ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ (新潮新書)
- 新潮社 (2022年9月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106109652
作品紹介・あらすじ
精神科医の六麦克彦は、医局から派遣された要鹿之原少年院に勤務して5年になる。彼がそこで目にしたのは、少年院に堕ちてきた加害者ながら、あらゆる意味で恵まれず、本来ならば保護されてしかるべき「被害者」と言わざるを得ない少年たちの姿だった──。累計100万部を超えたベストセラー新書の世界を著者自ら小説化、物語でしか伝えられない不都合な真実を描きだす。
感想・レビュー・書評
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『ケーキの切れない非行少年たち』を、小説という形で筆者自らが執筆。
発達障害があったり認知機能が弱い少年少女が、どのように思考しどのように発言するのか、より分かりやすく表現されている。更正プログラムや知能テストなどに興味が湧いた。
事例をただ単発的に物語風にするのではなく、医療少年院に勤める六麦という精神科医のキャリアや職場環境や家庭なども書き込まれてしっかりと小説でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
難しい、本当に難しい!
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どうしたら、非行少年を理解できるのだろうか?
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『感想』
〇ケーキの切れない非行少年について、小説で表されている。実用書より小説を読む人はこちらの方が頭に入りやすいだろう。
〇知的障害や発達障害を持っている人が再犯をしてしまうのは仕方がないとも言える。なぜなら自分が悪いということを認識しずらいし、他人の気持ちを察することが難しいから、自分の本能に忠実になってしまう。以前の経験を生かすだけのワーキングメモリもないこともある。
〇何度も初期状態に戻るたびに同じことを教え続けるのは、教える側からするとつらいものだ。
〇社会性のない人を切り捨てずに温かく接することができる人を尊敬する。こういう気持ちを皆が持てる教育をしていくことが、今後も求められる。
〇ただし言葉では理解しても、いざ自分の前にそのような人が現れて自分にも被害があるからと相手を切り捨ててしまうことを責めることもできない。 -
リアルな感じが面白い
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“ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)”の小説版。非行少年の実態がわかりやすく書かれている。重い内容なので読了後は気分が沈む。
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非常にわかりやすく、新しい知識も手に入った
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自己評価は他者との関係性の中で育つ
発達上のハンディを抱えた人間は、そもそもが他者との関係性を正しく把握できない
普通とされている人が考えずともやっている事に対して、繰り返し教えられて初めて気づけるようになり、更に意識して把握しようとして初めて一端を掴める可能性が出てくる程度
知能指数が低かった場合、ただでさえ演算できないのだから、普通と呼ばれる関係性を演算してアウトプットするのは至難の業
個人としては抱える問題も大きいが、現在はリモートやSNSなど環境面から演算に必要な情報が削ぎ落とされてしまっている
仕草、発声、雰囲気など対面で得られる多くの情報があっても普通が算出できないのに、リモートで限られた情報下では普通を算出できる筈もない
現代社会はより境界にいる人達を炙り出して苦しめることになるのではないか、と懸念される -
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読み物としてなら面白かった