模倣の罠――自由主義の没落 (単行本)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054303

作品紹介・あらすじ

冷戦に勝利した後、なぜ西欧世界は政治的均衡を失ったのか。西側を模倣しようとして失敗した東側諸国では極右政党が伸張。トランプのアメリカもこの流れの中にある。自由主義の試練を描く。


目次

序 章 模倣とその不満

第1章 模倣者の精神

第2章 報復としての模倣

第3章 強奪としての模倣

終 章 ある時代の終わり

謝 辞

訳者解説

索 引

感想・レビュー・書評

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  • ●ベルリンの壁が倒れた時、国境を隔てる壁は世界16しか存在しなかった。それが今では65の防衛境界線が完成し又は建設されている。
    ●かつて専制への防波堤として賞賛された人権は、今では民主主義がテロと効果的に戦うための能力を制限するとして、常に非難されている。自由主義の存続への不安はかなり深刻だ。
    ●オバマ大統領がホワイトハウスを去った日に彼を最も悩ませていたのは「もし私たちが間違っていたとしたら?」つまり、もしリベラルが冷戦後の時代の性質を誤って解釈していたとしたら、と言う問いだった。
    ●手段の模倣のことを「借用」と、目的の模倣を区別する必要がある。日本は西洋の産業技術を借用したが、西洋の精神的な態度や倫理的価値を借りる事はなかった。しかし、共産主義の国は西側の目的を模倣する必要があると言う想定を生み出した。
    ●敗者はほとんど勝者の真似をする。しかし借り手は貸主の国の魂や精神、文化的アイデンティティには興味ない。
    ●中国は自国を国としてではなく、文明として見ているようだ。現在ではフランスに住むフランス人より、中国以外に住む中国人の方が多く、中国に投資する人の中で最も多いのは、中国以外に住む中国人だ。
    ●冷戦の終わりにより自由民主主義が、代替案のない唯一選択可能な政治モデルだと考えられるようになったことが、その後の自由主義の凋落に繋がったのではないか?
    ●西の仕組みを模倣した旧社会主義国では、西洋諸国は自由民主主義のレトリックをつかって国益や経済界の利益を追求しているに過ぎないと考える人が増えていった。
    ●また同時期の西洋諸国でも、新自由主義による経済政策が多くの労働者から生活の安定と未来への希望を奪っていた。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/713270

  • ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにしている今、制裁に一致できない中東欧のナショナリズムやロシアの執拗な西欧主義への反発を考えるうえで最良の参考文献になる。

  • レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12726255931.html

  • 東2法経図・6F開架:319A/Kr1m//K

  • 冷戦に勝利した後、なぜ西欧世界は政治的均衡を失ったのか。西側を模倣しようとして失敗した東側の苦難から、自由主義の未来を描く。

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著者プロフィール

1965年生。ブルガリア出身。ソフィア大学卒。ヨーロッパとデモクラシーを研究する政治学者。ソフィアの「リベラル戦略センター」理事長、ウィーンの「人間科学研究所」常任フェロー。『ニューヨーク・タイムズ』に定期的に寄稿。TEDtalkにも登場。著書に、『アフター・ヨーロッパ――ポピュリズムという妖怪にどう向きあうか』(岩波書店、2018年)など。

「2021年 『模倣の罠――自由主義の没落』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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