小泉政権: 「パトスの首相」は何を変えたのか (中公新書 1892)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018922

作品紹介・あらすじ

21世紀最初の4月、世論を背景に首相に就いた小泉純一郎。靖国参拝、北朝鮮訪問、郵政解散など、政権の5年5ヵ月は、受動的イメージだった日本の首相を、強いリーダーシップを発揮し得る存在に変えた。一方で、政権は「抵抗勢力」=派閥・族議員、官僚と対峙する上で、世論を頼みとし、人々の理性より情念に訴え続ける。新自由主義的政策を強く進めた内政、混迷を深めた外交を精緻に追い、政権の功罪と歴史的意義を記す。

感想・レビュー・書評

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  • 劇場政治

    トップダウン型政治決定
    時間軸の短さ
    道路公団民営化
    不良債権処理
    医療制度改革
    郵政民営化
    田中真紀子 vs 鈴木宗男
    自衛隊海外派遣
    中国韓国北朝鮮拉致

    アメリカよりの政治 国力が低下した

  • 小泉元首相の政治的人格を概説した上で、内政、外交と話を進め、
    政治史における立ち位置と利用された制度の成り立ちを解説する。
    最終的に日本社会に残されたその影響をまとめたもので、
    構成が非常にスッキリしておりわかりやすい。

    エピソードも政策の中身にページを深く割くものではなく、
    あくまで小泉元首相のスタンス、手法を主眼においた上で
    取り上げられておりブレが少なく感じる。

    個人的には「時間軸の短さ」という語が印象的だった。
    こうした態度がなければこれほどまでに名を残す首相には
    ならなかったんだろうなぁ。

  • 小泉政権の研究。道路公団や郵政公社の民営化を果たした小泉の実行力の根源を、アクターに焦点を当てて分析。
    経済再生諮問会議という「場」の創設による、党の頭越しでの政策決定、時間軸の短さによる派閥均衡無視、そして情念(パトス)を前面に押し出す姿をメディアで活用するなど、小泉の行った手法がよくわかった。
    反面外交考察に関しては小泉自身に関心がなかったと述べられているに過ぎず、拍子抜け。

    本書はアクター中心の本なので、制度が小泉のリーダーシップにつながったという論と合わせて読みたい。

  • どっかでみた名前だと思ったら駒場で授業とってた教授でした。「日本の政治」。顔は知らないけど。

    最近安部内閣と比較してみると小泉さんの特徴は顕著です。
    確かに政治手法として全く違う道をとろうとしていたんだなあ、といまさらながら。
    彼が利権と離れた位置にいたから色んなことができたんですね。

    55年体制の政治については、シケプリにいっぱい似たようなことが書いてあった気がする。
    おもしろかったです。

  • 小泉政権では何が行われたかの、全体の検証には非常によい本。

    題名にあるように、パトスの首相であり、そこにはロジックなものではなく、情感のみに訴えた政治手法については、やはり議論の余地があると思う。

    小泉政権全体を知るためには、おさえておく1冊。

  • 小泉内閣の特徴と功罪を分かりやすく解説していてためになった.
    今の震災後の状況で必要とされているのはあれくらいのぶれないリーダーシップなんじゃないだろうか.

  •  小泉政権の分析と総括を試みる書。

     小泉元首相を「パトスの首相」、「強い首相」という二つの側面から捉え、小泉元首相の政治手法や彼が進めた構造改革の特徴を分析している。
     小泉元首相の「強さ」の源泉として、制度的要素と個人的要素の両方があったと主張している。同感である。
     筆者は、内政の構造改革については、その戦略性を高く評価しているが、外交については、戦略性に乏しかったと指摘している。
     「パトスの首相」である小泉元首相は、政治家に求められる「責任倫理」ではなく、「心情倫理」に依拠していたとも指摘されている。

     直近の人物、出来事が対象にも関わらず、本書の分析はなかなか深みのあるものであると思う。筆者の見解に同意する点も多かった。
     また、本書は、小泉政権における構造改革や外交の内容がコンパクトにまとまっており、小泉政権について調べたいときにも重宝する良書である。

  • メモ
    2007年3月時点(あとがきの日付)の小泉評。
    内政(新自由主義的改革あれこれ)・外交(こんにちはアメリカさよならアジア)・と歴史的意義、功罪。キーワードは「強い首相」「パトスの首相」。
    族議員、官僚、利益集団、の鉄のトライアングルを内閣官房で縦横にぶちぬいて、官邸主導を実行できたのはなぜか?<内政改革進めて内閣権限強化+ポピュリズムを味方につける>ができたから。外交について、戦略不足だったのはなぜ。首相の関心の乏しさと竹中氏的な人がいなかったから。
    パトスあればこそ、あのスピードであれだけの改革を断行しまくれたわけだけど、それは「排除」の構造を産んでしまう。理性に基づいてじっくり話し合う「包摂」と両立するのが大事。でもそんな理想的な政治、想像できない・・・。と思ってたらラストに「政治のもつ可能性について視野狭窄に陥ってはならない」とあった。反省します。

  • 小泉さんが首相を務めた、激動の五年間が書かれています。『自民党をぶっ壊す』という耳に残るフレーズから入り、『変人』とまで言われた小泉さんの政治方針や策力がわかりやすく記述されている。まだ、出て間もないから、記憶に新しいところが多く、抵抗無く読むことができた。小泉首相の改革の本丸“郵政民営化"に至る過程、ビジョンを政治背景を踏まえながら捉えているところは、読んでよかったと感じた。

    政治とメディアをうまく結びつけたところは、素人目から見ても天晴れであったと言えるだろう。

  • 小泉政権の業績などをまとめられた本。どちらかと言うと否定的な立場からの記述だが、事実を網羅しただけともとれる。

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科教授
1966年生まれ。90年東京大学法学部卒業、通産省入省。東京大学法学部助手、東京都立大学法学部助教授などを経て現職

「2022年 『EBPM エビデンスに基づく政策形成の導入と実践』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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