科学技術大国 中国 - 有人宇宙飛行から、原子力、iPS細胞まで (中公新書 2225)

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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022257

作品紹介・あらすじ

国力増強の勢いを増し、政治や経済、あらゆる分野で日本を凌駕し始めた中国。では、自動車産業や電子・ロボット工学など、日本が世界をリードしている科学技術の分野ではどうか。本書では、スーパーコンピュータや原子力開発、iPS細胞など、近年注視されている六つの科学技術を取り上げ、中国の現状、日本との差異を分析した。中国は、世界"最強"の科学技術大国となりうるのか。その真の実力を探る

感想・レビュー・書評

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  • 【目次】
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    目次 [v-x]

    序章 巨人の正体 001
    科学論文での躍進/低い専門家の評価/食い違う像/科学技術最前線

    第一章 スパコン「天河1A」と「星雲」 009
    世界のスパコン開発事情/中国はどうか/「天河1A」/「星雲」/ハイブリッド型の功罪/画期的な成果だが……/TOP五〇〇ランキングの意義/HPCチャレンジベンチマークとゴードン・ベル賞/上がらない利用率/ビジネス応用で成果を挙げる/真の世界トップレベルへ

    第二章 有人潜水調査船「蛟竜」と海洋科学技術 029
    一 有人潜水調査船「蛟竜」 030
    未知なる世界、深海/バチスカーフとトリエステ/科学目的の有人探査船/兄は海の技術者、弟は宇宙の技術者/「しんかい六五〇〇」を抜いて世界一に/記録の意義とは/利用目的が不明?/重要部品はロシアから/開発は時間をかけて着実に/早期の経済的なリターン/課題は今後の運用
    二 海洋科学技術 045
    遅れてきた海洋大国/海洋調査船と観測衛星/南極観測の実施/韓国と世界一を競う造船業/将来を見据えた海洋石油・天然ガス開発

    第三章 望遠鏡LAMOSTと宇宙開発 051
    一 望遠鏡LAMOST 053
    天文学の歴史/LAMOSTとは/建物構成と光学系構成/光学技術レベルは高いが/SDSSプロジェクト/不安材料は観測精度・効率/データ解析能力の問題
    二 宇宙開発 063
    ロケット打ち上げ/有人宇宙飛行の誇り/用意周到な「神舟」計画/中国版宇宙ステーション「天宮」/数十年の年月を超えて蘇るソユーズ/人民解放軍の協力/中国版GPS計画/弱点を克服するには/全般的な技術力評価

    第四章 核融合研究装置EASTと原子力開発 079
    一 核融合研究装置EAST 080
    核分裂と核融合/トカマクとITER計画の発足/中国の最新鋭装置「EAST」/世界初の全超伝導トカマク装置/容量の限界/外国の技術や部品も使う/核融合研究人材をいかに育成するか
    二 原子力開発 094
    両弾一星――軍事技術開発/一週遅れの平和利用/海外技術が中心の原子力発電/実用化に向けた着実な歩み/人材育成の展望/住民の反対運動が課題に

    第五章 iPS細胞マウス「小小」 103
    幹細胞とES細胞/iPS細胞の開発/クローン技術の実績/世界初のiPS細胞マウス「小小」/効率の画期的向上/政府による研究支援/急激に向上する研究レベル/日本を凌駕する臨床応用体制/今後の日本との協力関係

    第六章 遺伝子解析会社BGI社 119
    遺伝子解析の歩み/BGI社の歴史/独特のビジネスモデル/インドのインフォシス社/BGI社の科学技術的な意義/アカデミックな実力を強化/社会にも貢献/欧米への窓口、香港支部/展望

    第七章 中国の科学技術の特徴 137
    一 進め方の特徴 138
    現在もキャッチアップ主体/技術・機器の外国依存/着実なプロジェクト実施/早急な実用化・商業化/自前での製作/最新鋭機器導入と運用体制/アジアは研究者の不正が多い?/信賞必罰で活性化/中国共産党の指導との関係は
    二 圧倒的な人材の厚み 154
    研究者数で世界一/世界トップの上海中学生/科学オリンピックで世界一/大学学生数で世界を圧倒/存在感の大きい中国留学生/清華大学の誕生秘話/増大する博士数/海外人材の呼び戻し/際立つ若さ/課題は何か
    三 急速に伸びる科学技術投資 171
    GDPの伸びを上回る/予算は名目で日本に逆転/資金力の秘密/中国版科研費「NSFC一般プログラム」/民間の研究開発費はどこへ

    終章 日中共存を求めて 181
    世界トップレベルと差のある中国/日中協力の意義/恐れてはいけないし、侮ってもいけない

    おわりに(平成二五年七月 林 幸秀) [185-188]
    参考文献 [189-190]

  • 1つだけ気になったのが、論文の引用数ランキングは国内で大分稼いでいたりしないのだろうか、という点。
    いずれにしても、留学生の意欲といい、したたかな知財戦略といい、決して軽んじるべきではない。

  • 中国での大きめの科学プロジェクトを各章で説明・考察する内容である.スパコンや宇宙開発については日本でもニュースになっている.本書では,その実力については高く評価していない.
    技術力については分野による差が激しいところかと思う.特に,海亀組が海外で身につけた知識をすぐに有効活用できる分野においては,数年で急速に伸びるのではないであろうか.

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著者プロフィール

科学技術振興機構研究開発戦略センター特任フェロー

「2019年 『東アジアのイノベーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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