- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106103438
作品紹介・あらすじ
その時、円生が怒り、談志と志ん朝は動き、円楽は耐えた…。落語界最大の抗争、落語協会分裂騒動とは何だったのか。志ん生、円生の復帰、ラジオ、テレビによる人気の沸騰、立川談志一門の協会脱退、寄席の衰退と復活。落語史に残る大事件から、時代を象徴する噺家の栄枯盛衰まで。四十年以上、「東京」の落語を見続けてきた演芸評論の第一人者による戦後落語史。現在の落語界が見えてくる格好の入門書。
感想・レビュー・書評
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2018年1月16日読了
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戦後の落語史について書かれたもので、正直に言うとほぼ知っていることばかりであまり期待はしていませんでした。(一時期、この手の本をよく読んだんです。10年以上前だったか)
特に期待をせずに読んだせいか、割と面白く読めました。こういう本とか「モダン・ジャズの名演名盤」とかの本は、判っているからスラスラ読めるし、やっぱり好きだから判っていてもニヤニヤ楽しめちゃうんですね。
ただこの本は、最近出た本だったので。
三笑亭可楽さんとか、文楽円生志ん生から、協会分裂事件前後~小さん政権、志ん朝談志時代...という流れが、ちゃんと2010年代現在に繋がっている感じが読み取れて、それは特に面白かったです。
まあ、流れとか流派とか、意味合いとかが繋がっているかどうかは解釈によるんですが、時間が繋がっていることだけは確かですから。
僕自身は、寄席やホール落語のライブに通ったのは、悔しいことに「志ん朝死去の直後」です。
(もっと正直に言うと直前だったのですが、「志ん朝もいつか行こう」と思っていたら死んでしまった...)
今でも音源で聴く分には圧倒的に「志ん朝派」なんですが、ライブで笑えたり感動できる落語、と言う意味では(関西に行ったりしてここ数年遠ざかっていますが)、現在は「柳家小三治別格、笑福亭鶴瓶、春風亭小朝、柳家喬太郎、春風亭昇太、立川志の輔、立川談春」あたりの時代だと思っています。
無論、そこに柳家三三や昔々亭桃太郎や古今亭菊之丞、桃月庵白酒、三遊亭円丈、三遊亭歌武蔵、SWAメンバー、志らく筆頭に立川流...といった老若個性がしのぎを削っている訳ですが。そのあたりを目安に定席に行ってみれば、大きな外れはないでしょう。(人気者は定席なんて年に1度だったりもしますけれど)
それにつけても、笑点は笑点で大いに結構素敵なんですが、あのメンバーで落語を聞いて普通に爆笑できるのは、昇太さんとたい平さんくらいなのでは...。
その現実を知るところから落語の愉しみがはじまるんだろうなあ... -
戦後の落語の歴史が手堅くまとめてある一冊
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未読の新書を続けて読んでみる。なかなか手厳しいところもありますね。
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寄席には1回しか行ったことはないし、リアルタイムに「落語」を聞いたことはほとんどないが、テレビやラジオではよく聞いている。
落語については、日本人のほとんどがその程度の興味だと思うが、これも伝統的な「日本文化」の一つと思い、本書を手にとってみた。
聞いたことのある落語家の名前が数多く出てくるが、その派閥抗争の凄まじさは、いやいや「芸の世界」は厳しいと評するべきか、それとも「人間はどこも同じ」と見るべきか。
ただ、落語の世界で「立川談志」がひとつの新しい流れをつくった「偉大(?)」な人物であったことがよくわかる。
著者は、「立川流顧問」だそうだから、この見解も当然なのかもしれないが、学生時代から落語の世界に没頭してきた著者の眼は信頼できそうだから、やはりこの評価は確かなのだろうと思えた。
最近コミックで「落語家」の世界を描いているものもあるし、一般人の知らない「異世界」を詳細に知ることができる点はちょっと面白い。
しかし、著者は「こぶ平」には異様に厳しい。これだけ多くの落語家を取り上げながら、「落語家失格」のような扱いをされているのは「こぶ平」のみである。こぶ平の芸がよっぽどひどいのか、それとも著者と「こぶ平」のあいだに何かあるのかとも思った。
本書は、落語という日本文化の内実を紹介した本であるが、軽く読めて、まあ、それなりに面白い本であると思った。 -
異論反論あるだろうけど、戦後落語界の流れが良く分かる。談志亡き後はどうなっちゃんでしょう?
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立川流が嫌いな人は読まなくても良いかもしれません。
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思いっきり
私説 落後史になっているのが
うれしい
吉川潮さんの「文芸」ファンなら
文句なしに面白い
巻末の 参考文献と年表を
面白く感ずる人は
文句なしに面白い -
[ 内容 ]
その時、円生が怒り、談志と志ん朝は動き、円楽は耐えた…。
落語界最大の抗争、落語協会分裂騒動とは何だったのか。
志ん生、円生の復帰、ラジオ、テレビによる人気の沸騰、立川談志一門の協会脱退、寄席の衰退と復活。
落語史に残る大事件から、時代を象徴する噺家の栄枯盛衰まで。
四十年以上、「東京」の落語を見続けてきた演芸評論の第一人者による戦後落語史。
現在の落語界が見えてくる格好の入門書。
[ 目次 ]
第1章 昭和二十年代
第2章 昭和三十年代
第3章 昭和四十年代
第4章 昭和五十年代
第5章 昭和六十年代
第6章 平成元年~十年
第7章 平成十一年~二十年
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
読むと改めてサライの「落語 昭和の名人」シリーズを聴きたくなる。ええ、改めて聴いていますとも。集めといてよかったよ。
「落語史」の史観として、著者が談志贔屓であり、立川流に偏っているかもしれないが、とあとがきで描いておられるけれど、なかなかどうして。それぞれの噺家が自ら語った、ありはそれを聞き語ったと思われるエピソードから覗く、その人らしさは興味深いです。笑わせる、それを芸としていかに確立するか、時代とどう向き合うか、それらを細かく書いた本ですが、対象となる落語、噺家に敬意と愛情をもって書かれているため、ぐいぐい読まされます。