ストレスの肖像: 環境と生命の対話 (中公新書 1113)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011138

作品紹介・あらすじ

20世紀末の現在、「ストレス」という言葉が蔓延している。一体、ストレスとは何か?言葉の生みの親セリエは、生命法則の一部という。ストレスは、生体と環境との間に起こる「さざ波」であり、人間が生存していくための意志決定が複雑な社会にあっては「生きる証し」でもある。本書は、現代文明の必然的落し子「ストレス」誕生の謎から最新研究まで、時代背景と必然性の経緯を辿り、研究・臨床両面から、対応・解消法を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 日常にある小さな感動を探すことがストレス緩和の道らしい
    あんまし響かなかった

  • ストレスの定義、言葉の生まれた背景など歴史的なことから、ストレス論、行動療法まで幅広く捉えられている。「ストレス」に関する概観がつかめる。

  • 無意識=情動であり、意識的な部分から影響を受けるそれは、免疫や副腎皮質随質などに影響を与え、身体にも影響を及ぼしていく…というのが分かりやすかった。
    また情動が元気かどうか、二次認知行動が問題中心型か情動中心型かどうか、で、出会った出来事がストレスと成るかが左右される事もあるという話に納得。
    作者はストレスとは生物と環境の戦いであるといい、現代の人工的な社会環境は、皮肉にも人間には合ってなく、無理が来ているのではないかとする。(1993年時の本であるが)これは、今改めて考えてみるべき命題でもあるだろう。
    科学者への語り口も面白い。文学的作品も書いてもらいたいくらい作者の感受性豊かな表現たちに惹き付けられた。


    ひとまず 後で追記訂正します

  • ストレスの研究は生理学的な領域で進められた。外部の環境と生体の内部環境、自律神経のコントロールによるホメオスタシスなどをベースにセリエによる一般適応症候群が見出される。やがて物質から社会心理的ストレス因が問題視されるにいたって、生活の変化への対処や日常への認知行動といったコーピング理論が生まれ現在にいたっている。心と身体というデカルト以来の議論は、われわれのもっとも身近なところにある。
    最近の学問の花形とも言える脳科学の知見も著者は早々と導入し、大脳辺縁系(下等動物にもある旧い脳)に制御される“情動”がストレス対応への源であると指摘する。生体の崩れたバランスを回復させる実動部隊、内分泌系、免疫系の司令塔である。これは精神分析における“無意識”領域になぞらえるものであり、大脳新皮質が司っている“意識”との対話が有効に行われることによって生体の健康は保たれる。
    ストレス因の撲滅など不可能なことであるし、万人に通用する決定的な解消法などない。心の問題である以上、心のありようによって解決してゆくほかはない。刻々とたる“瞬間”に小さな感動を見いだせる開かれた心、それが「ストレスは人生のスパイスである」ということの意味であるようだ。

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