- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106037832
感想・レビュー・書評
-
良書。でも『新潮選書』。「入門書」じゃあない。
現代の欧州統合史が深い部分まで、そしてその軋轢まで、うまく纏められている。それだけに歯応え読み応え、ハンパない。
頭から読み始めるとやや厳しいだろ。目次で馴染みのある箇所を先に拾って読み始める方が吉。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
EUについては全く知識不足だったが,本書でなんとかなりそうだ.第3章のEU誕生までの物語が良い.第二次大戦の5年後の1950年にフランスのロベール・シューマンが計画を発表した由.チャーチルやアデナウアーなどよく知った名前が出てくる.ECSC→ EEC→ EC→ EUと展開していく過程が良く理解できる.p188のリベラルとソシアルの話が面白かった.「フランス式をアメリカにあてはめてみると共和党はリベラルであり,民主党はソシアルになる」とある,またこの後に歴史的にもリベラルとソシアルの定義が変遷してきたことが書いてある.このような区分けは無意味ではないかと感じた.p172の「経済学の概念の貧困さ」は良い視点だと思う.ピケティの評価がフランスで低いのがよく分かる.シャルリエブド事件やパリ同時多発テロに関して,多民族国家のキーワードがライシテであると述べて,それの解説が続くが,野菜サラダに例えているのが面白かった.野菜が個人で,ドレッシングがフランス語であり人権 の由.難民問題についても記載があったが,正直 日本の役割が何なのかよくわからない.
-
パリの無差別テロ、溢れる難民、そして右傾化 ―― 。「平和」をかかげ「民主主義」を育んだEUの国々が今、躓いている。在仏40年、欧州を見続けたジャーナリストがEUが抱える問題点と「民主主義の現在地」を明らかにする。
第1章 欧州議会選挙ショック
第2章 EUとギリシャの危険なドラマ
第3章 「共同体」の選択
第4章 別の欧州
第5章 民主主義の出口