なぜ人は騙されるのか-詭弁から詐欺までの心理学 (中公新書 2544)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025449

作品紹介・あらすじ

対面、電話、メール、SNS……私たちは日々、コミュニケーションを取っている。街には広告があふれ、テレビや新聞はニュースを伝える。それら多くの情報をどうやって処理しているのだろうか。中には、購買意欲がわくように効果を誇張した宣伝や、都合の悪いことを言い繕うためのごまかし、根拠のない誤情報も混ざっている。
だまされないために、どう心構えし、対処すべきか。言語心理学から冷静に分析する。

感想・レビュー・書評

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  • これは、酷い(笑)

    いわゆる認知心理学の本で、事例はともかくさほど目新しいことは書いてないなと思っていたが、実は、ガラパゴス左翼のバイアスの、現政権、トランプ批判本だった。

    いやー。

    政治と論理的整合性は必ずしも一致しないし、これ、ほぼ揚げ足取りの肩持ちだし、逆側の歪みは軽く見てるし、あまりに酷過ぎて、星四つです。

    あのね。

    思想に偏りがあるのは構わないんだけど、まさに、あなたが論じている様々なバイアス、誘導の教科書だよ。

  • 私は佐藤優さんの本をすでに74冊読んでいてかなり洗脳されているけど、彼が小保方さんを悪く書くと「それは違うのでは」と毎回思うのです。
    でもこの本を読んで、「私はヒューリスティックな処理をしていたのだ」と知りました。
    小保方さんはシステマティックな説得は不首尾に終わりましたが、ヒューリスティック処理に働きかける説得はある程度成功したともいえそうです。
    ただ、未だに「彼女は周囲の人たちに巧く利用され捨てられたのでは」という感はぬぐえないのですが。

    ところでひとついいことを知りました。
    〈2018年に消費者契約法が改正され、不安を煽る商法や恋愛感情を利用する商法など「困惑する状況で結んだ契約」に関しては取り消しが可能になった。(2019年6月15日施行)
    これは民法改正によって成人年齢が引き下げられ、18歳19歳でも親の同意がなくても契約が可能になったことに対応した対策の強化である。〉

    でもそんなことになる前に
    〈「ここで断ったら相手に悪い」などと考えるべきでない〉
    きっぱり断ること。
    さっさと立ち去ること。
    そして自分はぜったい大丈夫なんて思わないこと。

    さて、政治家たちの具体的な例がでていて、とても面白かったです。
    参考になりそうなので「ごまかし答弁」をメモ。

    1語彙のすり替え キーとなる語の意味を特殊なものにすり替える
    2質問の焦点ずらし 質問された趣旨を別のものにずらして答える
    3答弁の改変 過去の答弁内容を都合いい方向に少しずつ変えていく
    4応答の冗長化 質問には直接関係ない内容に言及したり、質問の答え自体をいたずらに冗長にして質問への答えを曖昧なものにしたり回避する
    5批判による対抗 質問の趣旨を批判することで、質問自体への回答を回避する
    6常套句の頻用 常套句によって趣旨を不明確にし、内実のないことを取り繕う

    本当はもっと早く知りたかったですが。

    ただ、答弁について、野党党首らは知識もあり関心も深いので、システマティック処理で説得することになりますが、テレビなどで報道されると様々な視聴者すなわち有権者も受け手となりますから、ヒューリスティック処理によって納得してしまう可能性がある。
    そこが気を付けなければならないことだと、あらためて肝に銘じます。

  • 人は騙されやすい。まず集団内にいるなら周りの空気に流されるだろうし、疎外される恐怖なども後押しして大衆の意見に飲まれ易く、また飲まれようともするだろう。そうでなくとも、誰にでも思い込みや誤認識はあるだろうから、元々どう考えていたかによって、判断基準がある程度決まってしまっている様に思う。なるべく考え方は変えたくないし、なるべく人と同じことを考えていたいと言うのが人間の性ではないかと感じる。
    本書は人がなぜ騙されやすいかについて、様々な詐欺手法や広告手段、また政治家が上手く質問を交わす様な国会答弁などを例に挙げ解説していく。何より人の中にある思い込みやバイアスなどが判断力を鈍らせ、詐欺に引っかかったり、要らぬ商品を購入してしまうなどの予期せぬ結果につながっていく。
    私も昔から思い込みが強く、自分が考えたことを他人から否定的に言われたりすると、事実がどうであれ自分の考え方に絶対の自信の様なものもあるだろうからカチンと来てしまう事がある。その度に自分のそうした考え方に嫌気が差しつつ反省を繰り返している。オレオレ詐欺にかかる人の半数以上が、自分は大丈夫(詐欺にかかるはずがない)だと考えていたと言うから、大丈夫という何の根拠もないかなで何故か自信がある方が怖い。それ自体が大きな思い込みであり、詐欺にかかった際の視野を著しく狭くし、注意力の大きな低下を招いてしまっているのかもしれない。
    更に本書では、インターネット広告や昔ながらの囲い込み詐欺も取り扱う。少しでもこの様な詐欺被害は無くなって欲しいが現実はお年寄りもケータイ・スマホを持っている。そうした偽の情報やフェイクニュースへのアクセスが容易になった事に加え、歳を取れば誰もが認知力や判断力が低下するのは避けられない。
    まずはこうした手法を本書の様な書籍で学び、知る事で自身が引っかからないこと、更には自分の親や祖父母へと注意を呼びかけて、そういった犯罪を未然防止する必要がある。詐欺に限って言えば手口は明らかに巧妙化し、未だ年間の被害額が減る見込みはなさそうだ。
    先ずは自身がしっかり考えることで、ニュースや友人との会話の中でも出てくる、偽の情報を上手に選別していく事が大切になってくる。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1316762

  • 典型的な左派の著者による本。
    保守層は騙されやすく、嘘をつく、オールドメディアが正しいなど、偏るがひどい。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼
    https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000042570

  •  コミュニケーションを図るために、人間の脳は隙間を補う働きがある。確かに、1から10まで話すのではなく、文脈に応じて省略したり、言葉のニュアンスでプラス向きマイナス向きな判断をしたりする。

     それが、仮説確証バイアス(自分が予め持つ予測に当てはまるような事例に目を向け解釈する)、正常性バイアス(自分は大丈夫だろう)、真実バイアス(相手の言うことは嘘ではないだろう)に繋がり、騙されてしまう。

     特に、政治家の言い逃れパターンの分類は面白かった。語意の摺り替え、焦点ずらし、答弁の改変、応答の冗長化、批判による対抗、常套句の頻用など。答弁の際によく分析してみたい。

     情報化社会の進展に伴い、世の中には大量の情報が溢れる中、根拠の不確かなフェイクニュースが盛んに流れ、フィルターバブルにより自分の都合の良い情報ばかり得ている可能性がある。人間である以上恣意的な解釈から全く免れるのは難しい。しかし、根拠の確認や統計学的視点を持ち、正しい情報が見分ける姿勢を持ちたいと思った。

  • 人は自分が思う以上に、外界からの情報の判断を無意識・自動的に行っている。
    騙そうとする人間はそこを突く。
    騙されないために、またバイアスで誤った・偏った判断に陥らないためには、その判断のメカニズムを知り、振り回されないように注意することが必要。

  • 振り込め詐欺は、防護動機理論で説明できる。
    信じたいことを信じる。
    人間はデフォルトで行動している。
    係留点で判断している。大台割れと割安感、おひとり様2個まで。糖質オフ、希少性の協調
    確証バイアス=その行動ばかりが目に付く。
    感謝を先に言う。=同調効果
    福田内閣よりも福田改造内閣といったほうが支持率が高くなりやすい。
    オプトインとオプトアウト。
    エッフェル塔の例=単純接触効果。電通鬼の十訓

    認知のひずみに抵抗することは難しい。
    10200円の5%引きより9800円のほうが安く感じる。
    副詞の多用は、話をはぐらかそうとしているのではないか。
    いわば、つまり、まさに、など。
    代位のすり替え、常套句の賓用。
    フェイクニュースは北マケドニアから。

    動機づけられた推論=情報選択のバイアスと情報吟味の歪曲、対象に対する感情。=環境保護、○○は体にいいか否か。心理判定の結果に対する反応。

  •  これはなかなかおもしろい。自分が見たいものを見るというのはどうしようもないことで、人間である以上完璧に客観的であることはできないような気がする。そこに騙し屋のつけ入るスキがあるということなのだろう。読んでいてなるほどなるほどと納得している、そのことが著者に騙されているのかもしれない、というのは言い過ぎにしても、将来的に通説がひっくり返ることだった十分あるのだから。後半に政治家の言い逃れや詭弁が例に挙げられていたのが笑える。あれは騙しの典型例というわけね。

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著者プロフィール

愛知学院大学心理学部教授

主な著書
ことばの社会心理学 ナカニシヤ出版 2010年
ミス・コミュニケーション  ナカニシヤ出版 2011年
悪意の心理学 中公新書 2016年
なぜ人は騙されるのか 中公新書 2019年

「2023年 『コミュニケーションの社会心理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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