- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121017758
作品紹介・あらすじ
一九五四年に自衛隊が生まれて五〇年が経過したが、警察予備隊の発足から陸海空の三自衛隊として陣容が整うまでには、さまざまな曲折があった。旧陸海軍将校をどう活用するかなど、アメリカの中でも意見の統一を計りがたいことが多く、日本政府との交渉も困難を極めた。本書は、ワシントンの公文書館で公開が始まった資料をもとに、政治と社会、そして軍事と多岐にわたる自衛隊誕生の歴史的経過を明らかにするものである。
感想・レビュー・書評
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一言でまとめれば、誕生に際して「米側主導の陸自、旧海軍主導の海自、日米共同作業の空自」。旧陸軍出身者は陸、旧海軍出身者は海、両軍の航空部隊出身者は空、という自らの軍種の勢力拡大を図ったとの構図も実に納得できる。一次資料を大量に使ったのだろう、事実関係が丹念に描かれているが、それだけに本としてはやや平板。また、朝鮮戦争への掃海部隊派遣やソ連機の領空侵犯が海自や空自の創設を後押ししたことは断片的には書かれているが、なぜ米側が非武装から陸中心の限定的な部隊創設、更に海空部隊創設へと方針を転換していったのか、その背景となる国際情勢も合わせて説明してほしかった。
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敗戦後、GHQの占領期を経て陸海空自衛隊が設立される経緯をそれぞれ描く。内容が内容だけに仕方がないのかもしれないが、前提的に山場が無く淡々とした語り口である印象を受け、あまりのめり込めなかった。
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日米の政治外交史、石橋湛山などの研究で知られる増田弘氏の著作。
戦後の再軍備関係を研究しているなら、増田氏の"Rearmament of Japan"の史料集の名を知らない人はいないだろう。
その増田氏が執筆した戦後の再軍備過程を描く著作なので、期待して読んだのだが、この新書あまり高く評価できない。
もちろん、膨大な一次史料に立脚した信憑性の高い研究だとわかるのだが、いかんせん文章に面白味が全くない。何か年表をそのまま文章にしたかのような文章で、内容が頭の中に入ってこない。(もちろん、これは私の勉強不足でもあるのだが…)
研究書としては分量が足りないし、新書としては内容が専門的すぎる。帯に短し襷に長し、と言ったところだろうか。