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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784121018182
感想・レビュー・書評
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文明歴史の最初の主役、シュメル。
彼らの生活が鮮やかに甦っていた。シュメルといえば、メソポタミア文明の創立者であり、ウルク、ウルの都市文明で栄華を極めていた知識はあった。アニメでもギルガメッシュやイシュタルが取り上げられたりしている。
ウルク、ウルだけが、この文明の主役ではなく、ラガシュ、ニップル、ウンマ等、多くの都市が王を中心に攻防を続けていた。シュメルは言語民族としては不明だが、サルゴンのセム語族アッカドとは関係が良好で、グティ人にアッカドが滅ぼされた後、ウル第三王朝をたてている。その後、エラムの進行でシュメルとしては歴史から消えていくが、この本は古バビロニア、新アッシリアまで網羅している。楔形文字、最古のハンコ、円筒印章にも多くのページをさいていて最後まで飽きさせない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最古の文明にしてその後の人類史の縮図となっているシュメル文明。シュメールではなくシュメルなのは、天皇=「すめらみこと」がシュメルのみこと、だとか、高天原はバビロニアにあったといった俗説が戦時中に横行し、学者がわざと音引きを入れたためらしく、アッカド語の原音にも正しくはシュメルだからとのこと。
シュメル文明はティグリス・ユーフラテスの賜物だが、当時から鉱物どころか石も木材もなく、泥と灌漑農業ばかりの世界。不毛だからこそ農業が必須で、家畜も取り入れた高度な文明だった。泥は無限にあるため粘土板はいくらでもあり、パピルスや羊皮紙と違って戦火で焼けても保存されるため、大量に記録が残っている点が興味深い。シュメル人自体は語族/民族も謎だが、セム語系のアッカド人とは古くから共存していた模様。
紀元前5000年ほどから様々な文化が現れ、前2900年で王朝時代が始まる。それからは戦争と交易の世界史定番のパターンが繰り返される。シュメル文明はギリシアのように都市国家同士の勢力争いと、グティ人、エラム人、アラム人など、セム語族の外敵との闘いが歴史の流れとなり、最終的には塩害による生産性への大打撃が決定的な模様。記録の必要性から文字が生まれたのは直感的にも想起させるが、文字の前にトークンと呼ばれる粘土の絵文字から始まったのが印象的だった。楔形文字も実際に葦のペンを見ると書き方が想像できて面白い。楔形文字は漢字のように表意文字で、古代オリエントで長く使われた。ただ漢字は五万もあり、楔形文字は600で済んだようだ。表音文字がネイティブな欧米の学者に対して、日本人の学者が貢献できた点も納得いく。漢字からカタカナも同様で、表語文字→表音文字→単音文字というのが万国共通のようだ。
同害復讐法のハムラビ法典が有名だが、もっと古いウル・ナンム法典では神明裁判や慰謝料などが制定されていたのが興味深い。 アッカド・サルゴン王の常備軍は5400人だったという。その他、戦争の記録から当時の武力衝突の規模感がイメージできる。
まさに法の起源、文字の起源、外交の起源…あらゆる文明の起源がここにあり、旧約聖書への影響も膨大で今なおシュメル文明は生きていると実感した。諺もたくさんあって当時の生活をリアルに感じさせる、非常に魅力的な文明。学園ものの文学まですでにあったとは驚きだ。 -
#2024年に読んだ本 56冊目
#10月に読んだ本 3冊目
わりと読みやすいのだけども
あまり馴染みのない文化なので
イメージしずらいところも多く
読むのに時間がかかったわ… -
シュメル文明単独で書かれた本というのは意外と少ないです。そんな中でシュメル文明とは何かということの全体像をわかりやすく語ってくれる本書は非常にありがたい作品です。
今から5000年前にこんな世界があったのかと読んでいて驚くばかりでした。
楔形文字の発明や神話というメジャーな話題だけでなく、気候や地理、政治経済などそれらが生まれてくる背景も語られるのでこれは非常に興味深いものがありました。 -
KT7b
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シュメールの始まりからウル第三王朝までの歴史を書いた本。
シュメールについての書籍は限られているので貴重です。
シュメールは地政学的に紛争が尽きない場所なため、現代の戦争や移民問題などのヒントが詰まっています。 -
僕みたいな世界史を教養程度に学び直しする人にとっては詳細すぎる。逆にそこを専門にしている人にとっては素晴らしい本だなとも思う
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同じ著者の『古代オリエントの神々』『古代メソポタミア全史』に引き続き、こちらを読む。ほぼシュメルに焦点を絞った内容で、その分円筒印章や学校の様子など日常生活に関する部分が多く楽しめる。現代日本との比較や共通点を述べた箇所も多く、親しみやすい入門書。「シュメール」の長音記号にそんな意味が、というのが一番の驚き。
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シュメルのことが知れてよかった。
これを機に古代オリエントを学ぼう。 -
「発掘品から読み取るシュメルのくらし」って感じ。
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最古の法典「ウルナンム「法典」」
やられてもやりかえさない。同害復讐法は採用していなかった。障害は賠償、銀を量って支払いする。
ハンムラビ法典は、遊牧民社会の掟である「同害復讐法」になっている。
裁判は、神明裁判。川に放り投げて、川の神が助けてくれれば、無実。 -
リピドイシュタル法典は賠償法
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メソポタミア5冊目
ポテロの本は、書かれた記録をもとに言えることを限定する歴史学者としてとても偉い姿勢で書いてあるけど、こっちは、考古学的なところへの視線が豊か
あとは、シュメルにしぼってあるのも良い
ポテロは抽象化、一般化しようとしており、そういう部分にすばらしい洞察が働いているし、いろんなヒントを提示はするけど、そこから先の、歴史化としての余計な言葉には敏感 ヨーロッパ人っぽい
こっちは日本人なだけあってちょっとそのへん緩さがあるんだけど、基本的には事実の列挙や特徴的な事象の紹介になってて、一般化をされておらず、正直、ちょっと散漫 でも、具体的、という良さはある
というわけで、そういうことがあるから、一冊の本で何かを完結させるのはよくないなーと改めて思った
次はついにギルガメッシュに入って、エジプトか、視線を変えて考古学か文字へいくかね -
2018-2-2
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旧約聖書の世界が物語の原点ではないこと。それに先んずる文字世界があり、旧約の物語はその地こそ相応しいことを知ったという点で興味深かった。他にも何カ所か合点の行く展開はあるが、その他の大半はシロウトには冗長で、読み終えるのに根気を要した。シュメル文化については、これ以上はいいかな?
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チグリス川とユーフラテス川に挟まれたメソポタミアの南部。
世界最古の文明の地は歴史の教科書でもおなじみだ。
その文明に一大変革を与えたのがシュメルである。本書は発掘
された遺跡や遺物からシュメルの文化・社会制度・宗教などを
読み解き、解説している。
時代を遡ること5000年から3000年前に文字を持ち、通商を行い、
法典を作り、戦争をして、奴隷を持ち、神々を崇めて、学校では
読み書きのできる書記を育てていたんだよな。
しかも、日本の判子に通じる円筒印章まで作成している。
この時代に既にビールが飲まれていたことも興味深かったが、
何故、これほど時代が経っても情報が残っているかだった。
粘土板なんだよね。この時代に紙はない。情報を記すのは粘土板
のみ。それが乾燥した土地であったことや、火災にあっても紙の
ように焼失しなかったことが大きい。
持ち歩いたりするには不便だが、保存という観点で考えたのなら
粘土板は紙よりも優れているような気になった。
ただし、保管するには場所を必要とするけれどね。
古代文明は教科書で習ったことくらいしか知らないし、ともすると
オカルトネタになってしまうのだが、本書は出土品の解説が多く、
「へぇ、こんな文化を持った人たちがいたのか」と面白く読めた。
尚、文字を書くのに使用されたのは葦だそうだが、メソポタミアの
葦は日本の葦と違い太くて丈夫なのだそうだ。その葦のペンの
使い方のコラムが楽しかった。私も書いてみたいけど、葦が手に
入らないよね。
イラク戦争の際に、貴重な出土品が博物館から盗まれてしまった
のは哀しい。戻って来たものもあるようだが、破損した部分もあった
とか。
遥か昔ではあっても、歴史を刻んだ資料は盗んだり壊したりしない
で欲しいな。
著者プロフィール
小林登志子の作品
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