ヨーロッパの中世美術: 大聖堂から写本まで (中公新書 2014)
- 中央公論新社 (2009年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020147
作品紹介・あらすじ
古代ギリシア美術といえば「ミロのヴィーナス」、ルネサンス美術といえば「モナ・リザ」。さて、典型的な中世美術といえば、何だろうか。キリスト教美術というイメージもあって日本人にはとっつきにくい印象があるが、先入観を取り払って見てみれば、奥深く多様な魅力に溢れている。エフェソス、ラヴェンナ、ブリュージュなどの遺跡や町をめぐり、大聖堂のステンドグラスを見上げながら、未知の世界に触れよう。
感想・レビュー・書評
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わかりやすいし面白い。
時代別ではなくテーマ別であるところがいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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中世においてキリスト教がいかに人々の生活、美術、価値観に影響を与えていたかがよくわかる。
著者の、ルネサンスが作る華やかなイメージはヨーロッパ人によって作為的に作られたものであるというのはそれなりに妥当性もあり面白い見解だと思った。
ヨーロッパに旅行に行く前に読んでおくと、ロマネスク建築やゴシック建築、そこに描かれた壁画を見る時に、より面白く感じられるんじゃないかと思う。 -
もう少し絵画や聖堂の写真があればいいのに。
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世界史を選択していなくて一番困ったことは、美術館や展覧会で西洋絵画のおもしろみが今一分からなかったことです。
この本ではそんな悩みに応えるべく、キリスト教になじみのない私にもわかるように、ヨーロッパ史とキリスト教の発展と、それがどのように絵画や美術品の主題となったのかを解説してくれています。挿図もたくさんあり、パラパラめくるだけで楽しめますよ。教養はないよりもあった方が人生楽しめるかも…と思う一冊です。
(熊本大学学生) -
本書は、西洋美術史を専門とし、
現在は愛知教育大学教授である著者が
西洋の中世美術について概説する著作です。
ローマ・ギリシアとの連続性や
キリスト教徒の関係など、中世美術の全体像を概説した上で、
信仰、聖遺物、都市、写本、そして巡礼など、
テーマごとに個別の作品を紹介します。
美術史の著作というと専門用語が並び
近寄り難い印象がありますが、
本書は話し言葉で書かれ、専門用語も必要最小限なので
気軽に読み始め、読み通すことができました。
観光のような巡礼、中世美術とルネッサンス美術の関係など
興味深く、もっと深く知りたいと思うことは多くありましたが、
とりわけ印象深かったのは、
カンタベリーの修道院について論じた12章。
私の場合、作者の顔がなかなか見えてこないことが
中世美術を敬遠する一因でしたが
ここでは修道院の復興工事を指揮した仏人建築家ギヨーム・ド・サンスについて
作業の工程や、建築の特徴をつぶさに紹介しているので
遠い過去の建築家でも身近に感じることができ、
彼が建てた修道院も、ぜひ実際に訪れたいと思いました。
ルネッサンス以降の美術と比べて、
縁遠く、興味を持ちにくい中世美術について、
平易かつコンパクトに解説した本書。
美術史に興味がある方はもちろん
ヨーロッパ旅行のご予定などがある方には、
強くおススメしたい1冊です☆ -
『ヨーロッパの中世美術―大聖堂から写本まで』(浅野和生、2009年、中公新書)
「大聖堂から写本まで」となっていますが、大聖堂や写本の前提となるキリスト教の成立の歴史も簡単に述べられており、中世のヨーロッパのキリスト教文化にもとづく美術が理解できるのではと思います。
大聖堂や絵画などの写真も多いのですが、ただ白黒印刷なのが最大の欠点ですね。口絵にはカラーの写真もあるのですが、圧倒的な少なさとなっています。
(2010年2月20日)