カラスは言った (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.50
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本棚登録 : 471
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120055966

作品紹介・あらすじ

つまらないいつもの風景の中、突然カラスが言った。
「ヨコヤマさん。第一森林線が突破されました。すぐに帰還してください」
その一言から、《部外者》の僕の旅がはじまる――。

感想・レビュー・書評

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  • カラス(鳥類)とちゃうやん!!
    近所の地元書店で、生物学の棚に並んでたんだが(笑)
    星新一味のあるロボットものっぽくもあるが、遠隔操作型カラス型ドローン(違法)を使った、異世代交流ヒューマンドラマ?ヒューマン??て感じか。まあ、軽くて短くて、静かとうか感情が波立たなくて面白い。文章は最近の作家さんによく見られる優等生型。ただ、生物のカラスが喋る系のストーリーを期待して読みはじめたので、そこらへんマイナスポイントからスタートではあった(超私的プロブレム)。カラス以外の登場人物がとても好感がもてるが、カラスを操作している人物だけ、拗れていてどうしても嫌悪感を抱かされる。同世代嫌悪が加味されているのか?しかし、カラスになりたいという気持ちは非常に共感がもてた。
     こういう”面白いこと”が日常に起こるとええねぇ、、とは思う。
    ただ、カラス(装丁ではボソ)と、同じサイズでまったく同じ動きが再現できているロボット(ロボットというより、アニマロイド的な)は、どうしても無理があるような、、。ハエとか昆虫の方がもっと現実的に思えるねぇ。まあ、ハエだとストーリー的に情が芽生えさせるのが、かなり難しいというか、丸森君変態設定にせんとあかんか。丸森君、十分やばいキャラ設定だが。

    >「三食エビピラフを頼んだ人はあなたが初めてです」


    私、旅先でこういう食事形態なので
    なんかなぁ、、と
    エビピラフ三食食う人らて、
    珍しないと思うんやけどな

  • ほんタメで紹介されていた本。やっと図書館で見つけた!
    主人公はニュースアレルギーがあるようで、ニュースは見ないで過ごしている。
    自分の手では負えない世の中の出来事ってたくさんありすぎて疲れる。距離を置きたい気持ちはすごくわかる。

    ちょいと近未来っぽい世界かも?現在よりちょっと未来っぽい。
    主人公としゃべるカラスとの出会いは素敵なものでした。
    テンポよく読めたし、冒険してるみたいで楽しかったです。この本に登場する動画配信のタレント名がファンキーでした(笑)

    この本の表紙のカラスのイラストとタイトルのフォントが最高すぎます♡

  • 2022年下半期ほんタメ文学賞の受賞作。
    主人公とカラスの掛け合いが面白くて可愛くて、ほのぼのする場面もあり、わけもわからないままとある事件に巻き込まれる緊迫感もあり…一気読みでした!
    私と主人公が似ていて、他人事とは思えなかった。すぐに人を好きになってしまうこと、そして人の言葉にすぐ「なるほど」と思って受け入れてしまうこと。
    今まで、日々報道される事件や関係者に対して、私は無関係者だから、特に言論やアクションを起こさない派なのだけれど、それも考えることを放棄しているだけで、実は傲慢なのでは、と思わされた。
    結局、部外者があーだこーだ言うのと、まるで自分ごとのように考えて行動したり発言するのと、どちらが良いかは分からない。でも、分からないことを理由に、知ったり考えたりするのをやめるのは、ただ逃げているだけなのかもしれない。
    本作でひとつはっきりと言えることは、素直なカラスが可愛いということ。

  • 最初は、カラスがいきなり話しかけてきてファンタジー❓と思ったけど、めちゃくちゃ現実的な問題に立ち向かう話だった。カラスと一緒に『ズッキーニ岩田』というひどい配信者から逃げていくうちに何が正しいのかわからなくなる丸森。だけど、カラスを助けたいという気持ちは本物だった。

  • 君ってさ、ちょっと話しただけで誰のことでも好きになるのに、ニュースで見ただけの知らない人のことは平気で批判できるんだね。

    なんだか、私が言われてるようでギクリとした。
    でもその後こう続く。

    彼女が苛立ったのは、部外者だから口出しをしたからではなく、思い合っていたのだから当事者意識を持って欲しかったからではないか。

  • 窓の外でカラスが突然無し始めるところから始まるので荒唐無稽なのかなと思ったら、近未来SFでした。
    世の中色々なニュースありますが、大概は他人事だし自分と関わって来ることは非常に少ない。それ故に他人事にしている事はとても多いし、それが一概に悪い事とも思わないです。
    でも、例えばSNSでとても仲良くなった人が、なんらかの活動に加わっていたとして、それをニュースで見たら突然自分の身近なものに感じられるんでしょう。
    そんな他人事から他人事ではなく感じてしまった部外者が主人公です。
    カラス型ドローンのいわゆる中の人に感情移入したが故ですが、姿が見えないが故に、その人の事が物凄く近しく思える事ってありますよね。淡々としている本ですが、彼の持った感情はかつて自分も感じた事あるな、と僕自身思いました。

  • カラスが少し可愛かった。
    自分に関係ないニュースに対しての関わり方について、何か考えさせられることがあるのかなと思ったけど、特に変わらなかった。私も主人公のように不可知論者だなと思う。

  • 2人の道中でのやりとりがとても微笑ましく、後半、思いがけず号泣してしまった。
    わたしにも、疎遠になってしまった大事な人がいて、主人公に共感できた。会えなくなってしまっても、言われた言葉はずっと残っていて、その後の人付き合いにも影響する。

  • 自分の意見がないのがコンプレックスなのですが、物事を主体的に捉えていないため解決のためにどうしたらいいか考えていない、だから意見をもってないのかもと思いました。
    人はそれぞれの立場で損得で感情で動く主体的な存在なのだから、信じるなんて行為は相手の他者性を無視していることというのはハッとさせられました。韓非子的だなと思いました。

  • 面白かった。
    カラスじゃなかったのには裏切られた。
    裏表紙のリュックに入ったカラスが可愛い。
    後日談のような連作短編があったら読みたいなぁ。

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著者プロフィール

1981年静岡県生まれ。天理大学人間学部宗教学科講師。東京大学文学部卒業,東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了,博士(文学)。2011-2013年,フランス政府給費留学生としてパリ・イエズス会神学部(Centre Sèvres),社会科学高等研究院(EHESS)に留学。2014年4月より現職。専門は宗教学,とくに近世西欧神秘主義研究,現代神学・教学研究。訳書に,『キリスト教の歴史 ―― 現代をよりよく理解するために』(共訳,藤原書店,2010年),論文に「もうひとつのエクスタシー ―― 「神秘主義」再考のために」(『ロザリウム・ミュスティクム:女性神秘思想研究』第1号,2013年),「教祖の身体 ―― 中山みき考」(『共生学』第10号,2015年)など。

「2016年 『ジャン=ジョゼフ・スュラン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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