灰かぶりの夕海 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.47
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本棚登録 : 610
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120055621

作品紹介・あらすじ

どうして彼女がここにいる。
俺の前から、永遠にいなくなってしまったはずの彼女が――。
千真の前に現れた少女は、かつての恋人と同じ姿、そして同じ《夕海》と名乗った。だが彼女は、二年前に死んでいる……。
更に、仕事中に遭遇した殺人事件――密室の中で死んでいたのは、恩師の亡き妻とそっくりな女性だった。
彼女たちの正体は? そして、この世界には《ナニ》が起きているのか?
注目作家・市川憂人が描くのは、《世界の色》がガラリと変わる驚愕必須のミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 2020年に起きたパンデミック(大地震)後の横須賀。
    宅配便の仕事をしている波多野千真(かずま)20歳の前にパンデミックで亡くなったはずの恋人夕海と外見も声も名前も同じ少女夕海が現れます。
    ただ違うのは年齢のみ、恋人の夕海は同い年でしたが現れた夕海は18歳でした。

    行く当てのない夕海を千真は自分のアパートへ連れて行き、自分の仕事先で雇ってもらい、同じ仕事を始めます。

    そして、配達先でもある千真の恩師の金森先生の家で、既にパンデミックで亡くなったはずの金森の妻そっくりの女性が死んでいるのを二人は発見します。

    犯人は金森かと思いきや、金森も海辺で遺体となって発見されます。死亡推定時刻は、金森の方が早く、金森犯人説は退けられますが…。


    そんなに、見た目や声まで似た人間があちこちにいるものかと非常に疑問に思い、SF小説だとしてもちょっとおかしい設定ではないかと思い、星3つに下げようと思いながら読んでいたら、最後の結末には非常にせつなさを感じさせられました。
    恋愛小説としては優れていると思ったので星4つに格上げしました。

    • アールグレイさん
      こちらは、ひいてしまうほどなのです。
      う~っ!
      こちらは、ひいてしまうほどなのです。
      う~っ!
      2022/10/14
    • まことさん
      アールグレイさん♪

      凄いですね!!!
      アールグレイさん♪

      凄いですね!!!
      2022/10/14
    • アールグレイさん
      うん !!
      うん !!
      2022/10/14
  • 亡くしてしまった恋人とそっくりの女性が現れ… コロナ禍 災いの世界、二人の運命は #灰かぶりの夕海

    ■きっと読みたくなるレビュー

    市川憂人先生らしい、色々なカテゴリミックスの小説。
    恋愛、ファンタジー、本格&社会派ミステリーがうまく融合させ、作品全体を可憐な空気に包んだ仕上がりになっています。いつものとおり文章が澄んでいて綺麗なんですよね。読んでて浸れるところが魅力なんです。

    本作のイチオシは、主人公とヒロインの不思議な関係性。
    主人公は心根は優しいが、人との交流がうまくない無骨な彼。過去に不幸を背負ってしまった哀愁が漂う。ヒロイン夕海は、一見おとなしく従順な少女だが、熱い想いを胸に秘める芯の通った人間。

    そんな二人が手を取り合って過ごす日常を見ていると、これからどうなっていくのか、うしなった彼女との関係性の真相がどう影響するのかなど、恐る恐る読み進めることになります。

    亡くした彼女の真相については、かなり強烈。まさかこれは見抜けない。
    いろんな災いに包まれた世界ですが、これからも二人には、優しい光がさしてほしいと願うばかりでした。

    また本作のミステリー要素ですが、先生らしく奇妙な密室殺人というがしっかりと組み込んでおり、ファンとしても嬉しいですね。今回もびっくりさせていただきました。

    ■きっと共感できる書評
    人生長く生きていると自分は何のために生きているのか、考えることがあります。

    コロナ禍が続いて丸3年ですが、最近ではワクチンや治療薬も出てきて、少しずつ解決にむかって進んでいるようです。私も長年生きていますが、まさかこんなパンデミックが起きるなんて想像もつきませんでした。
    さらに大国が戦争し、日本の経済が傾いてくる。正直、これからの未来を憂う気持ちでいっぱいです。

    しかし本作を読んでいると、どんな境遇になっても忘れてはならない唯一のことがあると分かります。大切な人を想うきもち、一緒に歩んでいくという支え合う意思。

    主人公とヒロインのように、大切な人と歩んでいくことが、生きる意味のひとつなんでしょうね。

  • 実際に起こり得る災害に運命のいたずらを絡めたミステリー。死んだはずの人間が目の前に2人も現れたら誰しも違和感を覚える。人探しの検索アプリが悲惨な事件を引き起こすとは思いもよらなかった。

    • まことさん
      あるさん。こんにちは♪

      いつも、いいね!ありがとうございます。
      偶然ですが、私も、夕べこの作品を読了しました。
      同じ人間が、二人いるのがな...
      あるさん。こんにちは♪

      いつも、いいね!ありがとうございます。
      偶然ですが、私も、夕べこの作品を読了しました。
      同じ人間が、二人いるのがなん組もいるなんて、凄く不思議なミステリーでしたが、恋愛小説として読むと切ない作品でした。
      明日、レビューしようと思っています。
      2022/10/13
    • あるさん
      こちらこそ、いつもありがとうございます。
      同じ日に同じ本を読むなんて偶然ですね。レビュー楽しみにしています。
      こちらこそ、いつもありがとうございます。
      同じ日に同じ本を読むなんて偶然ですね。レビュー楽しみにしています。
      2022/10/13
  • 2023/01/02読了
    #市川憂人作品

    突如目の前に現れた死んだはずの恋人。
    同情から生活を共にするも徐々に
    惹かれていく主人公。
    恩師の家で亡くなったはずの恩師の妻
    そっくりの遺体に遭遇する。
    複雑な展開だが引き込まれる。
    世界観は市川作品全開。


  • ゴーグル、マスク、配送便、リモート授業に
    休講、東京2020、非常事態宣言。

    物語で登場するどのキーワードも、この数年
    常に見聞きし、身近に関わってきた言葉たち
    たげに、完全に先入観で読み進めてました。

    タイトルにある『灰かぶり』という
    キーワードにもっと注意を払って読む
    べきだったと後悔。

    振り返って考えてみれば、各所に挟まれた
    伏線になるほどと納得。

    二重にも三重にもひっくり返される真実は
    最後まで読まないと明かされない。

    状況設定から人の心理まで、全ての意外性に
    きれいに騙されました。

  • ネタバレなしに読んでくださいと誰かの感想にあったので、予備知識全くなしで読む。読了してみると、タイトルにとっても納得。綺麗に収まりすぎている気もしないではないが、トータルで驚かされた良い作品でした。SFとミステリーを融合させるのがとても上手い作家さんだなと改めて感心。

  • パンデミック禍のライトなミステリーかと思いきや…最終章で、まさに景色が一変する驚きの展開。まさか“灰”がアレのこととは…。とてもあざといと言うか、盛大にミスリードを誘う、強引な設定の話だった。ラストは悪くないのだけれど、如何せん第3章までが自分には色々と微妙で…。物語に没入できさえすれば、市川マジックを十分に楽しめると思う。

  • 突如として現れた元恋人と同じ姿で同じ名前の女性。彼女は2年前に亡くなったはず…さらに恩師の家に現れた過去に亡くなったはずの恩師の妻の死体??

    姿形も名前も出身地までも一緒やのに自分を知らない元恋人の超そっくりさん!まあ元恋人は死んでるから違う人なんやろうけど誰??ちゅうか怖くない??恩師の妻も同じ感じででてきたけどどういうこと?しかも死体??わけわからんまま謎が増えていくけどギューんと伏線を回収していくミステリ作品!

    こんなパターンか〜!って後半一気に灰に包まれて見えなかった世界が晴れてきてハイになりながら一気に読める。

  • 大災害のあと、配送のアルバイトをしながらかろうじて生きている大学生の千真。仕事中に亡くなった恋人そっくりの少女を助け、仕事を世話し、共に生活するようになる。少しずつ生きる希望を取り戻し始めた千真だったが、配達先の恩師宅で女性の死体を発見。恩師は姿を消していた。
    全編を「灰」の気配が覆い、ざらざらとまとわりつく。


    SF……?と思いつつ読み進む。
    パラレルワールドのような近未来ディストピア+恋愛小説。

    嫌いな記憶喪失ネタもこの設定ならば納得。
    しかし、現実の延長のような世界観が辛い。千真の「上司」たちのような存在が救いだが。

  • 3.11とcovid19を伏線とした、ディストピア風SFミステリに、作者得意のボーイミーツガール。死んだ筈の彼女にソックリな少女。そして、亡くなった恩師の妻にそっくりな死体。
    最近多い、死者蘇生とかゾンビみたいなオチかと思いきや、、、「そういうこともあるかもな」と思える動機はとてもよかった。終盤は分かっていてもメロドラマチックな展開で、ウルっときてしまうね。

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著者プロフィール

1976年、神奈川県生まれ。東京大学卒。2016年『ジェリーフィッシュは凍らない』で、第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。他の著書に『ブルーローズは眠らない』、『グラスバードは還らない』(以上東京創元社)、『神とさざなみの密室』(新潮社)など。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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