台湾: 四百年の歴史と展望 (中公新書 1144)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011442

作品紹介・あらすじ

一六二四年、大航海時代のオランダ支配に始まり、今日までの四百年に近い台湾の歴史は、「外来政権」による抑圧と住民の抵抗の記録である。外来政権はオランダ(スペイン)、鄭氏政権、清国、日本そして国民党政権である。では近年の目覚ましい経済発展の要因はどこにあったか。また急速な民主化の進捗は、対中国との関係で台湾をどのように変貌させるだろうか。一九九三年の「シンガポール会談」も踏まえ、歴史を描き、将来を展望する。

感想・レビュー・書評

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  •  今、台湾有事のことが問題となっているが、私は台湾の事についてほとんど知らないのでアウトラインだけでも知ろうとして本書を手に取った。
    以下、本書で知り得たことを記す。

    台湾は、沖縄県の最西端の与那国島からわずか120キロのところにある。

    ポルトガル人が「発見」した16世紀半ばの台湾には、わずかの漢民族系の移住民のほかに、先住民族として、(今日の台湾では、高山族と総称される)マレー・ポリネシア系の人々が住んでいた。

    今日では、先住民は、台湾の少数民族となっているが、当時はほぼ台湾全域に分布していた。

    日本では、この先住民を「高砂族」と呼んでいるが.この名称は、1923年に昭和天皇が摂政として台湾を視察した時からである。

    清国は212年にわたって台湾を領有したが、1874年までの約190年間は、消極的な形であった。

    日清戦争の講和条約が1895年4月17日に調印された。条約は、台湾と澎湖列島の割譲を含むものでありこれにより台湾は清国から日本政府に統治権が移った。

    共産軍に国民党軍が破れ蒋介石は台湾に下野した。

    アメリカは国民党政権は失敗であり
    、失敗の原因は腐敗と無能にあり、「不信の政権」と断定して国民党政権を見限ろうとしていた。

    米国のトルーマン大統領は1950年1月5日に、台湾海峡不介入を声明した。つまり、中国の共産党軍(中国軍)の台湾侵攻に、米国は関与しないことを意味する。

    しかし、朝鮮戦争が、6月25日に勃発し、トルーマン大統領は6月27日に、一転して「台湾海峡の中立化」を声明し、直ちに第7艦隊を台湾海峡の巡航に派遣、中国軍の台湾侵攻を阻止するとともに国民党軍による中国攻撃も阻止した。

    これにより以後、台湾は米国の軍事保護下に置かれ、冷戦構下の西側陣営の一員となる。朝鮮戦争の勃発は、国民党政権並びに台湾人の運命を左右する重大な出来事であった。

                         以上

  • 中国が力をつけている中で、台湾は世界の中で非常に重要な立ち位置を占めています。そこで、台湾について知りたいと思い購入しました。

    実は中学生から歴史が苦手で、こういう本を手に取ることも少なかったですが、現在を見るためには歴史を紐解かなければ語れない、よく言われるとおりだと思いはじめています。

    台湾の旧宗主国は日本と中国だけかと思っていたのですが、オランダ、フランスなどの諸外国もこぞって侵攻していたとは知りませんでした。日帝時代の台湾統治は、(結果的に)良い面も悪い面もある。江崎道朗氏がよく言っているように、国も一枚岩ではないのだから、それぞれで見る必要がある、ということが日本にも当てはまる例かと思います。著者は台湾に生まれ、日本の大学で教鞭を執っているという経歴で、両面の立場から史実をそのまま捉えてわたしたちに伝えてくれるようです。凄惨な侵攻の歴史を踏まえつつも日本はこれからも台湾の良き友であらなければならないな、と思いました。

  • こういう新書をはじめて読んだかも。いや〜人生なにが起こるかわかんないですね、私も日々変化していくもんだ…(急にしみじみ)
    今は台湾人のお友だちがいて、その方とお話ししているなかで、私は台湾旅行にいったことがあるけれど、台湾の歴史や政治について本当になんにも知らないということに気づいて恥ずかしくなって勉強しようと決意した。
    私はよく韓国や中国に旅行したりお友だちができたりするけど、彼らはよく日本の歴史や政治や経済に詳しくて、日本人の私の方が知らないことも多く恥じ入るばかりである。なぜ23年も生きて教育も受けてきたのにこんなにも自分は何も知らないでいるのか…?生きていく上で切り離せないことがらであると思う。
    台湾についてはぼんやりと日本が占領した時期もあるのに親日国家であることと国民党が逃げ込んだ土地であることしか知らなかった。これを読んでなぜ台湾の方々が日本をすいてくれているのか少しわかった気がする。(そして中国の人々をきらっている理由も)。日本人特有のルールにきっちり従う国民性(?)的なものが、帝国主義の中でも発揮されて評価されてるの面白かった。たしかにルールを守ることは、守らないことより大切なのかもしれない。

    しかしこれが20年くらい前の出版なので、その後の現代の動きがわからなかったのでそこらへんまた勉強したいと思う。
    台湾の友だちは当たり前のように選挙に参加し、政治の話をしてくれる。日本ではあまりこのような人に会うことが多くないのですごく彼らが成熟して見える…。
    もしかして台湾の今の政治家にちゃんと実力がある人が多いのは過去の日本の教育の影響もある…?台湾の友だちは「日本は技術力100としても60しか持ってないと言う」と言ってて、日本人には自信が足りないのかと思ってる。台湾の方は日本人的な細やかな勉強、研究と、華人的な自信を持って国を変えようと努力してるのかもしれんな…。一冊本読んだだけでえらそうに語るのはよくないのでもっと精進します。というか、歴史書もっと読みたくなった〜世界史大好きマンだったことを思い出したピヨ。高校のときの世界史の先生にすごく会いたい。

  • 初心者にもわかりやすい。台湾関連の本を読んでいて歴史的なことがわからない時、辞書的に使っている。

  • 14世紀から1990年代前半までの台湾の歴史について。
    台湾の歴史は、外来勢力による侵攻の歴史ともいえる。そこに日本も関わっているわけで、今の台湾を理解するには避けて通れない(逆に、知っていないと、今の台湾は表面しか見えない)と感じた。

    先日初めて台湾を旅行した際、現地の多くの方と会話をすることができた。その際「台湾を訪問するのは初めてです」「中国語は中国東北部で習いました」と話していたが、果たして、「台湾を『台湾』と呼ぶべきなのか、『中華民国』と呼ぶべきなのか」「中国のことを『中国』と呼んでいいのか『大陸』と呼ぶべきなのか」、心に引っかかった。
    背景は知らなかったが≪本省人(台湾系)≫と≪外省人(大陸系)≫の関係はデリケートな問題だと聞いていたから。結局、誰も僕が「台湾」「中華民国」「中国」「大陸」と言っても(反感は買ったかもしれないけど)指摘されなかった。

    ざっくりした歴史は、オランダ支配→鄭氏政権→清国支配→日本統治→中華民国。
    オランダ時代は、中継貿易拠点として台湾を植民地化し、重税を課された。
    清成立により追われた明(唐)残党勢力の鄭氏には、「清打倒」として軍事のためにまた重税を課された。一方、開拓と戸籍制度は整備されたメリットはあった。
    日本統治時代、端緒は日本統治反対の台湾人の反乱から、多くの死傷者が出た。前半はインフラ整備と教育整備のメリットはあったが、戦争後半頃は強引な同化政策がすすめられた。
    戦後、中華民国への編入。大陸は国共内戦で経済的にもボロボロになっていた。国民党軍のボロボロさや態度の悪さに住民は驚いた。また経済は大陸のあおりを受け、台湾で酷いインフレが生じた。住民(本省人)は「犬が去って豚が来た」と言い、失望した。
    二二八事件以降、国民党に害をなすと考えられた人々が惨殺されたり、政治犯として投獄されたりした。
    大陸で人民共和国が成立すると、国民党は台湾に本拠を移した。「国民党こそ正統、1つの中国」を唱えたために国際的に孤立することにもなり、中華民国が大陸も所管する部門をもたせることから、役人数が膨大になった。住民が国民党に批判することは許されず、民主化は李登輝総統が権力を掌握するのを待たねばならなかった。

  • 野嶋剛の「台湾とは何か」から始まり、司馬遼太郎の「街道を行く台湾紀行」を経て、この本にたどり着いた。
    フォルモサと呼ばれ、オランダやスペインが植民地とした1600年代から李登輝総統が誕生し、台湾を再生する1990年代中盤までの台湾について詳しく書かれている。
    特に、日本統治時代から、日本が第2次世界大戦に負けて引き上げ、その後中国が統治するようになった頃のことが詳しく書かれている。
    前の2冊を読んでいたので、この本の内容がよく理解できたように思う。
    李登輝さんが残した功績はとても大きかったということもよくわかった。
    3冊の本を読んで、これまで全く知らなかった台湾のことを少し理解できたと思う。

  • 台湾出張をきっかけに購入。台湾の歴史を概観できる。日本は2000年以上の歴史があるだけ凄いことが分かる。

  • 主に20世紀までの台湾史についてわかりやすく解説されています。いくつか読んでいる中では一番中立的な視点で描写されているように思えます。アジアの政治情勢の理解に役立ちました。

    自分は隣国の台湾について何も知らなかったのだと気が付きました。

  • 台湾の歴史をざっと掴むために読んでみたが流れが分かりやすい。著者が元台湾人なので、たまに文章が熱くなるものの、客観的な視点は忘れていないのでいい感じ。

  • 数大き台湾関連の歴史書を掻い摘んで纏めてある。

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