- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120047190
感想・レビュー・書評
-
[優雅なる友喰らい]英国と米国をおよそ四半世紀にわたって騙し続けてソ連に加担し続けた伝説のスパイ,キム・フィルビー。現在に至るまで多くの謎に覆われているその男が,仮面の下で築き上げた「友情」に焦点を当てたノンフィクション作品です。著者は,インテリジェンス分野の優れた著作で高い評価を得ているベン・マッキンタイアー。訳者は,同著者の『英国二重スパイ・システム』の翻訳も手がけた小林朋則。原題は,『A Spy Among Friends: Kim Philby and the Great Betrayal』。
最低な人々の最高な物語が思う存分堪能できる稀有な一冊。騙し騙され,そして傷つけ傷つく濃密なスパイ劇の内幕が丹念に綴られており,次の展開にハラハラしながらページをめくる手が止まらなくなること間違いなし。
〜私は彼らを笑っていたのではない。私はいつも,個人的レベルと政治的レベルという二つのレベルで活動していた。この二つが衝突したとき,私は政治を優先させなくてはならなかった。〜
マッキンタイアー氏の作品はいまだハズれたコトがない☆5つ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ルカレを読みたくなった。
-
同時にイギリスドラマ『ケンブリッジ・スパイ』を見ていたのだけど、やはりドラマの理想と現実の間で苦悩しててかわいそう!幸せになりますように!と違って、現実はカサカサとした手触りで、どうぞバチが当たって不幸になりますようにとしか思えなかった。
-
本物のスパイの世界は渋く地道で、しかしかっこよい。
そして現実は小説より奇なり、を地で行くキムの裏切りの物語。
最高の一冊だった。 -
内容以上にキャッチコピー考えたコピーライターすごい
-
おもしろいんだけど、フィルビーが裏切り始めるまでは、彼の魅力やら人間関係やらが、なんかすごい細かいことまでたっくさん並ぶので、おもしろい。けど眠い。という展開だった。
フィルビーが裏切りがバレ始める段になったら、俄然おもしろい!
こんなにも人を裏切って、それを気づかせないでいることって出来るんだな……
人が望むように、それを思わせるってのは可能なのかも知れないけれど、その以前に人に好かれる魅力がそれを可能にするのか。 -
原書が出版された2013年は、キムフィルビーがソ連へ亡命して50年であり類書が他にも出版されたということで、このショックが如何に英国現代史上の出来事だったかを如実にあらわしている。
英国情報機関MI6の幹部で、将来長官とも目されるほど有能であり、すべての秘密情報を知りうる立場にあった主人公は、密かに共産主義を信奉したがゆえにソ連のスパイとして多くの情報を提供していたという、驚くべき実話である。特に冷戦初期40-50年代の米英のすべての作戦はソ連に筒抜けであり、今なお計り知れない多くの犠牲者や損害が出ている。
本書では、彼を取り巻く家族や友人同僚などとの関係を中心に描いている。実に魅力的で誰にも好かれ仕事もできる紳士だったようで、彼を信じてきた人々は真実が明るみになった後に、明らかに言動がおかしくなったようである。副題のように、かくも親密な裏切りにあっては、正常ではいられまい。
007のイアンフレミングも同時期に情報機関にいたこともあり、本書を読めばあれが半分くらいは事実かもしれないというくらい、当時のスパイ合戦は凄かったようである。
米ソ冷戦時代には本書に書かれたことがあったということを知るのは、現代史として大切かもしれない。時代の流れは変えられなかっただろうが、情報機関を中心にさまざまな影響を残したに違いない。50年経ってもさまざまに振り返りされるくらいだから。 -
誰からも愛されながら、その全員を裏切っていた男――MI6長官候補にして、ソ連側の二重スパイ。衝撃の亡命までの三十年に及ぶ離れ業を、MI6同僚との血まみれの友情を軸に描く。