今も未来も変わらない (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053351

作品紹介・あらすじ

星子は40代のシングルマザー。職業は(あまり売れていない)小説家。

大学受験を控えた娘を見守る日々、娯楽好きの親友・志保と楽しむカラオケやスーパー銭湯、

忘れた頃に姿を見せる元夫、そして20代の男との間には恋が芽生えて……!


レジャーも、ラブも、人生も、
大人が楽しむ物語

感想・レビュー・書評

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  • 40代の星子はシングルマザーで娘は大学受験生。
    作家をしていて、映画館で知り合った若い男と付き合い出した。志保は友人でカラオケ仲間。
    カラオケでは縛りと称してAHがつく歌とか、台詞が入る歌を選ぶという遊び方をしている。
    連作短編というのかな。
    婦人公論連載ということと、表紙に魅かれて借りてみた。
    連載時は「歌を友に、レジャーをともに」という微妙な題名。
    作者の長嶋有は女性作家だと思っていたがアラフィフのオッサンだったのが、一番心を動かされた。

  • ふいに図書館で借りるものは表紙で選ぶものが多い。
    読んでみると、40代のシングルマザーが大学院生と恋をしたり、
    娘の副担任(女性)と仲良くなり朝まで飲んだり。
    なかなか普通にはないような話が軽快に繰り広げられる。
    唯一昔の同僚が音信不通になったのが不穏な出来事だったけど、結局ハワイに行っていて、ズコーッとなる(星子的に)。
    大人になっても楽しい人たちでした。

  • 長嶋先生の本にはいつも新しい遊び心を教えてもらっている。今回もカラオケの曲の縛りやらSNS断捨離、酒の飲み方(軽自動車化?)や、あげくに年若い恋人との接し方まで。
    高校生の娘がいるバツイチで、映画、カラオケが趣味、女友達とスーパー銭湯にでかけたりと充実しきっているのに、小説家だし恋人はいるし、うらやましい限り。だけどこの星子さんを妬んだりできないのは生き方、楽しみ方のベクトルが私も同じ方向を向いているから。
    結局どうなったこうなったは描いてはいないし、分からないけれど、題名通りの
    『今も未来も変わらない』という風に星子さんは枠外でも生活しているんだなぁと
    いつの間にか私の友人の一人としてカウントしてしまう。

  • たしかにエンタメなレジャー小説だったけれど、
    分岐の生々しさに背筋が寒くなった。
    いま無事に過ごしてることも、無数に枝分かれした道の果てに、たまたまここに辿り着いただけ。一寸先は闇。みたいな。

    飄々として見える人がほんとにそれだけとは限らないし、
    といって違う面があったところで飄々さが偽りだということでもない。
    ピカソの絵みたいに、破綻してるようで全部同時に成立してるんだと思った。

  • 懐かしい曲盛り沢山で楽しめました。
    私が見つけた「あぁというフレーズが入っている曲」
    レベッカ「LOVE PASSION」

  • なかなか意表を突く恋愛小説。カラオケで過去に流行った歌が流れたりドローンが登場したりSNSを活用したりと、真っ只中の「今」との対比も面白い。

  • 『ダイアモンド』『人にやさしく』『イミテイション・ゴールド』……に共通するのは何だ?
    長嶋有先生は『猛スピードで母は』で芥川賞の人だけれど、近著はつるつるつるつる入ってくる。
    “公の場でオタクを隠さなくてもいい時代”に生きる女友達に、「ぜひ読んでくれ」と配って、顔を近づけてにっこりしたい。

  • 主人公の善財星子は、40代のシングルマザーで作家。
    娘は大学受験を控えた高校三年生。

    映画館で知り合った大学院生とちょっといい関係になったり、女友達とカラオケやスーパー銭湯などでストレス解消したり、娘の学業や恋愛にヤキモキしたりといった、特段大きな事件も起きないストーリー。
    だけど読み始めたら、なんとも心地よくて。

    ”楽しむことを工夫する。それが幸せへの第一歩。”
    ”大人は楽しくなければ”
    難しいけどね。
    難しいけれど、私が子ども達に見せたい背中は、これだ。
    その割によく落ち込んだ背中ばかり見せている気がするけれど、だからこの小説に惹かれるのかもしれない。

    でも、趣味の映画を通じて知り合った大学院生と、恋愛関係にならないとダメでしょうか?と、恋愛偏差値の低い私はどうしても思ってしまう。
    二人で会って、お酒を飲んで、楽しい話をして、「また会おうね」じゃ駄目なのかなあ。
    そこに恋愛のいろいろが入ってくるのは、ちょっとめんどくさいと私は思ってしまうので。

    熱を出した娘を看病しながら、「お粥が出来ましたよ、おとッつぁん」は、私もやったな。
    すごく冷たい視線を娘から向けられたけど。
    そういう時は「いつもすまないねえ」と言うもんだよ、まったく今の若いものは…ぶつぶつ。

    「実家箱」という言葉は一般的なのでしょうか?
    分類しきれない小物を突っ込んどく箱、のことだそうです。
    例えば、胃腸薬やアメ、リモコン、老眼鏡、爪切りなどがとりあえず突っ込んである箱。
    初めて聞いた言葉で、ピンとこなかったのでネットで調べたら、割とたくさん出て来てびっくりしました。

  • 親は子どもを正しいほうへ導かなくてはいけないから、つまらない人にならなくてはいけない瞬間がある。けれど、子どもがいるからといって遊べないわけではない。電車のなかで「蒸気でホットアイマスク」を使ってもいい。大人は幸せにならなければ、ではなくて、楽しくあるべきなのだ。楽しくあるために工夫が必要なのだ。

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    40代の星子さんはシングルマザーの作家。
    娘の拠さんは高校受験に向けてとても頑張っていて、塾の事務員と恋愛をしている。星子さんも20代の大学院生と恋愛している。

    拠さんの副担任、千場先生の行動にとても惹かれた。ゲームセンターのゲームをノーミスでクリアしたり、ドローンを使いこなしたり、星子さんと飲み友達になったり。とても愉快なひと。

    星子さんと志保さんとの繋がりで少しドキドキさせて、結局一件落着で物語は終わる。SNSで繋がっている関係と、直接会って話すことの違いを感じる話だった。
    最初から最後まで小さなネタが詰め込まれていてコメディな雰囲気だったけど、なんだか胸が熱くなる箇所もあった。ラブコメでありつつ、ハートフルコメディだった。

  • 会話のラリーが楽しめる。

    親になるのはつまらない人になるということ。

    という部分が、印象的。


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著者プロフィール

小説家、俳人。「猛スピードで母は」で芥川賞(文春文庫)、『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)で大江健三郎賞、『三の隣は五号室』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞を受賞。近作に『ルーティーンズ』(講談社)。句集に『新装版・ 春のお辞儀』(書肆侃侃房)。その他の著作に『俳句は入門できる』(朝日新書)、『フキンシンちゃん』(エデンコミックス)など。
自選一句「素麺や磔のウルトラセブン」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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