海神の島 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053313

作品紹介・あらすじ

読売新聞オンライン連載中からその一騎当千ぶりが話題をさらった、汀・泉・澪の花城三姉妹が、沖縄、東京、鹿児島、福岡、山口、台湾を縦横無尽に疾駆する! 失われた「海神の秘宝」を巡り、三姉妹の欲望と三大国の思惑が錯綜する――冠前絶後の冒険小説。
山田風太郎賞受賞作『ヒストリア』から三年、満を持して贈る受賞第一作。


【目次】

第一章 失われた秘宝

第二章 三姉妹の夢

第三章 相続人の行方

第四章 古墳は囁く

第五章 銅鏡と貝輪

第六章 暗躍する男

第七章 純白の平和と黒いアイドル

第八章 海神島の正体

第九章 見捨てられた疎開船

第十章 海底の決闘

第十一章 禁断の島へ

第十二章 太古からのメッセージ

感想・レビュー・書評

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  •  突拍子もないシナリオ展開と破天荒すぎる女性キャラクターが沖縄を舞台に暴れまわる。
     この一文だけで、池上永一かと分かるほどに筆者のスタイルは確立している。

     今回は、曽祖父が残した「海神の秘宝」を巡って、個性際立つ三姉妹が争奪線を繰り広げる。

     三姉妹が幼いころ、蓮オバアに連れていかれたところは、米軍基地の中だった。
     ここに、オバアの父、三姉妹の曽祖父が言うには海神様の墓がある。
     三姉妹の誰かがいつかこの土地を継いで、一年に一回の海神様の墓参りするように、という頼みを三人は全力で拒否した。

     時は経ち二十年後、長女汀は銀座高級クラブのママ、次女泉は海洋学者、三女澪は地下アイドルになっており、それぞれの理由で金を必要としていた。
     そこに、蓮オバアが入院したという知らせが届く。
     病院で揃った三姉妹に、オバアは二十年前と同じ頼みをする。
     但し、加えられた情報は、引き継ぐ軍用土地の資産価値は五億円だということ。
     転がり込む額の大きさに色めき立つ三姉妹だが、相続するには条件があった。
     曽祖父が見つけた海神の秘宝を持ってきた者が、この土地を引き継げると。

     散会した三人は、さっそくそれぞれの力を駆使して海神の秘宝を探し始めるのだった。


     沖縄は辺境であるが、かつては王国の中心地だった。
     この狭い土地で、基地問題、国境問題を抱えている。
     基地問題でも沖縄人が抱く気持ちは様々、
     国境問題に関してもナショナリズムを客観視している。
     基地問題、国境問題に対し、あえて逆撫でする発言を登場人物にさせているが、そこに沖縄人と日本人の考えの断絶に気が付かされる。

     根拠なく尖閣諸島の領有権を主張するのに、県内の基地については返還要求を進めないのか。
     明らかな矛盾に気が付いている日本人がどれだけいるのか。

     ハチャメチャなストーリーに加えて、沖縄のアイデンティティを小説の形での主張が見え隠れする。

  • 三姉妹ものというジャンルがあれば、これはまさしく三姉妹もの。ただ、仲がとても悪いです。

  • 池上さんらしい登場人物のキャラが立ったお話。
    考古学や軍隊関係の知識も詳しめに書かれているように思えました。
    沖縄の人達の歴史や政治的な立場などについて考えさせられる感じもする。

  • 面白い。

    曽祖父が残した宝物を探しに行くというのは良さそうなストーリーだけど、その描き方が超ポップw。こういう描き方は、あまり聞いたことないですw

    最後は主人公が・・・と思ったんですが、そうならないのも良いですね。

  • 文章が、ウザい

  • 2021.4 まぁハチャメチャな小説でした。これだけめちゃくちゃなストーリーなのにバラけないのは作家さんの力でしょうか。
    ただ三姉妹の呼び名がエロ、処女、ロリというのは連呼されるとうんざり感一杯でした。

  • 沖縄の基地に地所を持つ漣オバァの遺産をめぐる三姉妹のドタバタ劇。三姉妹は汀(なぎさ)、泉(いずみ)、澪(みお)は、それぞれ「エロ」、「処女」、「ロリ」と渾名されるキャラクタ。三姉妹でこんなにもキャラが違うのは不自然な点ではあるが、漣オバァや姉妹の世代を越えたつながりなどが物語の核心となるため、必用な設定ではある。

    物語のほとんどは姉妹が繰り広げるトレジャーハントにおける幾重にも重なる騙しあいである。米中を戦争一歩手前まで国際情勢を脅かすところまで追い込むが、エンタメ小説らしくまとめてくる。重厚というよりはさくっと楽しむ小説である。

  • コネ、運、知識、色んな人も巻き込みながらの、三姉妹のお宝争奪戦。キャラが立ちすぎてるからか、映像化するなら、映画よりアニメの印象。地政学とか、国際関係とか、人間のルーツとか、深いテーマもベースにあるからか、単なる娯楽に留まらず、軽快なテンポもあって、凄く面白かった。

  • あぁ、もう、やっぱり大好きだ。そして、この人はいつもずっと先を行ってしまう。

  • 歴史と領土の重いテーマを3人姉妹のギャグを交えたコミカルなテンポで書いていて500ページでも苦もなく読めた。
    今まであまり気にしたことなかった沖縄の問題も興味深く面白かったが、3姉妹のお互いの呼び方が下品過ぎてそこはちょっと受け付けなかった。。。

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著者プロフィール

池上永一
一九七〇年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。九四年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第六回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。九七年刊の『風車祭』が直木賞候補に。二〇〇八年刊の『テンペスト』はベストセラーとなり、一一年の舞台化をはじめ、連続テレビドラマ、映画にもなった。一七年『ヒストリア』で第八回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『シャングリ・ラ』『レキオス』『ぼくのキャノン』『統ばる島』『トロイメライ』『黙示録』などがある。

「2023年 『海神の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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