- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105065713
感想・レビュー・書評
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iPhoneとandroidの開発競争を描いた力作。ビジネス書として購入したが、想像よりもずっと読み応えのあるルポだった。最初からずっと面白いが、Apple製品の中でiPodやiPhoneよりもiPadが「コンバージェンス」(ITとマスメディアの融合)を実現したという点で最も大きなイノベーションだったと評価している点が面白かった。個人的にタブレット端末の面白さに気づいたのが最近だったのでなおさら説得力を感じた。
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アップル vs グーグルという題名だが、内容はiOSとandroidのプラットフォーム戦争の話。ジョブス健在の頃、グーグルの会長はアップルの社外取締役だったわけですが、グーグルの社内には買収したandroid開発チームもあったので、なんとも言えない状況だったのだと理解できました。
しかし、この本の原題はdogfightなので、二匹の犬の闘争のように二社が争っていくことで、結果的にテクノロジーが進んでいくのだろうと感じられた。 -
見落とされがちだが、アップルが直接グーグルを訴えた例はない、という指摘に虚をつかれた。無料でプラットホームを提供しているだけで訴えにくかったのも要因なのだが、ジョブズがどうしてシュミットをアップル取締役に置き、直前まで騙されていることに気づかなかったのかの検証を読むと合点がいく。控えめで、もめ事を巧みに避け、顧客情報収集などの追及にも簡潔に釈明する「最高説明責任者」。この狸にはマイクロソフトも騙されている。彼がどうしてこんな争いになったのかわからないと嘯くと、アップルは「かさぶたをうがされる」思いらしい。
アップルによるiTunesを軸にしたコンテンツ・プラットフォームの砦に戦いを挑んだマイクロソフトをはじめとする競争相手がことごとく失敗し、それまでとは次元の異なるゲームを挑んだグーグルが真のライバルとして残った要因もよくわかる。
アップル対グーグルの闘いは、従来の「プラットフォーム戦争」とはならない可能性も指摘する。かつては、ひとつのプラットフォームでしか動かない高額なアプリが資産となって乗り換えを難しくしていたが、無料で複数のプラットフォームで使えるアプリが増え、クラウドにデータを置いておける昨今では、乗り換えのコストはかつてなく小さくなっている。
結局、勝者はどちらなのか? 著者はグーグルが優勢とみる。携帯電話やタブレットのシェアで押され、株価もかつての勢いはアップルにない。しかし、だからこそ次の革新的な新製品を期待する。それはiPadの例があるからだ。単にiPhoneを大きくしただけと冷ややかな反応だった製品が、数千億ドルの新たな市場を創り出したのだから。グーグルはその土俵で戦っているだけなのかも。
アップルを去ったスコット・フォーストールに対する評価は手厳しい。ファデルとの不毛な争いも、スコットの狭量で自己愛の強い性格に原因があるとする。ジョブズに愛されたのは単に、その才能ゆえではなく古参で同時期にそれぞれが体の不調に苦しんでいたためだと。現時点では彼を悪く言う証言しか集まらなかったのかもしれないが、著者があれほど絶賛するiPadの責任者は彼である。 -
スマートフォン戦争の裏事情がおもしろすぎて、分厚い本だったけど、一気読み!かなりおすすめ!
今や当たり前となってしまったスマートフォン。
ずっと前からあるような気がしてるけど、本格的に日本で普及したのは、ここ5年くらいでしかないんだな、と。
そんな短期間の間に、濃密度な戦いがシリコンバレーで繰り広げられていたとは!
以前から思っていたんだけど、非常に興味深いのは、ジョブズの発想と、GoogleもしくはMSもしくはオープンソースの発想。
完全にコントロールされた環境で最高の体験を主張するジョブズ。
世界は自由なんだ!自由な世界でいろんな体験してみようぜ!を主張するGoogleもしくはMSもしくはオープンソース。
相反する思想ではあるけれど、どちらも共感できる部分はある。
たぶん、どちらかが唯一の最適解なのではなく、この2極の間をふらふらとしながら、世界は進んでいくんだろうなと、そう、思う。 -
しっかり取材してていい感じ