ごまかさない仏教: 仏・法・僧から問い直す (新潮選書)

  • 新潮社
3.81
  • (11)
  • (12)
  • (12)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 204
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038181

作品紹介・あらすじ

基本原理から学び直せる「最強の仏教入門」登場! どのお経が「正典」なのか? 「梵天勧請」はなぜ決定的瞬間なのか? 釈迦が悟ったのは本当に「十二支縁起」なのか? 「無我」と「輪廻」はなぜ両立するのか? 日本仏教にはなぜ「サンガ」がないのか? 日本の仏教理解における数々の盲点を、二人の仏教者が、ブッダの教えに立ち返り、根本から問い直す「最強の仏教入門」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 年始くらいに本屋で見掛けて、前書きを読んでその場はそのまま戻したんだけど、どうにも後を引いたんで5月頃にまた手に取って、読了。面白かった!!!!!!!

    科学の端くれをやっているもの的には、創作やらテレビでの取り上げなんかから漏れ伝えてくるエッセンスだけ推測して勝手に科学に親和性があるのかなぁ、特に量子論は、等と思っていたが、ちゃんとした整理はしたことなかったので、かなりの鱗が目から落ちた。

    実家は浄土真宗のお寺の真横にあり、夏休みのラジオ体操会場になっていたから、その後にお堂で開かれる正信偈の読経とかにも何の違和感もなく参加していて、暗唱くらいできるのだが、浄土真宗どころか、大乗仏教ではなく、釈迦がおこした原初仏教(と推定されるもの)をきちんと、仏教の基本である「仏・法・僧」(仏法僧のちゃんとした意味を初めて知った!!)から仏教を取り巻くキーワード、世界観、信念を丁寧に解説してもらった。たった300ページなのに!!!

    そのうえで、この本で佐々木さんが指摘しているように、仏教は科学とはまた違った世界観だし、「日本の仏教」というのはほぼ原始仏教とはまったく異なるもの、と言うのも整理できた。
    仏法僧のうちの僧をきちんと取り入れられている日本の仏教というのが存在しないし、あやうくオウム真理教(これもタイムリーだった)が一番「仏教らしい日本仏教」になってしまうところだったのか、というか、それが日本での宗教嫌いを加速してしまったのが、何とも皮肉、と言うか、因果なんだろうか。

    僕は仏教者として生きて行く気は無いし、実践できるとまったく思わないが、この「思想」が人を救い、生き方に出来るのは理解出来た、つもり。
    また読もう。

  • 仏教といえば葬式仏教とかいうイメージだが、初期仏教のイメージがだいぶん変わった。
    十二支縁起、仏・法・僧を尊敬することなど・・・

    それにしても、仏教で奥が深いし哲学や科学とも共通項があるのは面白い。

  • 冒頭にハリラの仏教についての記述を紹介しているが、的確な指摘の連続で、イスラエルの歴史学者がここまで仏教を理解していることに宮崎は驚いているが、私もハリラの分析力に感心した.本論に入ると、宮崎と佐々木の討論が始まるが、宮崎が次々と繰り出す論点に佐々木は冷静に対応しているが、読者からすると、宮崎の知識の開陳の連続という感じがした.釈迦が実際に述べたことを忠実に伝えているとされる文書はほぼ確定されたようだが、研究は緒に就いたばかりという感じだ.「仏」、「法」まで読んだが、難しい!日本にはびこっている鎌倉仏教との相違点だけを重点的取り上げて欲しい.日本の仏教と釈迦の原点はかなり異なっている感じがする.

  •  守備範囲の広い評論家である宮崎哲弥は「仏教者」でもあって、仏教関係の著作も多い。その分野の最新著作『仏教論争』(ちくま新書)は、私には難解すぎて手に余り、途中まで読んで投げ出した。

     が、昨年出た本書は、対談形式なので読みやすい。
     随所に「(笑)」も飛び出すなごやかな雰囲気の語らいは、ごく一部に解釈の違いが見られるものの、おおむね意気投合した形で進む。

     ただ、読みやすいとはいえ、内容は高度。帯には「最強の仏教入門」とあるが、仏教の知識ゼロの人が読んだらチンプンカンプンに違いない。仏教についての基礎的素養はある人が対象である。

     「仏・法・僧から問い直す」という副題のとおり、仏教における「三宝」たる仏・法・僧(僧侶という意味ではなく、サンスクリットの「サンガ」=出家修行者の集団の意)のそれぞれについて、章を立てて掘り下げていく内容だ。
     
     初期仏教を正統と見なし、大乗仏教は別物と捉える観点から作られているので、大乗仏教徒や日本仏教しか知らない向きには、違和感を覚える箇所も多いだろう。それでも、仏教に関心ある読者にとっては、立場を超えて得るものの多い上質の対談集である。

     一読して驚かされるのは、第一線の仏教学者である佐々木と、宮崎が対等に伍しているところ。宮崎の仏教についての知見は幅広く、かつ深い。

     宮崎哲弥の仏教対談といえば、師匠筋に当たる評論家・呉智英と編んだ『知的唯仏論』がある。
     同書は呉と宮崎の仏教理解に差がありすぎて、呉が聞き役に回った箇所が多く、丁々発止の応酬になりきれないうらみがあった。そのことを宮崎も不満に思い、同書のリベンジマッチ的な意味合いで佐々木と対談したのかもしれない。

     本書は、次のような構成となっている。

    序章 仏教とは何か
    第一章 仏――ブッダとは何者か
    第二章 法――釈迦の真意はどこにあるのか
    第三章 僧――ブッダはいかに教団を運営したか
     
     そのうち、第二章の「法」は、縁起・苦・無我・無常についてそれぞれ深く掘り下げたもので、途中、私には議論が高度になりすぎてついていけなくなった。が、それ以外の章は大変面白い。

     以下、私が付箋を打った箇所のいくつかをメモ代わりに引用する。

    《(釈尊の「四門出遊」は)まさに「仏教はこういう宗教だ」ということを見事に表現しているんですね。老と病と死、この三つは人間にはどうしても避けることのできない苦しみである。もう絶望するしかないと思ったら、最後に修行という道があることが示される。この話は、仏教が何を目指す宗教かということを、人々にきちんと伝える働きがある(佐々木の発言/59ページ)》

    《私はかつて「完全無欠の理想社会が訪れようが、そこでも解消できないような『この私』の苦しみこそが仏教本来の救済対象』と極言したことがあります。まあ原理を明確にするための極端な言い方ですけどね(笑)(宮崎の発言/61ページ)》

    《仏教では、瞑想は悟りにいたるための単なるスキルにすぎないという位置づけです。(佐々木の発言/64ページ)》

    《仏教は初めから都市宗教として出発したのです。人気のない山奥でひっそりと修行に専念する僧侶の姿を私たちはよくイメージしますが、そういうことは実際にはありえないのです。仏教というのは、支えてくれる在家信者たちのそばにいなければ成り立たない宗教なのです(佐々木の発言/81ページ)》

    《私は、もし釈迦が出家してなかったら自殺しているだろうといつも言っているんです。出家によって、はじめて自分で自分を救う道を見つけることができて、釈迦は救われたんです(佐々木の発言/91ページ)》

    《宮崎 私はかねてより、仏教に限らず、多くの宗教がなぜ性行為を禁じたか、という点については持論がありましてね。
     明け透けにいえば、セックスは宗教のライバルだからだ、と思うのです。性行為によって得られるエクスタシーは、宗教的法悦や忘我の状態に非常に近いものがある。逆に密教になると、性的エクスタシーを悟りに利用するようになります(265ページ)》

  • 釈迦の本来の教えである上座部仏教と大乗仏教との違いを三宝(仏・法・僧)の観点で対談形式で説明している。大乗仏教の中でも日本の仏教が特異であることがわかった。

  • それなりに面白かったけど、思ってたのとは違った内容だった。
    もっと基本をまんべんなく図解まじえつつ解説してくれる入門的な内容の本が読みたかったので。
    とはいえ二人の自説が微妙に違って論争みたいになるところとかは面白かったし、自分の信じる宗教を正当なものとして牽強付会する学者の話とかは興味深かった。知らない世界を知れた本ではある。

  • 私たち日本人にとって身近にあるはずなのに、日常からは無縁に近い仏教。2人の仏教者による対談を通じて、その基本的な知識を身につけることができます。仏教の創始者はどんな人物だったのか。どんな歴史を辿ったのか。どんな教義なのか。その教えと、その伝承はどのようになされているのか。その疑問に「仏」「法」「僧」の三宝を中心に整理して理解することができます。入門書として非常に分かりやすく、面白く読ませていただきました。仏教の、他の宗教との違いも考えながら読むことができると思います。2人の考え方の違いから、白熱する議論もあり、この宗教の大きさゆえのいろいろな考え方の広がりを感じることもできました。

  • いわゆる葬式仏教ではなく、仏教の根本について一から、仏陀の思想から仏教教団の創設期から学ぶ入門書。
    評論家宮崎氏と仏教学者佐々木閑先生の対談本であるが、二人の意見は共感し、補完し、時に相違点を見出す。
    普段仏壇に手を合わせながらも、仏壇の奥にしっかりとした仏教という教義があることを思い知らせてくれた。

  • 私には少し難しかったけど、佐々木先生の言うことには感銘を受けました。宮崎さんも本当は学者ではないの?と思うくらいの博識というか見識をお持ちですごかったです。仏教についてもっと考えたいと思わされた一冊でした。

  • 最近は”縁”がとても気になっていて、”縁”といえば仏教でしょってことで本書を手に取りました。僕の知識量では理解できない箇所もありますが、内容はすごく興味深かったです。縁はいいけど、執着はやっぱりダメよね。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

花園大学教授
1956年福井県生まれ。京都大学工学部工業化学科卒業。同大学文学部哲学科卒業。同大学大学院文学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。インド仏教学者。現在、花園大学教授。文学部長、図書館長。著書に『出家とはなにか』『インド仏教変移論』(いずれも大蔵出版)、『出家的人生のすすめ』(集英社新書)、『ブッダ 真理のことば』『ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか』『般若心経』『ブッダ 最期のことば』『大乗仏教』(いずれもNHK出版)、『ネットカルマ』(角川新書)、共著に『真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話』 (大栗博司氏との共著、 幻冬舎新書)、『ごまかさない仏教』(宮崎哲弥氏との共著、新潮選書)などがある。


「2020年 『宗教は現代人を救えるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐々木閑の作品

ごまかさない仏教: 仏・法・僧から問い直す (新潮選書)を本棚に登録しているひと

ツイートする