- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106106712
作品紹介・あらすじ
「頼られたい」という病、消えない「甘えの構造」、私たちの民族的宿痾とは? 個人より集団、論理より情緒、現実より想像……うつ病の急増、ブラック企業や原発事故など、あらゆる社会問題に通底する日本人特有のナルシシズムの構造とは。
感想・レビュー・書評
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日本人の精神性について論じた本。精神的なカロリー消費がやばいのでこころがだいじょうぶな人が読めば良いと思う。でも多くの日本人に読んでほしい。
本書において「日本的ナルシズム(自己愛)」はおおむね以下のような性向を指し、(運が悪ければ)それが日本的なうつ病を引き起こすと主張する。
・社会(場)との想像上の一体感(不十分な自己)
・具体的状況への愛着と普遍的・理論的なものへの嫌悪(キリストは嫌いでもクリスマスは祝う)
・具体的状況の愛着ゆえの葛藤の先送り(平和と軍事力、憲法と安保法)
このような性向は政府・企業・ご近所等、あらゆる組織において観測できる。これらが日本語の特性や農耕民族としての歴史から紐解かれていくのは大変興味深かった。
日本と西洋近代が対立軸として書かれている。どちらが優れているとかないけど、政治や経済は近代西洋のロジックで回っているんだし葛藤を乗り越えて和洋折衷しなきゃね、って結論です。 -
・想像上の一体感=曖昧な空気
・集団への過度な依存、自我の未確立
・ルールがない、第三者の適切な介入がない
・オモテとウラ(建前と本音)の使い分け -
個人より集団、論理より情緒、現実より想像…。日本人には今も昔も固有のナルシシズムが息づいている。昨今の社会問題すべてに通底する、民族的宿痾としての「日本的ナルシシズム」の構造を明らかにする。
気分変調症については興味深かったけど,最終的には話が大きすぎる。 -
自分に超当てはまるよと思ってしまうが、そもそもこの書を手に取る時点でバイアス掛かってるのは否定しない。何かしらのモヤモヤを抱えている人にとって、解決の糸口になるのではないか。その視点なかったわーと首肯しながら認知の幅を広げる。
自分の美学にがんじがらめになって、それに殉じることさえ厭わない。それって生まれ育った環境に結構影響されてたのね、と腑に落ちたのはとても良い収穫! -
福島在住の精神科医である著者が、3.11の経験を含めて、臨床学的見地と精神科医としての初見から、日本人の個の病理から会社を含む集団の病理、はたまた国家を含む国全体の病理について見解を述べたものである。その根本が日本的ナルシシズムにあるとした著者の説明はなるほどと思わされるものであった。ナルシシズムが現実よりも自分にとって自分がどう感じられるか、他人からどう見られるかというイメージに起因するという説明は、当方が最近感じる「日本人は日本教という新興宗教に感染している」との説を強化してくれることになった。
新型うつ、ブラック企業、原発事故後の推進派と反対派の相克、日本政治の今を鋭く切り込んでくれた著者の論調は爽快感を一瞬与えてくれたが、その解決のための処方について、その果てしなさについて、一挙にダークな気分に落ち込んだのであった。絶望の中からしか、希望は生まれないのだろうか。 -
うーんなんというか、子育て的にも、うつ病的にも、自分の性格形成的にも、もろもろおもしろい考察でした。
p146 自我の確立は社会を否定するだけで成し遂げられるものでなく、
p148 「他人のもたらす不快に耐える」という労働としての体験をしているたm -
新書にしては少し読みづらいところもあったが、普段思っているいろいろなことが本書を読んで腑に落ちた。そして、自分の中にも日本独特のナルシシズムを「良し」とする部分が多少あることもわかった。これを全否定するのではなく、あることを認めた上で何が問題かを考えていく。この作業が重要ということを改めて感じだ。
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真ん中でまったく違う本になっている。
前半のところは参考になるのだが・・ -
日本型ナルシシズムは、「頼られたい」と「甘えの構造」とし、うつ病との関連から、ブラック企業や原発問題関連まで幅広く論評、又日本人の伝統的心性の社会学的要素も加味した分析も的を得ている。