これからを生きる君たちへ―校長先生からの心揺さぶるメッセージ (SHINCHO MOOK)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (63ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107902269

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災の惨禍を目の当たりにし、日本人は皆多かれ少なかれ傷ついています。被災地から遠くに離れた所に住む大人ですら、なすすべもない現実に打ちのめされました。ましてや被災地で身内の者や友や知り合いを亡くし、家を奪われた子供たちに一体どんな言葉をかければよいのか、私には全く思い浮かびませんでした。

    本書は被災地や全国各地で、この2011年の春に卒業を迎えた子どもたちに向けて、校長先生や学長から贈られた言葉をまとめたものです。私たちがかけることができなかった日本人共通の思いと願いを込めた言葉が、この書には溢れています。旅立つ子どもたちを暖かく見守り、生きていく勇気と希望を与え、未来を託して背中を押す教育者としての真摯な姿勢に心打たれます。

    児童や学生でなくとも是非、最後まで目を通して頂きたいと思います。心に染み入るメッセージに励まされ、元気をもらえることでしょう。
    被災された方々の心の傷は癒えぬともせめて傷口なりとも癒え、卒業していく生徒たちのように新たな一歩を踏み出せるよう願ってやみません。

  • 大学で学んだ知識は社会ですぐに役立つとは言えないかもしれない。
    大学で研究した知識と社会に出て経験することを合わせて、社会のために何か考え、行動していきたい。

  • 心を動かせれる校長先生や学長たちの言葉に思わず涙が出ました。3/11の直後の混乱の中、卒業に際して卒業生に送った魂の「贈る言葉」でした。私にはこの感動を上手に伝えるボキャブラリーが残念ながらありません。是非多くの人に読んで貰いたいです。

  • 【東日本大震災関連・その②】
    (2011.05.10読了)
    今年3月の卒業式に際しての小学校・中学校・高等学校の校長、大学の総長・学長が卒業生に向けたメッセージを集めたものです。いずれもインターネットに掲載されたもののようです。卒業式の場で述べられたものもあるし、卒業式が行えず、会報やインターネットに掲載されたものもあります。11のメッセージが収められています。
    ほとんどのメッセージに、東日本大震災のことが取り上げられています。震災に遭った学校もありますし、直接的には震災には遭っていない学校もあります。
    読んでみて感心するのは、高校・大学の卒業生に向けられたものです。(読む人の関心がどの辺にあるかによって変わってくると思います。)

    ●学ぶことは一生のこと(5頁)
    大学に行くことは学ぶためであるという。そうか。学ぶことは一生のことである。いかなる状況にあっても、学ぶことに終わりはない。一生涯辞書を引き続けろ。新たなる知識を常に学べ。知ることに終わりはなく、知識に不動なるものはない。大学だけが学ぶところではない。
    ●海を見る自由(6頁)
    大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか。
    言葉を変えるならば、「立ち止まる自由」を得るためではないかと思う。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。
    大学という青春の時間は、時間を自分が管理できる煌めきの時なのだ。
    ●見守る(53頁)
    じっと見守ってくれている人がいるということが、人をいかに勇気づけるか
    ●専門性を生かすには(54頁)
    プロフェッショナルがその専門性を十分に生かすためには、専門領域の知識だけではどうにもならないということです。なぜなら、一つの専門性は他の専門性とうまく編まれることがないと、現実の世界で自らの専門性を全うすることができないからです。
    別の領域のプロフェッショナルと同じ一つの課題に共同で取り組むことができるためには、自分の専門的知見について、別の専門家に関心を持ってもらえるよう、そして正しく理解してもらえるよう、自らの専門についてイメージ豊かに説明することがまずは必要です。
    ●「価値の遠近法」(57頁)
    「価値の遠近法」とは、どんな状況にあっても、次の四つ、つまり絶対なくてはならないもの、見失ってはならぬものと、あってもいいけどなくてもいいものと、端的に無くていいものと、絶対にあってはならないものとを見分けられる眼力のことです。
    ●未知の領域(62頁)
    世界でも、日本でも、既存のシステムや価値観が完全に破綻しつつあることを痛感させられます。今や時代は、新たな未知の領域に突入しようとしているのです。次代を担う君たち若者には未知の領域に踏み込む勇気と新しい価値観を創造する能力が要求されます。

    ☆関連図書(読了)
    「三陸海岸大津波」吉村昭著、中公文庫、1984.08.10
    「災害救援の文化を創る」野田正彰著、岩波ブックレット、1994.11.21
    「大震災復興への警鐘」内橋克人・鎌田慧著、岩波書店、1995.04.17
    「災害救援」野田正彰著、岩波新書、1995.07.20
    「わが街」野田正彰著、文芸春秋、1996.07.20
    「神戸震災日記」田中康夫著、新潮文庫、1997.01.01
    (2011年5月11日・記)

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