企業の傘の中にも入らない自主独立の経営

    4.現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に変化する経営

    5.社員ひとりひとりが自活し、自省し、柔軟な組織の中で個人ひとりひとりの尊重とチームワークを最重視する経営

    6.世界中の才能を活用し、自社独自のIDを確立し、若者支持率No.1の商品、業態を開発する、真に国際化できる経営

    7.唯一、顧客との直接接点が商品と売場であることを徹底認識した、商品・売場中心の経営

    8.全社最適、全社員一致協力、全部門連動体制の経営

    9.スピード、やる気、革新、実行力の経営

    10.公明正大、信賞必罰、完全実力主義の経営

    11.管理能力の質的アップをし、無駄を徹底排除し、採算を常に考えた高効率・高配分の経営

    12.成功・失敗の情報を具体的に徹底分析し、記憶し、次の実行の参考にする経営

    13.積極的にチャレンジし、困難を、競争を回避しない経営

    14.プロ意識に徹して、実績で勝負して勝つ経営

    15.一貫性のある長期ビジョンを全員で共有し、正しいこと、小さいこと、基本を確実に行ない、正しい方向で忍耐強く最後まで努力する経営

    16.商品そのものよりも企業姿勢を買ってもらう、感受性の鋭い、物事の表面よりも本質を追求する経営

    17.いつもプラス発想し、先行投資し、未来に希望をもち、活性化する経営

    18.明確な目標、目的、コンセプトを全社、チーム、個人が持つ経営

    19.自社の事業、自分の仕事について最高レベルの倫理を要求する経営

    20.自分が自分に対して最大の批判者になり、自分の行動と姿勢を改革する自己革新力のある経営

    21.人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営

    22.相乗効果のある新規事業を開発し、その分野でNo.1になる経営

    23.仕事をするために組織があり、顧客の要望に応えるために社員、取引先があることを徹底認識した壁のないプロジェクト主義の経営

  • 柳井さんのユニクロに対する想いがよくわかった。
    また経営者として必要なこと、大事なことを教えてもらった気がする。
    やはり高い志や目標をもつことが大切。

    ファストリの経営理念は23条ある。
    最初は多いなと感じたが、実際内容を見てみるとどれも大事なことが書かれている。
    あとはこれをいかに社員と共有できるか。これが重要。

    やっぱり、なにより自分の想いが大切です。

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