- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105072711
感想・レビュー・書評
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感想
自己犠牲と固定的役割に裏打ちされた母親像。子供から大人まで無意識に押し付けている。母親たちの主観的な吐露が胸に深く刺さって抜けない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
"社会が「母であること」について母に許容する唯一の答えは「私は母であることを愛しています」だけなのだ。"(p.76)
"女性も男性も自分のための時間を見つけるのに苦労するのは同じだが、無限に世話が続く感覚を報告するのは、たいていは母である。母は、離れたり休憩したりする機会が非常に限られている一方で、ほとんどの父親は逃げることができるし、実際にそうするのである。"(p.184)
"もしもパートナーの男性が、全身全霊でコミットしないのなら―〔母親になるのは〕やめなさい。どんな状況であっても。"(p.274) -
自分とは真逆の意見を知りたくて、読んでみた。
訳がちょっと苦手な感じで読みづらくて、ところどころ飛ばしてしまった。
インタビューに答えている女性たちは「母親になったこと」を後悔しているだけで、子どものことは大切で愛しているし、ちゃんと子育てもしている点は救いだった。
子どもにだけは、「生まれてきてよかった」と思ってもらいたいから。
たしかに女性は「母親になれたことに喜びを感じていないわけがない」と当たり前のように思われているので、そうでない人にとっては生きづらいだろうなと思う。
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産んでしまったらもう自分の人生には戻れない。まさにこれ。
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女性だから、無条件に子どもが欲しい・好きというわけではない。そういう気持ちがあったとしても、悪いことではない。自分の気持ちを大切にして生きていける世の中になってほしいと思った。
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どの仕事にも向き不向きがあるように、母親という役割にも向き不向きがあって、ただ仕事と違って、辞めることはかなり難しい。そんな中で、ネグレクトや虐待の問題が生じているんだと思う。
子供でも気軽に入れる寮みたいなものがあって、社会で育てる仕組みがあれば、いいのかなと思った。
向いてないこと、嫌なことをさせられ続けるのは辛い。
母になったことを後悔することは認められていい感情だし、仕事ができる向いていないから辞める人もいれば続ける人もいて、選択肢があることが必要だと思う。
私も今現在は後悔していないけどいつか心から後悔するかもしれないし、逆に研究に参加したに女性たちが、いつか心から感謝するかもしれない。私の周りにもそういう人がいるかもしれないと思って生きていこうと思った。
ネガティブな面もあることを知ってから決断することは選択の基本なのに、あまり語られないから貴重な本だと思う。
出産も結婚もメリットデメリットたくさんあるから、いろいろ本を読んだり体験談たり情報収集して、最終的には自分で期限を決めて、直感を信じてノリと勢いで、決断する必要があるなと思う。
決断できなくても、妊娠して産むという体験がしたいわけでなければ、養子として子どもを持つこともできるし、期限を決める必要はないのかもしれないけど。
人に情報提供することはあっても、決断を押し付けることは不適切だし、今までの自分の振る舞いを猛省する。 -
全体的に訳のせいなのか読みづらかった。
【母になったことは後悔してるけど、子供のことは愛してる】っていう気持ちに深く共感した。
子どもそのものは紛れもなく可愛いし、大好きなのだけど、母でなかったらあったはずの時間・自由に焦がれてしまうのである。
子どもが早朝に起きて起こされる。
母親でなければゆっくり寝られたのに。
この子がいなければではなく、母親でなかったらなのだ。ゆっくり寝てる父親を横目に。
母親でなければ仕事を思いっきりできたのに。
母親でなければ子供の体調不良で仕事を休まずに済んだのに。
母親でなければ観たいテレビを存分に観れたのに。
などなど母親の苦悩は挙げればキリがない。
子どもがいる幸せはあっても、
母であることの幸せは少ないのだ。 -
タイトルだけで敬遠され嫌悪も抱かれそうだけど、全ての女性に読んでほしい。そして自分の置かれている社会的状況、親子関係、夫婦関係を今一度見直してほしい。自分も周りもそれが母親として当たり前、ではなく考えてほしい。女性として母親になる、ならない意味を。
今ある聖母信仰がある限り、母親になりたくない人たちを責めても少子化は止まらない。変えるためにはどうしたらいいんだろう。みんながそれを考えなければ。 -
まず深く入り込まず、タイトルに引きずられ浅く読むと、拙速に以下のように思うだろう。
「女性は子どもを生む機械」と言った昭和の政治家や、その系譜を脈々と受け継ぎ、なんとしてでも少子化を止めるために、見当はずれな、女性の感情の機微に疎い、というかまったく理解できない現代の政治家たちに「読め!」と。
彼らは少子化をふせぐ、ただそのために出産したら一時金、そしてさまざまな具体的になりつつある子育て支援のほかにも、子どもをもうけ育てる一つひとつの行動に何万ポイントも付与してくれそうだ。
しかし、この本は「母になりたくない」と公言しているイスラエル人の女性社会学者が、彼女のその思考、気持ちの発信にも触れ集まった人も入れ、わずか23人の母(もう祖母になっている人もいる)のインタビューをコアとした本であることを見落としてはならない。
研究論文としては母数が少なすぎるし、著者のバイアスがまったく入っていないとは言えない。
ただ見落としてはいけないのは、シングルマザー、不親切なパートナー、男性優遇の社会、子どもを持つのが当たり前という同性からもある圧、出産・育児と両立困難な仕事といった因子抜きでも「母親になって後悔している」女性がいることだ。
女性が誰でも、結婚、出産、育児が好きだと思う、昭和レベルの思考の持ち主は減りつつあるだろう。だが母性を疑うひとはまれではないか。
この本に出てくるインタビュー対象者は、紹介されている範囲で、「母親になって後悔している」と子どもが好きなことは両立していると話している。非常に興味深い。
ただまだ、この本だけではなんとも言えない。
たまたまそういった考えの23人の女性がいただけかもしれない。
少なくとも一般論というには無理がある。
わたしたちが願うべきことは、早くイスラエルだけではなく、さらに的確に世界中の国々で同じ調査をもっと大規模でおこなわれ、結果が精査され、発表されるのを待つことだ。
あるいは研究に協力する。そういったことだ。