日本の公教育 - 学力・コスト・民主主義 (中公新書 2477)
- 中央公論新社 (2018年3月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024770
作品紹介・あらすじ
近年、教育の議論は過熱化している。無償化や学力低下など、その論点も多様だ。だが、そもそも公教育とは何のためにあるのだろうか? 本書は、その役割について、民主主義社会の成立や経済的意義などの観点から解説していく。
感想・レビュー・書評
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姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB00003642
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エビデンスをベースとして、教育政策を打ち出すことの重要性を説いた本。
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公教育の目的やコストベネフィットを統計学的な視点や哲学的な視点から解説している。
1番印象に残ったのは、公教育と言うのは、その社会の目的や方向性によってビジョンが変わり方法論も変わるべきだと言うことである。
詰め込み教育からゆとり教育そしてその反動と言う形で現在の日本の教育が動いている中、まずあるべき社会のあり方そして教育というのが非常に効率の良い投資方法であり社会における道徳や倫理観を養うセーフティーネットとなっていることを、エビデンスとともに社会に発信していくことで、教育に予算を費やすことへのコンセンサスをもっと得られるのではないかと感じた。 -
大変な名著。
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<目次>
序章 教育の公共的意義とは何か
第1章 社会変動と学校・家族
第2章 学校と格差・不平等
第3章 教育政策とエビデンス
第4章 教育の社会的貢献
第5章 教育にできること、できないこと
2018.04.27 新書巡回
2018.05.27 読書開始
2018.06.04 読了 -
855円購入2018-06-18
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「なぜ教育に税金が投入されるのだろうか?」
「社会は教育にどれだけのお金をかけるべきなのだろうか?」
これらは旧来から何度も問われてきた疑問である。
学校の機能不全が叫ばれ、公教育改革が矢継ぎ早に繰り出されている。しかし、そんな中だからこそ、教育の公共的意義について再認識する必要があるのではないか。これが本書のテーマである。
教育が社会の中でどのような機能果たし、あるいは逆に教育制度によって社会がどのような影響を受けてきたのだろうか。また、教育によって期待されることは何で、教育に出来る限界はどこにあるのだろうか。
学校制度の歴史や社会の変化を繙きながら、これまでの、そしてこれからの教育の社会的意義を問うていく。
本書の特徴は、扱っているテーマは古典的ではあるが、比較的新しいデータや実証分析を用いて、現実に基づいた主張を展開しているところである。「べき論」はともすれば独善的な論理展開に陥りがちなところを、事実は事実としてしっかり押さえ、意見は意見として主張しているところが見どころである。
また個人的には、社会科学における量的実証分析の限界をふまえた上で、分析結果との向き合い方や活かし方にも言及があるところに好感を持った。
エビデンスに基づいた主張がされている部分は、筆者の主張への賛成/反対を問わずためになる。新書にしては少々難解ではあるが、教育業界に携わる人だけでなく、学校教育に関心のある保護者などは手に取ってみてもよいかもしれない。