江沢民の中国: 内側から見たポストトウ小平時代 (中公新書 1185)
- 中央公論新社 (1994年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121011855
作品紹介・あらすじ
中国は現在「ポスト〓@68B0小平」時代への秒読みを開始しているとみられる。それは九三年以降、社会主義市場経済の推進など重要案件の決定は江沢民体制が代表する現中央指導部の手によるものであるからだ。近い将来、中国の政治・経済・外交はどう展開していくのか。本書では中国出身の政治学者が政経外交の各分野において、中国の伝統的な思考法、中国的な政治経済運営の方式、一元的な戦略方針を視点にして、内側からアプローチする。
感想・レビュー・書評
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筆者自ら、三年の寿命しかないと記した本を20年以上の歳月を経て、初めて手にしてみた。非常に正確な分析であることに感心した。一方、本の主題ではないが、20年前は、日本の言論が、まだ多角的視野をもって、抑制的な報道ができた時代だったと感じられる記述があり、中国のその後の成長以上に時代の流れを感じさせられた。
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「江沢民の中国」 朱建栄(著) 中公新書
この本は、かなり時間がかかって読むことになった。
しかし、中国の動向を実によくとらえている。
この人にあってみたいものです。
この本は、1994年に書かれていて、
実に時代を読み通していることに驚きを感ずる。
なぜもこれだけの方向性をうまくとらえることができるのか?
鄧小平が、1992年に南方視察をして、
「改革と経済発展」の二つの加速を唱えた。
1994年8月22日 鄧小平は、90歳である。
彼は、中国の分析が、
「保守vs開放」「穏健vs急進」
の2元的な視点で分析をする。
実は、2元的であるが故に、それに対して
バランスをとる思考方法をもっているところに
中国の強さがある。
江沢民が、なぜ混乱もなく、
長く政権の場についていることができるのか?
鄧小平の残したこと
それを「無為の政治」ですすめたことが大きい。
中国人は、鄧小平を神と思っていない。
社会主義市場経済の考え方;江沢民の言葉
1978年にはじまる。
計画経済体制内の局部的な「改善」と「改良」
で、「社会主義経済の活性化」だった。
→80%が国営、20%が、集団経営、私営企業はゼロ。
1982年第12期党大会に初めて
「計画経済を主とし、市場調節を従とする。」
という改革目標が提起された。
1984年には、「計画的な商品経済」とした。
1992年の14回党大会で、「社会主義市場経済」とした。
→非国営企業の生産高は、ついに全工業生産の5割を超えた。
個人経営と私営企業の雇用者数は、3000万人を越えた。
GDPは4200億ドル。370ドル/1人あたり。
購買力平価で分析すると
GDPは、1兆7000億ドル 1600ドル/1人
1993年11月の3中全会で
中国型市場経済の骨格をなす「50ヶ条決定」がなされた。
「持続、快速、健康」のスローガン
1994年 李鵬 「改革、発展、安定」
朱鎔基は、市場経済の運営のコツをもっていた。
経済に明るくても、計画経済での理解では、発展性がなかった。
ニューリーダー達
胡錦濤、王兆国、李鉄映、呉邦国
中国経済の本質
両極端の対立を許容する
中国の「国情」
「斬新」方式
「試点」の方法論
自然破壊と環境問題
つねに二つの可能性をもっている
鄧小平の16文字 「冷静観察、沈着対応、韜光養晦、決不当頭」
冷静に観察し、沈着に対応する。
爪を隠し、とぼけた顔をし、不利な状況を切り抜けろ。
時期を待ち、決して先頭に立つな。
江沢民の16文字 「増加信任、減少麻煩、発展合作、不対抗」 -
4121011856 223p 1994・6・25 再販