- Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120042409
作品紹介・あらすじ
堕せば命と希望が消える。産めば世界が必ず飢える。現代中国根源の禁忌に莫言が挑む。
感想・レビュー・書評
-
中国の一人っ子政策を題材とした小説.陰惨な堕胎政策と跡継ぎの男児を誕生を望む人々に翻弄される人々の姿を書いている.しかし,笑いや悲しみや政治的な言及はあるものの,結局は小さくまとまってしまった作品だと思う.大躍進にも触れず,産児制限という重大な人権侵害も結局は肯定してしまっていてモヤモヤとしたものを感じる.
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大江健三郎氏がモデルと思われる日本の小説家にあてて、中国の田舎町に暮らす劇作家「オタマジャクシ」は、高名な産婦人科医であった伯母の生涯を書き綴る。
日本軍占領下から、産めよ殖やせよの掛け声のもと、次々と子どもが生まれた時代へ、一転して「一人っ子政策」のもと、不妊手術と堕胎に邁進し、文革の下の裏切り、そして金さえあれば、自然の理をゆがめてまで子をもつことが可能になった現代へ――。
とても同じひとつの国、ひとりの人間の生涯に起きうることとも思えぬほどのすさまじい社会変動だが、それは多かれ少なかれ、日本もたどってきた軌跡でもあった。しかし、子宮にまでおよぶ国家の統制権力に身を捧げたことによって、優れた産婦人科医であったこの女性は、「子授け娘娘様」の権現、血に汚れた手をした悪魔という、2つのイメージに引き裂かれてしまうのである。
国家の人口統制を遂行した伯母たち、それに巻き込まれた多くの男女が心身ともに傷つくのに対し、語り手の「オタマジャクシ」は、そのペンネームが示す通り、責任を自らはとることなく、流れに身をゆだねて生き残ってきた知識人の罪悪感を終章で劇のかたちで吐露するのだが、それでもどこか余裕を感じさせる語り口は、自ら血を流してきた女たちの恨みや罪悪感とは遠い。今後、よりさまざまな書き手により挑まれるべき主題だろう。 -
3.85/169
内容(「BOOK」データベースより)
『堕せば命と希望が消える。産めば世界が必ず飢える。現代中国根源の禁忌に莫言が挑む。』
著者:莫言 (ばくげん)
訳者:吉田富夫
出版社 : 中央公論新社
ハードカバー : 476ページ -
中国の小説をたくさん読んでいるわけではないが、今まで読んだものはどれも、登場人物それぞれの生きるパワーにあふれていて、そこに圧倒される。妬んだり、悪いことをしたり、それを悔やんだり、苦しんだり、いろいろするが、それらを踏みしだいていく生の力。この作品は、それに加えて、一人っ子政策と現代中国社会の変貌ぶりがよくわかること、そして物語の構成のすばらしいことで、読んでよかったと思える作品であった。
-
圧倒的な構想力、広い世界観、やはり莫言はすばらしい。さらに、訳が秀逸。
-
「堕せば命と希望が消える 産めば世界が必ず飢える」
この本の帯の言葉の真意が気になるのです。
読みかけたけど数頁で挫折。
今じゃないみたい。
また読もう。
ノーベル文学賞を受賞した莫言さんの作品。 -
2013/4/30(火)の中国語教室でこの本は読みやすいと紹介があり、いつか読んでみようと思ってます。