- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121018410
作品紹介・あらすじ
「すべてはマーシャルにある」。ケインズに帰される革新的諸概念の多くは、マーシャル以来ケンブリッジでは共有財産となっていた。本書は、対立軸を設定しながら、マーシャル、ピグー、ロバートソン、ホートレー、そしてケインズの経済学を読み解き、ケンブリッジ学派を貫く実践志向を浮き彫りにするものである。現実に応えるための経済理論は、どのように継承され、発展したのか。時代と格闘した学派をめぐる経済思想史。
感想・レビュー・書評
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著者:伊藤 宣広[いとう・のぶひろ] (1977-) 近代経済学史、現代経済学。
【目次】
目次 [i-vi]
序章 理論と現実の狭間で―― cool heads but warm hearts 003
第1章 科学者と説教者―― A・マーシャル 011
第1節 人と背景 013
マーシャル略伝
古典派とマーシャル
マーシャル体系の性質――均衡と進化
第2節 マーシャルの需給理論と時間 021
部分均衡と一般均衡
四つの時間区分
スラッファのマーシャル批判――ケンブリッジ費用論争
第3節 マーシャルのマクロ経済理論 030
貨幣数量説と現金残高アブローチ
マーシャルの景気理論と現金残高アブローチ
マーシャルと物価水準
計表本位と合成本位
第4節 人間の研究 040
生活基準の思想
マーシャルと産業組織
国民所得と有機的成長
第2章 光明と果実の葛藤―― A・C・ピグー 051
第1節 人と背景 053
ヒグー略伝
マーシャルとピグー―光明と果実
第2節 ピグーのミクロ経済分析 06+
厚生経済学の三命題
自由放任への懐疑
厚生論争
ピグーと費用論争
第3節 ピグーのマクロ経済分析 072
景気循環の心理説
a/景気変動の原因
b/増幅要因
c/処方箋
ピグーの公共事業擁護論
ピグーの失業論
ピグーとケインズ『一般理論』
第3章 進歩と安定の不調和―― D・H・ロバートソン
第1節 人と背景 093
ロバートソン略伝
最後のマーシャリアン
第2節 ロバートソンの実物分析 100
ロバートソンの実物的景気循環論
実物的波及過程
資本財の限界効用
財政政策と金融政策
ロバートソンと大陸経済学
マネタリズム
RBC
第3節 ロバートソンの貨幣分析 118
ロバートソンと物価水準
ロバートソンの貯蓄論
銀行政策への理論的含意――四つの係数
貯蓄と投資
ロバートソンとケインズ――貸付資金説 vs. 流動性選好説
第4章 貨幣と実物―― R・G・ホートレー 137
第1節 人と背景 139
ホートレー略伝
第2節 ホートレーの貨幣・信用分析 142
貨幣ヴェール観との対決
公定歩合政策と公開市場操作
ホートレーと大蔵省見解
貨幣的景気循環論
マーシャルの現金残高アプローチと所得数量説
貨幣数量説批判
第3節 ホートレーの商人経済論 158
価格調整と数量調整
ホートレーの固定価格数量調整モデルとメニュー・コスト
ホートレーにおける商人
第5章 伝道者から反逆者へ―― J・M・ケインズ 169
第1節 人と背景 171
はじめに
ケインズ略伝
第2節 マーシャル経済学の伝道者 180
マーシャルとケインズ
正統派時代のケインズ
三階級区分とインフレ・デフレ
金利生活者の安楽死
第3節 伝統への反逆 189
『一般理論』
所得水準決定の理論――消費関数と乗数
セー法則
不確実性
流動性選好説とマーシャルの貨幣需要分析
「革命」の遺産
補論 その他の人物 211
F・ラヴィントン
J・H・クラッパム
W・T・レイトン
G・F・ショーヴ
あとがき(二〇〇六年一月 伊藤宣広) [218-221]
関連年表 [222-223]
文献案内 [224-242]
一次文献
二次文献
索引 [243-246]
【メモ】
F・ラヴィントン Frederick Lavington(1881-1927)
J・H・クラッパム John Harold Clapham(1873-1946)
W・T・レイトン Walter Thomas Layton(1846-1966)
G・F・ショーヴ Gerald Frank Shove(1887-1947)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリスのケンブリッジ学派を代表するマーシャル、ピグー、ロバートソン、ホートレー、ケインズの理論展開と人物などを紹介している。
入門書というより、すでにマクロ経済学の基礎知識がある人向け。あと、ケインズ経済学に対し、いったん距離を置いて眺めてみたい人にも向いている。
「経済学原理」を少し読んだことがあるが、マーシャルの偉大さが改めてわかった。 -
速読。若手学者によるケインズへ到る20世紀初頭ケンブリッジ経済学をコンパクトにまとめた。概念が難しくなかなか頭へ入らず。経済学の素養無いと読むの辛い。あくまで学級でまとめた一冊であり、現在の経済と連携はしない。尖った専門課程やゼミの教科書にみたい。索引や文献案内もきっちりまとめられ、読み進む手がかりは残されている。
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ケンブリッジ経済学派の人々の話。マーシャル、ピグー、ロバートソン、ホートレー、ケインズについて。ケンブリッジといえばケインズ革命と言われがちだけど、そもそもの根底はマーシャルにあり、ケインズ革命も所詮
マーシャルの手のひらの上に過ぎないという異端?的なスタンスで書かれている。やはりいかんせん、経済についての知識が乏しいので十分には理解及び堪能できず。