入門 開発経済学-グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション (中公新書 2743)
- 中央公論新社 (2023年3月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027436
作品紹介・あらすじ
21世紀に入った今でも世界は悲惨さに満ちている。飢餓、感染症、紛争などに留まらず、教育、児童労働、女性の社会参加、環境危機など、問題は枚挙にいとまがない。開発途上国への支援は、わたしたちにとって重要な使命である。一方で途上国自身にも、ITを用いた技術による生活水準の向上など、新たな動きが生まれつつある。当事者は何を求めているのか、どうすればそれを達成できるのか、効果的な支援とは何か――これらを解決しようと努めるのが、開発経済学である。その理論と現状を紹介し、国際協力のあり方、今こそ必要な理念について提言する。
感想・レビュー・書評
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戦後はじまった先進国から途上国への援助が、その理想に向かってどのように変わってきたかをコンパクトにまとめている。ただ最近の「自国中心主義」「SDGs」に現れる反理想傾向に熱く憂いていて共感できる。
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【請求記号:333 ヤ】
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333-Y
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貧困で苦しむ中で特に不利な状況の人々、国際経済、政府開発援助のルールと現状など、包括的ながら分かりやすい。途上国での技術革新導入や、また東・東南アジア及び一部のアフリカ諸国における先進国へのキャッチアップを見ると、被援助国であれ、もはや単に遅れた国とは見なせない。ワクチンの知的財産権などは先進国内の課題でもある。著者は、先進国と途上国の完全な二極分化は必然的ではない、とする。
著者は、20世紀に比べ、現在は国際開発において批判や理想が後退し、国益や現実がより全面に出ているとの方向転換に柔らかい筆致ながら批判的。この指摘が最も強調すべきことである、とすら述べている。著者の批判自体への当否はともかく、興味深い方向転換だ。 -
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