さらば脳ブーム (新潮新書 396)

著者 :
  • 新潮社
3.43
  • (9)
  • (20)
  • (22)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 129
感想 : 34
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103964

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  あの脳トレの川島博士が研究と騒動を振り返る。

     一見頭を使ってるようなゲームでも実は頭の体操になっておらず(前頭葉の活性化が見られない)、単純な計算などの方が効果がある。ということで認知症の学習療法や脳トレが生まれていく。
     産学連携の難しさなど言いたいことは分かるのだが、ちょっと脇が甘いというか、自分の言葉が一人歩きしてしまうことに対して隙がありすぎたようにも思える。脳トレが売れすぎてしまったことが不幸だった。
     この本を読んで一番気になったのが、脳の活性化の起こる基準が複雑すぎて全くよく分からんということ。例えば包丁を使う時は活性化するがピューラーでは活性化しないとか。どういう刺激ならの部分が見えてなさすぎる印象を持った。
     ちなみにTVゲームもそのゲームに慣れてしまうまでは脳が活性化するそうなので、絶えず新しいゲームをやり続けるのもいいみたいです。
     

  • 脳トレに対する批判への反論

  • 基礎科学者の社会活動が予想外の大成功を収めた時、何が起こるのかを知るモデルケース。

    学問の世界(それに通じる学校も)は特別で神聖、卑野な俗世間とは距離を置くべし、ですかね。

  • 脳トレブームについて、本人が一番否定しているのが面白い。科学雑誌に取り上げられる論文並みに厳密にやろうとしているし、企業との連携の難しさもそこにはしっかり示されている。そして背中から撃つ身内についても。
    茂木健一郎を「脳芸人」として嫌っているのは結構楽しい。

  • DS脳トレで有名になった川島教授の本。
    「愚痴です」と冒頭に書いてあるように、確かに愚痴だなあ、と思いながらもすらすらと読み進める事が出来た。
    何かが得られる本ではないけど、川島氏の社会への関わり方の姿勢には共感できたので★3つ。

  • 「脳トレ」であまりにも有名な川島教授の本。タイトルには脳科学ブームの皮肉の込めてか『さらば脳科学』となっている。内容としては学術界からの批判に対する反証、基礎科学研究者がいかに社会に接し、貢献することが難しいかが書かれている。特に産学連携について書かれた箇所については理系などその道の人は一度見てみてもいいと思う。読み書き計算という単純作業がいかに人の生活を豊かにするかはこの本に所狭しと書かれているので気になる人はぜひ。電車の中で30分もあれば読める、そんなお手軽な本。

  • 料理をすると脳が活性化する。
    バランスのとれた朝ごはんは成功の下地になり、人生の豊かさを後押しする。
    バイクは「安全を支える仕組みが加速するクルマ」とは真逆だけど、だから脳に効く。
    単純だけど、こういう真理を科学で明らかにするのはすごく意義があると思った。

    任天堂にとっては「ユーザー拡大の種」に脳トレを選んだが、川島さんにとっては「学習療法の証明」と思って産学連携を選んだわけだ。
    こういう、関わった別の立場の人の内心がわかると面白い。
    「全然売れなければこういう批判は出なかっただろう」というのはなるほどと思った。
    あとは「よくできたゲームでは脳は活性化しない」話は面白かった。
    引っかかる部分があるほうが、脳には効くのだ。
    なんというか、科学的な意味だけではなくて、深い言葉だな。
    「脳トレ」はゲームとしての評価は高くないと思うけど、それはこの観点からすれば極めて正しいやり方なわけだ。

    たとえば自分が過去夢中になったゲームというのは果たして脳の活性という意味ではどういう位置づけなのかと考えてみるとなかなか面白い。

    乗り越えられない困難は人を打ちのめしてしまうかもしれないが、乗り越えられるちょうどよいレベルだと、その中にいるときの経験が人生の充実感そのものなんじゃないかと思った。
    そのハードルが低すぎてもなかなか充実感は得られない。
    仕事論とかをいろいろ照合するとそんなところではないのだろうか。

    じゃあ脳を活性化しないけどやたら面白いゲーム経験はなんなのか?
    これは答えは個人差なのではないかと思う。
    思い入れ、とか、競争心、とか、そういう思念のところが関わるんじゃないかな…とふと思った。
    自分の卒論を思い出した。

  • ・特に私の信頼感が上がったのは、社員の方々から「子ども達がさまざまな知識や技術を学ぶのはあくまでも学校という場である。公文式は、子ども達が学校での学習をより容易にこなせるようにするための道具作りの場でしかない」という言葉を聞いたからであった。乳児の早期教育をする団体や、受験の技術を詰め込む「塾」と一緒に産学連携の仕事をするのは、とても抵抗があるが、自分たちの足元をそう社員たちが分析できているなら、とりあえずはお付き合いしても安心だと感じた。
    ・現在では、この会社は学者以上に保守的で慎重すぎるくらい慎重、真面目すぎるくらい真面目な組織だと感じている。我々を食い物にして金儲けをするどころか、我々が多少無理をして背中を押してあげても、お金儲けのチャンスにうかつに食いついたりしない。民間企業としてはもう少しやわらかくても良いかなと思うこともあるが、子どもの教育という、もっとも大切なことにかかわる企業としてはそれくらいでちょうど良いのかなと、ある意味感心したりしている。
    ・公文式というと(中略)実は世界でも稀なくらいの数の発達障害児の教育を行っている。

  • 茂木健一郎脳芸人だったのかw

著者プロフィール

東北大学加齢医学研究所所長。
1959年千葉県生まれ。東北大学医学部卒業後、同大学院医学研究科修了。医学博士。スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学助手、同専講師を経て、同大学教授として、高次脳機能の解明研究を行う。人の脳活動のしくみを研究する「脳機能イメージング」のパイオニアであり、脳機能開発研究の国内第一人者。ニンテンドーDS用ソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズの監修者。学習療法を応用した『脳が活性化する100日間パズル』シリーズ(学研)や『楽しい!脳活パズル120日』(学研)など著書多数。

「2022年 『美しい日本の祭礼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川島隆太の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×