レニーとマーゴで100歳 (新潮クレスト・ブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901783

作品紹介・あらすじ

少女とおばあちゃんは絵に描く合わせて100年分の美しき人生を「なぜわたしは死ぬことになっているの?」終末期病棟の礼拝堂で、17歳のレニーは神父を詰問して困らせる。好奇心旺盛で何事にも前向きの少女は老人向けアート教室に入り、83歳のマーゴと計画する。1年に1枚ずつ、2人の人生を100枚の絵に描くのよ――。デビュー作にして世界中で大絶賛を浴び、映画化も決定した心温まる物語。

感想・レビュー・書評

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  • なぜだろう?
    重いテーマを扱っているのに暗さがない。

    余命わずかと知っている17歳のレニーと83歳のマーゴ。レニーは死をすごく怖れている。
    偶然知り合った2人が絵を描きながら自分の生い立ちを語り合ううち、それぞれが家族について悲しみの過去を抱えながら生きてきたことが徐々にわかってくる。見事な構成。これがデビュー作とは!

  • 2022年 アレックス賞発表【Youth Media Awards】 | Librarian Nightbird
    https://ameblo.jp/librarian-nightbird/entry-12723431097.html

    Marianne Cronin - Author(@itsmariannecronin) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/itsmariannecronin/

    マリアンヌ・クローニン、村松潔/訳 『レニーとマーゴで100歳』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/590178/

  • 17歳の少女レニーと83歳のマーゴット、終末期患者の病棟で出会い、2人合わせて百歳であることを祝い、これまでのそれぞれの1年の思い出を語り1枚の絵に描く。命の終焉が迫っているにも関わらず、いや死を常に意識せざるを得ないからこそレニーもマーゴットも燃え尽きる前の蝋燭のように生き生きと輝きながら、人生という贈り物を友情と愛で鮮やかに彩る。
    Your heart is beating and your eyes are seeing and your ears are hearing. You’re sitting in this room completely alive. And so you’re not dying. You’re living.
    「あなたの心臓は動いているし、 目は見えているし、耳は聞こえている。あなたは完全に生きた状態でこの部屋に坐っている。だか ら、あなたは死にかけているわけじゃない。あなたは生きているのよ」

  • 病院内のアートセラピーで出会った17歳の少女レニーと83歳のマーゴは、出会った瞬間友達になった。
    2人の年齢は合わせて100歳!
    そのことに気づいた2人は(もうすぐ死ぬと言われている2人は)、自分たちの100年分の人生を絵に描こうと思いつく。
    この物語はそんな歳の離れた2人の、人生と愛と絆の物語だ。

    作者の友人などが評するように「面白い(ファニー)」な作品(私はレニーとマーゴのユニークさが好きだ)だが、彼女たちの振り返る人生は酸いも甘いも苦みもあり、切なさもある。面白いが、けして面白いだけではない。喪失や悲しみもあるのだから。
    ーマーゴは何しろ83歳だから、その分たくさんの出会いと別れと二度と戻らない存在と、心の中に愛する人を残して…たくさんの思い出がある。ー
    何より2人は死にかけていてー特にレニーはまだ17歳。「わたしはなぜ死ぬの?」とアーサー神父に切実に問うこともある。それでも彼女の心は自由で、残り少ない生命を全力で駆け抜けるべく、絶対安静の状況になってもやりたいことをやろうとする。
    そういった描写は、裏表紙で梨木さんが評しているように、「これは明らかに「健康な」「若い人」が書いたフィクションである」。
    レニーはとても終末期患者には見えないし、物語の最初は病院内をちょこまか動き回っていて、長いこと入院していたわりに容態の悪化も急だ。
    しかしフィクションだからこその、彼女の終末期患者らしくない振る舞いが、彼女のように生き抜けたら…と勇気をくれる。
    そんな彼女たちの100年分の人生は濃厚だ。

    病院という、特に容態の悪い彼女ら(特にレニー)には、多くの制限がある。変化のない病棟では、時間の流れにも鈍感になる。
    その中でユニークなことを思いつき、精一杯やりたいことをやり、お互いの物語を語り合い、お互いの物語のなかに旅をするレニーとマーゴ。
    そして2人を温かく見守り、応援する、同じくアートセラピーを共にする他の80代の患者たちや、レニー担当の新人看護師に、アーサー神父。
    彼女たちの心の中に大切にいる家族たち。
    彼らがあってこそ、レニーもマーゴも、美しい人生を胸に抱いていられたのだと思う。

    「あなたに会うまで、死にゆくのがこんなに楽しいとは思わなかった。」

    最後の最後に、そんな彼女の気持ちが沁みてくる。
    彼女たちの人生に祝福を…。
    いや、祈るまでもない。
    彼女たちに祝福がなければ、誰にあろうか。

  • 終末期患者の17歳の少女レニーと83歳の老婦人マーゴが出会い、ふたりで100年分の人生を100枚の絵に描く。
    マーゴの人生が波乱万丈に描かれているのに対して、レニーの振り返る学校や家庭の話は少なく寂しく、病院での出来事が中心になる。病院の時間が長いことがわかる。
    ふたりで100歳100枚の絵だから、83対17の数の差がつらい。もしレニーがマーゴの年齢まで生きることができたらいろいろ体験をして美しい人生があったはず…と考えてしまう。
    レニーはマーゴの話を聞きながらその人生をなぞることで、得られない人生を生きたのだ。
    死に確実に向かいながら怖じ気づかないようにユーモアを持って立ち向かおうとするレニーがいとおしく切ない。現実は厳しく死への歩みの描写に胸が潰れる。マーゴの最後の言葉は「あなたは死ぬことをはるかに楽しいものにしてくれた」穏やかな気持ちで本を閉じた。

  • 17歳の終末期患者レニーと83歳のマーゴ。

    全体的に暗くはなく、むしろキラキラ眩しいくらいに輝いているのに、涙が止まらなくなる…。

    人生色々あるけれど、生きるっていいな、と思わせてくれる小説。
    わたしもこういう濃い人生を送りたいな、と思わせてくれる小説。
    そして、(わたしも含め)きっとどんな人も実はこういう豊かな濃い人生を送っているんだろうな、とも思わせてくれる小説。

  • 最近読んだ外国文学3作品(「年年歳歳」「過去を売る男」と当作)はブクロクでの評価が高かったので楽しみに読んだのだけれど、やはり、とても良かった。良いと感じる物語は色々な要素を含んでいて、且つ、一つ一つの要素が深いので、読後に様々な感情が湧き上がってきてまとまりがつかなかったり、余韻に浸っていたかったりで、なかなか感想を書きにくい。
    上質な物語に出会えたことに感謝。

  • 終末期医療で入院している17歳のレニーは、アートセラピーの教室で83歳のマーゴと知り合い、互いに共感をする。二人の年齢を足すと100歳、それに合わせて二人で100枚の絵を描く。そして、その絵について相手に話す。17年しかないレニーの人生。一方マーゴの人生は波乱万丈。共に死を間近に感じている二人の共鳴感に、ヒタヒタと感動が押し寄せる。共に死を迎える二人なのだが、イキイキと感じられる。それだけに、後半はやはり哀しい。哀しいけれど、清々しさも感じた。

  • 17歳の少女レニーと83歳のマーゴ。終末期病棟で出会った2人が合わせて100年の人生を100枚の絵にして残すという計画を立て、1枚の絵を描くごとに、絵にまつわる人生の1コマを相手に語ってゆく―。

    最近、10年来のママ友が旅立った。
    彼女もこんなふうに旅立ててたなら…
    とは思うものの、無念さは尽きないだろう。
    私も無念。

    機知に富んだレニーのやりとり、深い愛に満ちたマーゴのやりとりー
    表紙の帯にあるように、死にゆくのが楽しいという境地はわからないけど、心穏やかに死ぬ、見送るというのは最高に幸せだな、と思った。
    じんわり感動。

  • 死を目前にした17歳と83歳が、病院の絵画クラスで、互いの来歴を絵にして見せ合い、あわせて100年の豊かな人生が語られていく。
    これがデビュー作とは思えないキャラ造形、交互に描かれ巧みに構成された物語。
    母に去られ父をも拒んで、若い死に向き合う勇敢でひねくれたレニー。夫を次々に失い、ようやく巡り合った最愛の人とも歳月ゆえの悲しい別れを強いられたマーゴ。老いにも若きにも死と時間は容赦ない。だからこそ、一瞬の交わりが尊いのだ。

    「わたしはときにはハンフリーの愛を当たり前のものとみなしたが、それはだれかに愛されているとほんとうに確信できるときにしかできないことだろう」
    そんなふうになりたいねえ。

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