- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120039959
作品紹介・あらすじ
自分の足で歩き、自分の眼でみて、自分の頭で考える姿勢を貫く比較文明学者・梅棹忠夫は、「文明の生態史観」「情報産業論」「遊牧の起源」など独自の思想を展開し、現在も版を重ねるベストセラー『知的生産の技術』を著すなど、戦後の社会に大きな影響を与えてきた。梅棹の薫陶を受けた研究者たちが論戦を挑んだ、米寿記念シンポジウム「梅棹忠夫の世界」を再現。
感想・レビュー・書評
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昨年亡くなった梅棹忠夫氏の業績が網羅的に理解できる。
「知の探検家」というフレーズが書かれているが、「知」に限らず、本当の探検家であったことがわかる。
こういう偉大な人は、この先出てくるのだろうか?
「知的生産の技術」ではなく、本職の文明論や遊牧論、情報産業論などの話なので、先に「梅棹忠夫語る」を読んでいた方がとっつきやすい。
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(目次)
第1部 知の探検家・梅棹忠夫
(モゴール族探検記
中洋の発見
文明の生態史観 ほか)
第2部 シンポジウム―梅棹忠夫の世界
(よみがえったモンゴル研究―『狩猟と遊牧の世界』
「文明の生態史観」と今日の世界
「情報産業論」―世相と未来を見とおす導きの書 ほか)
第3部 時代の証言者 文明学
(足で切り開いた世界史観
本と昆虫を愛した幼少期
山は「総合科学研究所」 ほか)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とにかくおもしろい。本書は梅棹さんが米寿を迎えるということで開かれたシンポジウムの記録です。とは言っても、その前後の対談とか、新聞の連載なども掲載されています。とにかくおもしろいし、わかりやすい。どこかで、今西錦司さんだったかに「分かりやすい文章を書かないかん」と言われたということが書かれていましたが、本当に分かりやすい。梅棹さんの言葉から・・・「マルクスには「~すべし、~あるべし」があるが、わたしにはない。」「わたしの言っていることは日本論ではなく、地球学や。」「わたしは地球生命学を論じている。一種の哲学や。」小山さんの「(梅棹さんは)問題を提起して投げ出しておく。すると、みんなよってたかって考える。それは梅棹さんの手法ですね。」という言葉に対して、「アジテーターや。ずいぶんやった。」「若い人にはどんどん挑戦してほしいな。」最初から著作集を買って読めばよかったのですが、見つけた本、見つけた本(古本も含めて)買って読んでいるので、かれこれ10数冊になってしまい、いまさらという感じです。なんとか「狩猟と遊牧の世界」「女と文明」「情報の家政学」くらいは読んでみたいです。
最近、京大出版会から出たカラコラム・ヒンズークシ探検隊のDVDを手に入れました。その感想はいずれまた。