歴史としての二十世紀 (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106039041

作品紹介・あらすじ

「戦争の世紀」が再来した今こそ、高坂史観が役に立つ――! 「〈いい人〉の政治家が戦争を起こすことがある」「ロシアに大国をやめろと強制することはできない」――戦争の時代に逆戻りした今、現実主義の視点から「二度の世界大戦」と「冷戦」を振り返る必要がある。世界恐慌、共産主義、大衆の台頭、文明の衝突……国際政治学者の「幻の名講演」を初の書籍化【解題・細谷雄一】。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:209.7A/Ko82r//K

  • 1990年の講演内容ですが、これからの我々の社会を考える上で重要なヒントが多く述べられていると思います。

    いくつか今の気分で疑問に思う点がありましたのでメモしておきました。

    1. 政治とお金と人格は分ける事を認めないと自由は成立しない。とありますが、やっぱりお金に汚いだけの無能な政治家は嫌だなと思います。今の社会ではより倫理観を求められるので、優秀なら何しても良いのか?とも思えないですし、理想を追い求めた共産主義の失敗を考えれば難しい点ですね。

    2. 大学まで進む人口が三分の一も必要あるか疑問。とありますが、本書で共産主義が否定された当時でも資本主義が本当に良いのか悪いのか考えなければならないとしており、大学くらい出ないとちゃんと本を読んで考える人間にはなかなかなるのは難しいと思います。東京都の高校無料化や国の大学無料化も、少子化対策を理由にした政治家の人気取りでしかなく、考えられる人間の教育と言う点ではあまり意味がないように思えます。

  •  1990年の連続講演録。WWIの戦争形態、世界恐慌、ロシア革命とソ連の共産主義と続くが、単に歴史をなぞるだけでなく、米国の繁栄とその後の一定の衰退、大衆論、異文化や国民性といったものも論じる。
     歴史、政治、経済、思想、と縦横無尽とも言える著者の奥行きの深さを感じる。日米構造協議や日本経済の強さといった講演当時の世情への言及はともかく、大局的な視座は今日でも有益だ。
     個別に印象的なのは、WWIにつき、小市民的ないい人が起こしたとの点、しかし長期化し、国民を巻き込み総力戦化したとの観察。1990年当時でありながら、人間の合理性を疑い資本主義と民主主義の組み合わせを絶対視しない点。

  • 1990年1月から6月に新宿・紀伊國屋ホールで開かれた高坂正堯先生の講演をまとめた内容です。二十世紀を歴史として捉えるという観点で語られており、二つの世界大戦や世界恐慌、戦後の冷戦や共産主義など、いろいろと考える材料が多く、高坂先生の口調で語られており、読みやすく示唆に富んだ内容だと思いました。私がどこまで理解できたか怪しいところはありますが、今後の世界情勢を考えるにあたっても参考になる内容が豊富にあったと考えております。

  • 講演録で読みやすさ◎
    国際問題に関心がある高校生とかにぜひオススメしたいです!矛盾だらけの世界で泳ぐための、柔軟な思考のカタを教わる感じでした。91年頃の時事ネタも入ってますが、その辺は適度に読み飛ばしでもOKかなと。。

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著者プロフィール

1934年(昭和9年),京都市に生まれる.京都大学法学部卒業.1960年より2年間ハーバード大学留学.法学博士.京都大学教授.専攻,国際政治学,ヨーロッパ政治史.1996年(平成8年)5月,逝去.『高坂正堯著作集』(全8巻)のほか,著書に『世界地図の中で考える』『政治的思考の復権』『近代文明への反逆』『外交感覚』『現代の国際政治』『平和と危機の構造』『高坂正堯外交評論集』『世界史の中から考える』『現代史の中で考える』などがある.

「2017年 『国際政治 恐怖と希望』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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