それでも母親になるべきですか

  • 新潮社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105073718

作品紹介・あらすじ

産んでよかった。産まなくてよかった。私たちの感情は狭間で揺れ動く。かつて当たり前の存在だった「子のない女性」は、いつから「解決すべき問題」になったのか。産業革命や戦争、不景気、宗教、環境問題、医療などが、いかに女性の人生を翻弄し、その選択を変化させてきたかを描き出す。社会が突き付ける選択の裏にある女性たちの語られざる思いに迫り、現代の常識から女性を解き放つ一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙もタイトルも、『母親になって後悔してる』に似たこちらの作品。書店で平積みにされているのが目に入り、気になってしまい手に取ってみた。
    目次は以下の通り。
    イントロダクション:私たちは子どもを産みません。なぜなら…
    1章 いつも選択してきたから
    2章 助けてくれる人がいないから
    3章 すべてを手に入れるのは無理だから
    4章 地球環境が心配だから
    5章 物理的に無理だから
    6章 子を持つ以外の人生を歩みたいから
    結論:では…すみませんが、「産むべき理由」を教えてもらえますか?

    いざ読み始めてみると、『母親になって後悔してる』同様、なかなかの難読作品。
    各章は、多角的視点から母親にならない選択を取る理由を述べている。イントロと1章まで読み終え、難読かつ2~4章のへ関心がそこまで高くない為、一気に6章へスキップ。
    よって、以下はイントロ、1章、6章、結論のみ読んだうえでの感想です。

    目次だけを眺めると、母親にならないという選択を取る"現代"の考え方及びそうした選択を取る女性にスポットライトが当たっている作品なのかなと思いきや、実際には、"過去"の実在した女性陣(母親になることを選択しなかった女性の生き方)にスポットライトが当たった作品だった。以下、印象に残った個所をいくつかピックアップ。

    ・P40~"私たちは、これまで思い込まされていたほど、違っていないのだ。自発的に子どもがいない女性か、不本意ながら子どもがいない女性か。あるいは子どもがいないことを喜んでいる女性か、不妊に打ちのめされている女性か。私の知り合いの子どものいない女性には、社会が当てはめたがるカテゴリー内にきっちり収まる人は、ほとんどいない。産む・産まないの状況には、大小の悲しみがともなっている。"
    本当にその通りだなと身に沁みる。 一つの事象・側面だけを見て、勝手に他人をカテゴリに分類することの押しつけがましさ、不快感、怒り、悲しみ。ここで味わった感情を忘れず、自分も当てはめる側の人間にならないよう気を付けたい。

    ・P52~"産まない理由は常に存在し、その方法は常にあった。 手元の歴史的証拠が示すのは、女性たちには、子どもを産んできた歴史と同じ年数だけ、子どもを産まない歴史もあったということだ。"
    (上記に加え、処女を誓った女性の話や、避妊薬・中絶薬の長い歴史を受けて)母親にならないという選択は、確かに昔から存在したが、当初それは周囲からの反対、蔑み、誹謗中傷の対象であり、そうした波風に耐えてきた女性たちによって徐々に築き上げられてきたという歴史的背景があった。こうした歴史があったうえで、産む・産まないの選択ができる現代に生きていることに感謝すべきなのかもしれないが、正直なところ、選択肢があるというのは、辛い面もあると感じる。この先母親になる可能性もあるし、考え方が変わる可能性は全然あるけれど、29歳現時点での自分の想いとして、"選択肢があることに対する複雑な気持ち"はここに記し残しておきたい。

    ・P235~"子どもを産んできた歴史と同じ年数だけ、子どもを現代生活のプレッシャーや不安や危険に対する考慮が不十分なことを考えると、親にならないという決断は、完全に合理的であると言えなくもない。むしろ、子どもを持つ決断のほうが、もっと説明が必要なのではないだろうか。自分の選択を正当化することを期待されている。"
    本当にその通りだわ。

    ・P237~"ママ領域とは、SNSで家庭や結婚生活、子どもたちを紹介することで(時には大きな利益を生む) ビジネスを展開する女性たちの、拡大し続ける世界のことだ。…。そういった家族を私たちが目にするのは、テレビ、映画、それからインスタグラムのようなSNSのプラットフォームである。そこは、「母性ビジネス」という絵に描いたような完璧な家族を最大の商品とする営利事業の最高のプレゼンテーションの場になっている。"
    母親でもないのに、私もインスタで結構見てしまう。「ママ領域」「母親ビジネス」なるほどな~。

    ・P242~"この本を書くのに費やした年月が私の心を柔らかくし、とりわけ私の人生に関わってくれた母親たち、両親たちに対しての態度が和らいだ。 そもそも私が、子どものいない女性の価値や功績について書きたかったのは、自分たちのことをもっと評価してほしい、と思ったからでもある。"
    "私は、子どものいない人、とりわけ女性たちに降りかかるさまざまなことに、いらいらし、腹を立てることさえあった。特に職場では、親が保育園の送迎や夕食に出かけた後、ひとりでイベントの後片付けをしたり、誰かの産休のために自分の仕事が大変になったり、保育の手配がうまくいかなかった誰かの作業を肩代わりしたり。子どもがいないからといって、私が忙しくないわけでも、疲れていないわけでも、大切な用事がないわけでもないのにと、苦々しく何度も思った。"
    めちゃくちゃ共感!この気持ち、痛いほどわかる…。

    P249~"社会が私たちを分断しようとするなかで、私たちにできる最も過激なことは、互いに向き合い、互いを家庭や生活や家族の中に招き入れることかもしれない。…。「私たちは、解放の共有と引き換えに、相互依存を申し出なければならない。異なる場所で、異なる人々に、異なる方法で、何度も何度も申し出て、それが意味を持ちはじめることを望む」
    素直に、素敵な考え方だなと思えた。海外では、お金持ちの俳優やモデルが養子を迎え入れているのがよく見受けられる。養子縁組はここで筆者がいう「相互依存」の一つの方法に過ぎないかもしれないが、こうした制度・文化がもっと一般的になったらいいなと思う。血の繋がり≒母親(父親)という概念を取っ払い、できる人が子育てするという概念が普遍的なものになれば、母親になったことを後悔する女性は減り、一方で、様々な理由で母親になりたかったけれどなれなかった女性は、他人の子だから…という引け目を感じることなく、子育てを通して得られる感情を味わうことができ、win-winの関係になるんじゃないかなと思う(すべてがそう上手くはいかないのかもしれないけれど)

    そもそも新書を読む機会が少ない中での比較になりますが、筆者が文献で得た情報(生データ)の比率が高いように感じました。
    2~4章を読んでいないので、評価(★)は未登録にします。

  • 『母親になって後悔してる』翻訳者・鹿田昌美さんインタビュー - りっすん by イーアイデム
    https://www.e-aidem.com/ch/listen/entry/2022/08/17/103000

    'Natality' and 'Without Children' offer sane explanations for birth rates - The Washington Post
    https://www.washingtonpost.com/books/2023/04/27/natality-jennifer-banks-without-children-peggy-odonnell-heffington/

    Peggy O'Donnell Heffington
    https://poheffington.com/

    榎本マリコ/ Mariko Enomoto(@mrkenmt_tmk) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/mrkenmt_tmk/

    ペギー・オドネル・ヘフィントン、鹿田昌美/訳 『それでも母親になるべきですか』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/507371/

  • 子どもがいない人生は、これまでも決してめずらしくなく、ますます一般的になりつつある。経済もケアもすべて核家族が担う現代、子どものコストは高い。少し前にはファミリーやコミュニティがケアしていた時代があった。

    「母親になって後悔してる」と表紙イメージが似てると思っていたら、同じ訳者さんでした。各論点に対して、俯瞰的に説明されていて、納得感がありました。

  • 子どもをもたない(主にアメリカの)女性の歴史を丹念にリサーチして書かれた本。

    ノンマザーとして生きる上で何か新たな気付きがあるかもと期待して読みましたが、論文を読んでいるかのような文章の難しさと語られる過去の出来事の範囲の広さに宇宙猫になりました。

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