鉄道と戦争の世界史

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045363

作品紹介・あらすじ

南北戦争、普仏戦争、ボーア戦争、日露戦争、二度の大戦を経て朝鮮戦争、ベトナム戦争に至るまで、機動力の増強と広範囲な長期戦を可能にした軍事利用の発展を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 往時はそうだったな

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/engines_of_war.html【書評】『鉄道と戦争の世界史』〜戦争とは兵站

    『世界鉄道史』の続編ともいうべき本。戦争と鉄道の関係に注目した類まれなる本。戦争とはすなわち「兵站」であるということにつきる。戦争を行うには、人の運搬だけでなく、食糧・武器の運搬も必要。

    日本では戦国時代から江戸時代初期にかけて、関が原の戦いや大阪の陣など、10万人以上の兵力が動員された戦争があった。同時代のヨーロッパにおいて、この規模の戦争は到底不可能であったであろう。

    しかし、鉄道によって、戦争の動員数が一変した。本書で取り上げた戦争:クリミア戦争、南北戦争、普墺戦争、普仏戦争、露土戦争、ボーア戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争。

    鉄道による兵站の確保によって、大量の兵力の投入が可能になった。後方の兵站が確保されたことにより、守る側が有利になり、攻めても攻めても攻め落とすことができず、戦争が長期化した。日露戦争の奉天会戦は、日露60万人の兵力が激突した世界最大の会戦となった。前年に開通したシベリア鉄道によって、ロシアは大量の兵力を極東に投入することができた。また、シベリア鉄道という後方の兵站を確保したことにより、日本は極東のロシア軍を殲滅することができなかった。

    その教訓があるのに、ドイツは二度にわたってロシア(ソビエト)を攻めたが、攻め落とすことができなかった。朝鮮戦争では、米軍が北朝鮮の線路を空爆しても、ほとんど無傷だった。20世紀後半になって、誘導ミサイル等の出現により、遠距離から高い確率で命中させることができる時代になり、長距離大量輸送を必要とする大戦争の時代が終焉した。

    前著と比較した場合、鉄道や戦争の特徴をいくつもの戦争を題材に何度も繰り返し繰り返し表現され(たとえば軽便鉄道の利便性は何度も繰り返し出てくる)、鉄道マニア、戦争マニアでない限り、本書を読みこなすのは、少しきつい気がした。

    <目次>
    序文
    第一章 鉄道誕生以前の戦争
    第二章 戦闘に呼び込まれた鉄道
    第三章 鉄の道に敗北した奴隷制度
    第四章 学ばれなかった教訓
    第五章 戦争の新たなる武器
    第六章 世界中が予期した戦争
    第七章 西部戦線におけう大鉄道戦争
    第八章 東部戦線での対照的な様態
    第九章 またしても同じこと
    第十章 線路上の流血

    <メモ>
    p288「鉄道が新たに建設されていく速度によって軍の前進する速度が確定した」
    p343 鉄道は、軍隊がひたすら膨張するに任せれたことで、攻撃側が決定的な有利を手にする事態をいっそう困難にした。良好な兵站支援を保有する、より大型の防御車の壊滅はとうてい無理なことが判明した。

    2013.10.07 HONZで見つける。予約。5人待ち。
    2013.11.19 借りる
    2013.11.30 読書開始
    2013.12.08 読了 えらい時間がかかってしまった。

  • 翻訳が酷すぎる。内容は良かっただけに残念。翻訳者は基本的な歴史用語位は調べるべき。プロイセン大統領ビスマルクという記述があったのを見た時は脱力した。

  • 鉄道は戦争遂行にどのような役割を果たし、戦争をどのように変えたのか。鉄道を使い始めたクリミア戦争、大活用したアメリカ南北戦争。鉄道自体が戦争の引き金になった日露戦争。ドイツの鉄道への価値観が違いが反映された二つの世界大戦など。大量輸送によって大量に兵士や物資が輸送できるようになったことで、戦争が総力戦になり、兵站が重要視されるようになったことがよくわかりました。かなり読み応えのある量ですが、前述のように、戦争の変化などもよくわかり、内容も充実していました。

  • クリスティアン・ウォルマー『鉄道と戦争の世界史』中央公論新社、読了。シベリア鉄道と満鉄の例を引くまでもなく、陸上輸送に画期をもたらした鉄道は戦争の様相をがらりと変えた。本書は南北戦争からベトナム戦争に至るまで、鉄道が勝敗を決定づけた戦争の歴史を検証する。民需と軍需を考えさせる好著

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