ujikenorioさんの感想
2013年9月4日
キャロル・スクレナカ『レイモンド・カーヴァー 作家としての人生』中央公論新社、読了。本書はリアリズム小説の旗手・カーヴァーについての初の本格的な研究書、トータルな評伝。書簡や関係者のインタビューを元にその足跡を構成、多角的に作家像を浮かび上がらせる。もちろん、作品評も充実。 破天荒な生涯は、まさに文学者の見本(それを推奨する意義ではない)。しかし筆者の取材は、カーヴァー自身が創作で命をすり減らすことが悲観ではなく同時に書くことを楽しんだ経緯を明らかにする。標となる一冊。