雇用改革の時代: 働き方はどう変わるか (中公新書 1508)

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015082

作品紹介・あらすじ

民間の職業紹介事業の原則禁止、派遣社員の働き方の制約など日本の労働市場には様々な規制がある。しかし時間労働と賃金支払いが一体の時代に有効であったこれらの規制は、裁量労働制の拡大、パートタイマーや派遣社員の増加、それに伴う正規社員との摩擦など、激変する情勢に対応しきれなくなっている。規制緩和は、今や企業側の都合だけでなく、多様な働き方を求める労働側からの要請でもある。雇用流動化時代の労働行政を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 1999年の状況と現在の違いもあるが、雇用形態の多様化は詳細に述べられており、労働に関する基本的な考え方は変わらない。非正規、派遣、パート、男女雇用機会平等化・・それぞれ課題が多い。

  • 八代によれば、現行の日本型雇用制度は高度成長モデルには合理性を有した雇用体系だった(若年層から老年層への再分配など)
    しかしグローバル化が進み、産業構造が大いに転換した今日こうした日本型雇用制度の維持は非合理的であるとされる。

    日本型雇用制度は暗黙裏のうちに正規社員と非正規社員を二分するものである。
    また正規社員の間でも男女格差などが存在している。加えて熟練労働者が成熟し、労使関係が従来のような:搾取する側ーされる側のような関係が崩れている以上
    現行の労働者保護制度は抜本的に改められる必要があるという。

    確かに八代が指摘したように、正規雇用の岩盤規制によって正規・非正規雇用の間に大きな格差が生じているいる点は間違いない。
    ただ問題なのは、正規社員における過剰労働に見られるように雇用全般での劣悪化が見られることである。
    私も非正規雇用の正規雇用化を図るのではなく、正規雇用と非正規雇用の境界をゆるめていく方向で規制緩和を目指すべきだと思う。
    しかし、使用者側は「性悪」的行動を取るとの思想の下で法律を設計する必要があるだろう。
    だからこそ昔のように連帯・団結する組織として「労働組合」が重要になってくる、
    残念ながら八代が古くさいと一蹴した労働観(圧倒的に強い使用者)はかえって昔以上に強くなっている。

    今後移民政策が入れば、いよいよ労働者の雇用条件は劣悪化しかねない。

  • 労働市場の規制緩和に関して、企業側の都合だけでなく、多様な働き方を求める労働側から要請があるとし、雇用流動化時代の労働行政を問いかけている。労働市場の自由化については、何が守るべきルールか、なにが緩和すべき規制か、よく考える必要があると感じた。

  • 「働き方はどう変わるか」というより「働き方がこう変わると良いなあ」といった感じ。<br>
    現実的な話ではなくただの理想論。
    図や表が少ないので「なんとなく」で言われている気になってしまう。現状の法を知るにはちょうど良かったけど。<br><br>

    あとがきが一番中身が詰まってて面白かった。

  • 八代さん本は卒論でお世話になりました。最近のご活躍については、、、あまり。。。

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著者プロフィール

昭和女子大学副学長,特命教授

「2022年 『日本経済論・入門〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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