パリのグランド・デザイン: ルイ十四世が創った世界都市 (中公新書 2049)
- 中央公論新社 (2010年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020499
作品紹介・あらすじ
フランスが世界に誇る「花の都」パリ、そしてヴェルサイユ宮殿。これらを形作ったのは、ルイ十四世の治世に花開いた「グランド・デザイン」の思想だった。当時のフランスは、世界を席巻していたバロックに背を向け、徹底した計画志向の下でニュータウンを建設し、パリの街並みを整備し、ついにはヴェルサイユ宮殿を造営した。駆け引きに満ちた宮廷政治と、個性豊かな建築家たちの物語を通して、近代都市の源流に迫る。
感想・レビュー・書評
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割と読みやすかった。マリー・ド・メディシスがイタリアからさまざまな文化を輸入したところから一種の文明開化がフランスで始まり、建築にまつわるさまざまな技術の発展と相まって、パリの街並みの土台が形作られていくのを追うのが、読んでいて面白かった。
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1 リシュリューのニュータウン
2 森の城館
3 フランソワ・マンサールとフランス古典主義
4 王の寝室
5 アカデミーと新旧論争
6 ルイ十四世の都市計画
7 ルイ十五世広場の設計競技
8 穀物取引場とフリーメーソン
著者:三宅理一(1948-、東京、建築史) -
[冠たる都市の冠たる設計]卓越した都市計画の上に成立し、今日においても世界中の人々を魅了し続けるパリ。リシュリューやルイ十四世の時代にその淵源を求め、建築に関する数々のエピソードを紹介しながら、グランド・デザインの背景を探っていく作品です。著者は、フランス政府から学術交流の業績に対して学術教育功労勲章を受章している三宅理一。
都市計画に関する技術的側面のみならず、その背骨を形成した思想や価値観まで掘り下げて解説してくれているところが白眉かと。どのような歴史的推移を経てパリという街が成立したかが図面とともにわかりやすく解説されており、パリやフランスに興味を持つ人にとどまらず、広く建築に興味のある方にオススメしたい一冊です。
建築家が当時の宮廷グループの一員をなしていることが多かったこともあり、パリをめぐる「人間臭い」エピソードが魅力的なの点も本書の魅力の一つ。ただ建築的な才のみならず、コンペや役職を獲得するために政治的手腕を必要としたことや、土地取得のための利権絡む手続など、今日に置き換えても「ありそう」と思える話の数々が、本書を無味乾燥な解説書とは一味異なったものに仕上げていると思います。
〜ルーヴルから始まった一連の君主のための宮殿計画の行き着いたところが、世界の絶対中心としてのヴェルサイユなのであり、その後の時代はその絶対的秩序を緩やかに崩し、ロココ的な分散空間へと移っていくのである。〜
普段自分があんまり読むことのないタイプの本でしたが☆5つ -
フランス建築の歴史。
パリは(ナポレオンⅢの都市大改造)綿密な都市計画のもとに、今の姿があるが、それはそのころ唐突に始まったのではなく、ルイⅩⅢひいては、その父親アンリⅣあたりから、国家が都市と田園のあるべき姿を模索し、その公共性の思想のもとにいろいろな建造物が建てられていった軌跡を追ったもの(コンペに参加した建築家、当時の権力闘争etc....背景が非常に詳しく、興味深い)。
フランスの旅のお供に、これを読みながら、建築探訪すると、より楽しめるに違いない。 -
面白いっすわ。
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パリの都市計画というよりも、主たる宮殿や広場の建築、設計に関わる話です。舞台としては太陽王ルイ14世の時代前後です。個人的には、都市開発的なものを予想かつ期待していましたが、そうではなかったので、ちょっと残念です。
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都市というよりも宮殿建築のデザイン紹介の本であり、グランドデザインというタイトルが?であった。