うわさとは何か - ネットで変容する「最も古いメディア」 (中公新書 2263)

著者 :
  • 中央公論新社
3.20
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本棚登録 : 379
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022639

作品紹介・あらすじ

デマ、流言、ゴシップ、口コミ、風評、都市伝説…。多様な表現を持つうわさ。この「最古のメディア」は、トイレットペーパー騒動や口裂け女など、戦後も社会現象を巻き起こし、東日本大震災の際も大きな話題となった。事実性を超えた物語が、人々のつながり=関係性を結ぶからだ。ネット社会の今なお、メールやSNSを通じ、人々を魅了し、惑わせるうわさは、新たに何をもたらしているのか。人間関係をうわさから描く意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • 口裂け女に代表されるような都市伝説も含めた「うわさ」という真偽の不確かな「インフォメーション」について説明を試みた一冊。

    こう言ってはなんだが、「口裂け女が存在しないことを証明せよ」となったところで証明することは不可能である。
    それを踏まえずに「普通に考えていないだろう」や「元々はXXで作られた話が拡散して」「新聞にうわさとして書かれているので」という「うわさの起源」を出典を引いて説明して「居ない」ことを証明してしまっている点で「うわさ」を「うわさ」から外せていない。
    いわゆる「道具立てに失敗している」状態か。

    とにかく全体的に道具が甘い。例えば「海外旅行中に起きた誘拐犯罪に関するうわさ」というのが紹介されているのだが、これを渡航者数の増加だけで説明してしまう。本来は被害に遭った数の増減、例えば「行方不明者数」が重要で、これがゼロであれば「根拠のないうわさ」で、一定数が存在すれば「事実を元にした作り話」としての「うわさ」として説明がしっくり出来そうなものだが、その「普通に考えて当たり前」の数字をすっ飛ばして「それはただのうわさです」と結論ありきで書かれているので読んでいて辛い。説明自体がただの「うわさ」に感じる。

    「うわさ」というものがどういったもので、どのように拡散して行くのかという機械的な仕組みは一通り説明してあり、この点では読む価値はあるのかもしれないけど、こんなん中公から出す意味あるのか。

  • 思っていたよりもライトな本だった。 個人的には、 『教養主義の没落』のようなヘビーさを勝手に想定していたので、 こんなもんか、 という気分だ。 しかし、 うわさとSNSとの関連が論じられている本はおそらく(存在したとしても)数少ないだろう。 一読する価値はあったと思う。

  • ( ..)φメモメモ
    流言は、社会にとって好ましくない結果を生む、大きな「社会的逆機能」を持つが、うわさにはそういった機能はなく、毒にも薬にもならないものが圧倒的に多い。
    ——ゴシップは、個人に関するうわさ話である。

  • 興味深かったが、そこまで深い内容ではない。

  • うわさや風評被害はメディアの特性に大きく関係していた。
    2014年出版なので、少し古い感はあるけど、うわさ・流言の特質はとてもよくわかる。

    たくさんの参考文献を紹介しながら、わかりやすく書かれていた。

    デマやうわさに惑わされないには、自分ごととして考えられる想像力。
    新型コロナで混乱している今にぴったりの本だった。

  • 社会
    メディア

  • 298円購入2015-10-15

  • p.31 災害時にパニックはまれにしか起こらない

  •  コミュニケーション論・メディア論の研究者(中央大学教授)が、自らの研究成果をふまえ、うわさという「最も古いメディア」の歴史といまに迫った概説書である。

     うわさについて包括的に論じた一般書は過去にもたくさんあるが(私が好きなのは、別冊宝島の『うわさの本』)、それらの類書にない本書の強みは、ネット時代のメールやSNSなどを介したうわさの特徴についてくわしく論じているところ。全6章のうちの5~6章が、それに当たる。

     うわさ研究の古典的文献(清水幾太郎の『流言蜚語』など)の過不足ない紹介から、1980~90年代の「都市伝説」ブーム、そしてネット社会のうわさまで、うわさ研究史が概観できる。社会学・心理学・メディア学などを横断する「うわさ学入門」として、よくまとまっている本だ。

     随所で紹介されるさまざまなうわさも面白く、読み物としても楽しめる。
     たとえば――。

     戦後すぐの占領下日本で、「マッカーサーの祖先は日本人である」といううわさが広まったことがあったという。

     戦時中の日本人は、アメリカ人は残虐で好色だと教えこまれていた。そのアメリカ人に占領されたら、どんな恐ろしい復讐をされるのかと戦々恐々だった。ところが、占領統治が始まってみれば、米軍兵士たちはおおむね友好的であり、さまざまな民主化政策が次々と打ち出されていった。

     「占領前の予想と実際に行われた占領政策」のギャップを埋めるものとして生まれたのが、「マッカーサーの祖先は日本人」といううわさだった。つまり、“これほど日本人によくしてくれるマッカーサーは、日本人の血を引いているのではないか”というわけだ(これは著者の独創ではなく、米国の社会学者タモツ・シブタニの分析)。

     このような、うわさをめぐる面白いエピソードがちりばめられている。

  • 著者はケータイなどのコミュニケーションについて、学識に優れているひとらしく、インターネット以後のコミュニケーションについての解説が、わかりやすく深かったです。たとえば、メールの非同期性と記録性といった面から、メールの情報を伝えるメディアとしての性質、そして、メールでのコミュニケーションの性質をあかるみに出し、そういった面から、うわさの発生の仕方、伝達の仕方などを解いていく。インターネットの場合でも、その記録性や、増殖性、などを見ていって、うわさの伝達、発生、終息までを解いていきます。そういうところは一番おもしろかったです。ただ、本書の大半は、インターネット以前のうわさについてのものでもあり、そこらあたりに物足りなさを感じる人もいるかもしれない。しかし、うわさというのは、ただ情報を伝えるばかりではなく、ひととのコミュニケーションのネタとして役立つ面があったり、「おわりに」で書かれているように、<情報であると同時に、事実性を超えた「物語」である。>ということでもあるようです。

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著者プロフィール

中央大学文学部教授

「2012年 『ケータイ社会論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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