マザー・グースの唄: イギリスの伝承童謡 (中公新書 275)
- 中央公論新社 (1972年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121002754
感想・レビュー・書評
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1972年に出版されたマザー•グース研究の草分け的な論説文。
北原白秋(→「まざぁ・ぐうす」に注目していたところがやはり凄い)等の日本語訳と、原文を比較できるように載せてくれ、とても面白かった。
●童謡の持つ力 ...意味はわからないのにリズムで覚え、頭のどこかに残っている点。
(例:とうりゃんせ、ずいずいずっころばし、かごめかごめ...)
●英語圏の文化に触れる(映画を見る、英語の勉強をするetc.)なら、マザー・グースは外せない点
(どんぶらこ、といえば桃というような、辞書には出ていない共通認識)
➡︎古くは中世以前まで遡れる欧米人の感覚で普遍なものが歌の中に沢山あり、それが現在でも表現の中で普通に使われている点
●この様な口承口伝のものを収集し本にまとめた先人研究者の苦労や重要性(時間が経つほど遡るのが不利、時代に合わないものが修正されたりする)と敬意
以上をふまえて、マザー・グースの生命力であるナンセンス、不気味、韻を踏むリズムの面白さなどの奥深い、けれど軽快な魅力を味わえる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生き残りが極めて厳しい新書の世界で、半世紀近く前の発行から版を重ね続ける「超」ロングセラー。
知っているのと知らないのでは天地の差が出るマザーグースの一端を丁寧に説明する名著。 -
英国童謡学の入門書として他になかなかお目にかかれない中、貴重で興味深い。事例が多いだけでなく、唄の解釈も充実しており素晴らしい。
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英語圏文化の土台にあるものといえば聖書、シェイクスピア、そしてこのマザーグース。辞書を見ただけではわからない、その生活に根付いた言い回しの由来はとても興味深かった。多くの例が挙げられる中で印象的なのは、どれも巧みな韻回しで何となく口ずさんでしまいたくなるその響きの良さ。そして、多くの唄が真面目なふりをして裏であっかんべーをしている様な、シニカルでナンセンスな内容となっていることだ。音韻が意味を裏切り、言葉が好き勝手に踊り出している唄の数々。もしかしたら、今の日本語は少しだけ生真面目すぎるのかもしれない。
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面白かった。
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マザーグースが気になっているときに見つけたので購入。
原文と日本語訳付きでマザーグースについての考察が進む。
若干、訳が硬い印象が受ける。 -
〝マザーグース〟って、なんとなく知ってはいるけど、実のところこれっていったいなんなのだろう?と、今更ながら興味をひかれて読んでみました。
イギリスをはじめとする英語圏では、わたしたちには思いもよらないほど〝マザーグース〟が人々の精神に深く溶け込んでいて、その影響は、日常会話や文学、その他の文化にまで及び、あらゆる方面で〝マザーグース〟が元になっている表現が頻繁に使われているようです。〝マザーグース〟を知らないと、言葉(英語)の裏にある微妙なニュアンスがつかめないし、言葉のもつ味わいも随分違ったものになってしまうみたいですね。
〝マザーグース〟には英国的発想の原型があり、英語圏の人々の集団的無意識をも形成するものだと知り驚きました。本書は40年ほど前に書かれたモノなのですが、歴史や背景がよくわかり、その面白さも充分伝わってきて、たいへん勉強になりました。 -
萩尾望都氏にまるまる影響を受けた高校時代。
これもその延長で手に取った本。
マザーグースの歌が生まれた時代やその背景など、少しでもマザーグースに興味を持った人なら必読だと思う。
「だーれが殺したクックロビン♪」←いや違うって。 -
高校生になったばかりマザー・グースに興味を抱くようになったときに手に取った本。そして、マザー・グースって誰か一人の呼称じゃなかったのか、というショックを受けた。作者不明のものが多いという現実・・。面白いと思ったのは、本当にネイティブな英語を使えるようになるには、マザー・グースの知識が実は欠かせないというくだり。他国の文化を本当に理解するためには、このような伝承童謡がとても強く関わってくる。目から鱗のような気持ちになりました。あと、童謡自体も思ったよりも多くの数が英文と日本語両方で紹介されているので、ただマザー・グースの唄を読みたかった私には満足いく一冊だった。
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無邪気と冷酷が隣り合わせで遊んでいるもの、なーんだ?