- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105063610
作品紹介・あらすじ
良き地獄か、偽の天国か…中国の将来を予言する衝撃の近未来小説。中国で発禁処分を受けた問題の書。
感想・レビュー・書評
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失われた28日間を巡るある種ミステリーのような要素と、中国の歴史・発展・展望が絡み合う物語。
とにかく注釈が多く、中国通でない人には、もはやこれが現実の話なのか架空の話なのかすら分からなくなってくるほど。それだけリアリティに溢れた話だった。時折教科書を読んでいるような気分になるけど、そこは「失われた28日の謎」という本書最大の謎解きが知りたくて読み進められた詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国版1984年といったところか。物語としてはもう少し工夫が欲しかったが、内容の濃さと深さは一級品だ。どこからどこまでが実際に起こったなのかフィクションなのか、詳しい人でないと分からない。中国現代史にある程度知識がないと、理解は難しいかもしれない。
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一応はフィクションなんでしょうけど主人公は作者自身とおぼしき設定です。書かれている内容もかなりの部分、作者自身の体験に基づくところではないかと思われます。ですから小説の体裁を借りたドキュメントという感じです。なので、小説らしいストーリーがあるわけではなく、何か大きな事件があるわけでもなく、中国の現代の反映とその矛盾を鋭くではなく、鈍くえぐった作品だと思います。都市の庶民は政治的な部分で多少我慢をすれば、世界的な不況を尻目にひとり好景気を謳歌する中国でそのおこぼれにあずかれるわけで、暗部に目が行くのは一部の人たちだけなのかもしれません。それこそ中国政府からすれば寝た子はそのまま寝ていて欲しいと思っているところへ、こんな作品が出版されたのでは堪ったものではないでしょう。政府の方針に疑問も持たず、人々がハイな状態で焦れるのは水道水に薬品をこっそり混ぜているからだという暴露は案外フィクションではなかったりして、と思わずにはいられません。