- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023339
作品紹介・あらすじ
地方消滅を避け、真の地方創生へ進むシナリオとは?全国896自治体の消滅可能性を指摘し政治を動かした増田寛也と、GDPと雇用の7割を占めるローカル経済の可能性を明らかにした冨山和彦が語り合う。なぜ「選択と集中」は避けられないのか、移民を受け入れるべきか、大学が職業訓練を行うべき理由、東北地方がもつ可能性、自動運転やドローンなど新技術と地方の関係…日本を襲う危機を見つめ、解決策を探る。
感想・レビュー・書評
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前著の第二弾です。
具体的にどのようなプロセスで、どのように人口維持をするべきかがまとまっています。
と同時に誤った解釈も載っており役立ちます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「地方消滅」のスピンオフ。
すべての自治体がグローバル社会で戦う必要はない。ローカルにはローカルのサイズ感と稼ぎ方がある、という切り口。
ローカルに差別的、との評価もあるようだが、地域それぞれでいいじゃん、というのは実はこの数年のバズワードである多様性の議論でもあるんだよなあ。 -
図書館で借りて軽く読了
メモすべき部分の要約
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【自分の意見なし(ややネタバレ)】
まず、全体の現状としてブラック企業の蔓延がある。かつては雇用のために低賃金でも価値があったが今は人手不足なので雇用が減っても問題ない。white企業が推進されていくべき。地方固有の現状としては会津若松市は福島県というだけで放射線の条件は仙台よりも被害が少なかったはずが人が来なくなっている。このような人口減少をうけての現状があるが、これからの展望として人手不足が逆に「必要は発明の母」というように介護ロボットや自動運転やその他創意工夫のアクセラレータとなると考えられ、例として東京大学と東北大学の東日本連合や高齢者が元気なうちに地方回帰されて地方での経営の訓練させることをしていくことが挙げられる。
その際「小さな東京」にならないようにすること、キャッシュレス化を進めることにきを付けるべきである。事例として金沢市は新幹線開通で東京派閥になったが、福井への開通による影響を踏まえ固有性をかんがえていくべきということがある。宮崎県のシーガイアは東京化の失敗例。
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現状の例外として会津若松市があり、人で不足による議会の倦等を防ぐため夜間議会で傍聴者を増やすなど議会改革に熱心である。県議会市議会などに行ってみたくなった。 -
私の本来の計画は、関西の大学を卒業して、地元で就職することでした。しかし私の力が及ばず、希望した場所に進学できず、関東の私学で勉強することとなりました。
就職を決めるとき、「関東の大学出たのだから、関東で仕事見つけるべき」というアドバイスに納得するところがあり、それ以来、関東地方に住んでいます。何度かの引っ越しを経験しましたが、記憶に残っている場所は、小学校5年生から大学入学まで過ごした、神戸です。
故郷を離れて30年経過したときに出た、中学校の同窓会を機に、地元のことが気になるようになりました。そんな私にとって、この本の「地方消滅」というタイトルは私の興味を惹きつけるものがありました。地元の方が美味しいものも食べられるし、景色も綺麗だけど、仕事を見つけるのが難しそうというのが私の感触です。私が既に若くなく、中高年であることも起因していると思いますが。
この本では、地方を活性させるためには、東京への一極集中でもなく、地方分散でもない、地方の核への集中・夫婦二人が働けば地方でも幸せに暮らしていくためにはどうすべきかについて、増田氏・富山氏の対談の形式で議論が進んでいます。明治維新で中央集権となってから、そろそろ150年、今のシステムを見直す時期に来ているのでしょうか。
以下は気になったポイントです。
・従来、経済が衰退すれば人手は余るというのが常識であった、しかし東北地方を中心に、現在の日本の地方では、急激な人口減少が進んでいる(p3)
・労働生産性をあげて、そして賃金を上げるには、2つのやり方しかない。分子にあたる、付加価値生産額を上げる=お客さんにより高い価格で評価してもらう、もう一つは、分母にあたる、投入労働時間を効率化する、きわめて普通な企業経営の話(p4)
・全国1799の市区町村のうち、896において、2010年から40年にかけて、子供を産む中心的な年齢の女性の人口は半分以下に減ることがわかった、これを消滅可能性都市という、その中でも総人口が1万人を下回る523の自治体はより消滅可能性が高い(p10)
・日光鬼怒川温泉において、傾斜支援ができたのは、メインバンクだった足利銀行が破たんして国有化されたから(p18)
・日本人が世界でも稀なほど拡散して居住するようになったのは戦後である(p25)
・従業員にちゃんとした給料を払えるようにするためには、県庁所在地やせめて、第二、第三の都市に人を始めとした資源が集中することが重要になる(p32)
・地方で共働きで年収500万以上を稼ぐイメージ、それが重要(p35)
・大学にはいまだに実務家教員を軽視する雰囲気がある、迎え入れるときは平身低頭、いざいくと既存の学部教員のほうが偉い(p70)
・地方大学の理系は、地域の産業と近いケースが多い(p75)
・議員内閣制の国政に対して、地方自治は、大統領制に近い仕組み。国政では衆議院で多数をとった政党の党首が総理大臣になるが、地方議会の場合、首長と議員が別々に選ばれる大統領制に近く、議員の選挙では何を選んでいるのかわからない(p85)
・地方政治においては、首長の在位期間が長くなるほど、首長に力が集まる。地方議会には予算提案権がなく、予算の否決と、減額修正しかできない(p87)
・65歳の定年後ではなく、60歳手前だと、いろいろな決断ができる、50代でセカンドライフを考えるように促すべき(p97)
・アメリカビック3は、省エネ技術を磨く代わりに、マスキー法を葬り去ろうと、ワシントンで莫大なお金を使ってロビイングをかけた、日本の自動車メーカは、一生懸命エンジンを開発して、それをクリアーした(p111)
・福島県の農産物の収穫量は、14年には38.1万トンまで回復しているが、風評が買い叩く材料になっているので、値段はなかなか戻っていない(p121)
・国民皆保険・皆年金が実現した、昭和36年には、定年が55歳、平均寿命が66歳であった(p131)
・東京ではUberを使う必要性がない、それによる配車の効率性が活きるのは、むしろ過疎地域のほうである(p133)
・佐川急便がアマゾンの取引から撤退して、今は、ヤマトと日本郵便でやっている(p141)
・ローカルの大学がミニ東大を目指さないことが重要である(p152)
・すでにコマツは、IOT会社になっている。GPSによる運行監視システムはロシアのベンチャー企業を買収、それをハードウェアにおける自らのダントツ技術と組み合わせて、完全にIOTのサービス型ビジネスモデルのプラットフォームをつくりつつある(p198)
・日本人は世界で一番、キャッシュで買い物をする国民である。(p161)
・今は新幹線開業ブームに沸いているが、新幹線ができると企業が支店を引き上げることになる(p166)
・現在起こりつつあるイノベーションの例として、自動運転・Uber・ドローン・人工知能・IOTがある、これはいずれも地方でこそ活きる技術である(p172)
2016年12月31日作成 -
少子高齢化による「人口オーナス」の克服には、「選択と集中」と「生産性の向上」が欠かせないことが、豊富な事例と筆者らの経験から詳述されている。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/673016 -
地方創成に関して、とても良い議論が展開されていると思います。専門的なテーマになるので万人向けの本ではないですし、2015年のほんなので少し古さを感じるところがありますが、このテーマに興味を持っている方には是非、読んで頂ければと存じます。
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特に東北における地方創生のビジョンが具体的で面白い。疑問点もあるけど、現代日本の東京地方における問題について細かく分析している。
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富山さんの話は鋭くて、とても面白い!
自分も地方大学で、そういうことをしたいのだと痛感する。