企業不祥事はなぜ起きるのか - ソーシャル・キャピタルから読み解く組織風土 (中公新書 2426)
- 中央公論新社 (2017年3月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024268
作品紹介・あらすじ
東芝の不正会計や三菱自工のリコール隠しなど、企業の存続をゆるがす不祥事が続発している。なぜこのような問題が起きるのか。東証一部上場の百社以上を分析し、「不祥事を起こしやすい会社」をモデル化した著者は、トップの暴走とそれを止められない社内風土=企業内のソーシャル・キャピタルに原因があるとする。「強いリーダーシップ」や「各部門のサイロ化」が危ないなど、意外な知見も。あなたの会社は大丈夫か?
感想・レビュー・書評
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企業不祥事のケーススタディー、要因分析、サイロ・プラクティス(タコつぼ)化、
グループシング等。コートガバナンスの在り方を究明。例えば役員構成、社長の年齢・在任年数、社外取締役の多寡等の要因分析。経営参考書としては、実証分析を踏まえたレベルの高い好書。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
企業不祥事を図示・パターン化した一冊。本書は、企業不祥事を引き起こす「組織風土」なる概念をソーシャル・キャピタル(社会関係資本)という視点から分析したものである。
結論から言えば、外部に対して閉鎖的な組織ほど不祥事の頻度が高く、さらに内部での凝集性が強い(=まとまりが良い)と企業の存亡にかかわる規範逸脱行動が多くなると著者は主張する。
この結論は理解できるが、その論理展開には疑問が多く残る。例えば、社会関係資本の分析として、経営トップと他の役員の年齢差が上がるほど、また、その株式保有比率が上がるほど、企業の利益率や安定性が損なわれているとしている。ただ、因果関係については――著者も述べているが――実証できておらず、またグラフを見ると、分析と異なる傾向を示している時期も存在する。いくら「統計的に有意」と言っても、もう少し説明が欲しい。そもそも副題の「ソーシャル・キャピタル」の視点が登場するのが第四章(全八章)からであり、二〇〇頁ほどの本に内容を詰め込み過ぎている。
分析視覚としては興味深かったが、全体的に説明不足であり、隔靴掻痒な印象が否めなかった。 -
最初は企業風土という胡散臭さの話から始まって、企業不祥事の定義付けや、組織のパターンの話になってくると、ちょっと眠かった。
2017年の本とあって、ケーススタディは割とニュースでよく見たものが多く、良かった。
オビには「強い絆が会社をつぶす!」と書かれている。
ケーススタディを読んでいると、世襲の社長や生え抜きの社長が、自分と懇意の重役や、同じ大学出身の後輩ばかりを重用して、ひとかたまりの楽園を作って倒れていっているものが多く感じた。
言えばクビになるし、言わなければあるグループには仕事のしやすい環境というのは、見て見ぬ振りが横行しやすいと書かれているし、まあ、そうだろうなと思う。
世間のニーズを常に意識しているのに、世間とのズレを露呈してしまうような企業内のもたれ合いは、一体どのように是正されていくのだろう。 -
社内の学閥であったり、人間関係グループであったり、資本関係であったりという要因が企業の不祥事に関わっている。逆にいえば、不祥事が起こりにくさ・起こりやすさは資本関係や社内グループに左右されるとも言える。コンプライアンス意識向上なんていうけど、それを社内教育で唱えるだけでは抑止力として無意味なんじゃないかと気がつかされた。
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東芝の不正会計や三菱自工のリコール隠しなど、企業の存続をゆるがす不祥事が続発している。なぜこのような問題が起きるのか。東証一部上場の百社以上を分析し、「不祥事を起こしやすい会社」をモデル化した著者は、トップの暴走とそれを止められない社内風土=企業内のソーシャル・キャピタルに原因があるとする。「強いリーダーシップ」や「各部門のサイロ化」が危ないなど、意外な知見も。あなたの会社は大丈夫か?