内戦と和平-現代戦争をどう終わらせるか (中公新書 (2576))
- 中央公論新社 (2020年1月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121025760
作品紹介・あらすじ
人類の不治の病と言われる戦争。そのほとんどが国家間の紛争ではなく凄惨な内戦である。本書ではシリア、イラク、アフガニスタン、南スーダンを例に、内戦の発生から拡大、国連や周辺国の介入の失敗、苦難の末に結ばれたはずの和平合意の破綻といった過程を分析。テレビ局の報道ディレクター、国連日本政府代表部の公使参事官、そして研究者として一貫して平和構築に携わってきた著者が、戦争克服のための実践的方法を説く。
感想・レビュー・書評
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東先生は、単なる研究者に留まらず、NHKのディレクターや国連日本政府代表部公使参事官などを経験され、実務家としての一面を持っている。故に、内容は専門的でありながら実践的かつ中立的で、論理もわかりやすかった。
重要な論点(p. 64)は、平和構築の段階における包摂性と、隣国や大国による国連の濫用。
純粋な感想
・紛争地域の支援で生活できるか(金銭面)
・女性が行くと危険ではないか(暴力や性被害など)
・私に何が一番求められているか
→金銭面?ビジネスでアフリカ進出?雇用創出?
・水道がないことによる伝染病の流行などはいつから問題になったか
・平和とはどうなることか、何をしたらいいのか知りたくなったので、今学期は先生の授業を始め、平和学関連の授業を多めに取る詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
勉強会で使用。
内戦に対する和平に向け、周辺国や、国連の役割をベースとなる理論に基づき、多くの事例を元にまとめたもの。
著者ならではの経験と人脈を活かし、様々な和平事例をあげながらも帰結は著者の1次情報やインタビューに基づいた話でまとめており、分かりやすく、歴史的出来事ではなく実際にあった出来事として結びつけやすい。
ただ新書だからか簡潔にまとまりすぎており、論が雑に見えてしまう部分もちらほら。
特に日本の役割として"平和国家"だからこその第三者的役割や、経済大国としての支援を掲げていた点は論が古く感じた。
経済支援に特化せざるを得ない日本の現実や、
日本が誰によっていつ、なぜ平和国家になったのかなど
支援する立場としての日本の在り方に批判的に言及する部分があってもよかったのではないか。
また、PKOの権力拡大の是非なども検討したいポイントであった。 -
著者は実務家出身の教員。そのため自分が経験した事柄が中心ではあるが、一般化とのバランスが割と取れていると感じる。
本書の要点をいくつか。現代の戦争は、国際化したものも含めた内戦が多いこと。和平交渉に誰が参加するかという「包摂性」の問題において、まずは主要な当事者に絞るべきこと。グローバル大国や周辺国が、表面上は国連の調停努力を支持しつつも実際には相反する行動を取る「国連の濫用」。国連には限界もあるが、和平合意後の「平和構築」の段階では中心的な役割を担えること。
また本書全体を通じ、著者の主張自体にもバランスが取れていると感じる。自衛隊によるものも含めて軍事や警察の役割と、外交努力を共に論じる。グローバル大国や周辺国の行動の重要性と、国連の力と限界を共に指摘する。国連万能論にも無能論にも与していない。 -
歴史的事実を追うという意味ではこれ以上ないくらいしっかりまとまっている。
それについて既に知っている人にとっても、しっかり整理する機会になる。
国連の濫用という概念は端的に現状が示せていると思う。 -
んー
第6章 日本だからできること
については、ちょっと陳腐な内容すぎる印象 -
テレビ局・国連・大学に身を置きつつ一貫して内戦後の「平和構築」にかかわってきた著者が現場からレポート。戦争克服の可能性を探る
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紛争解決の難しさよ
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東2法経図・6F開架:B1/5/2576/K
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319.8||Hi