戦後教育史-貧困・校内暴力・いじめから、不登校・発達障害問題まで (中公新書 2747)
- 中央公論新社 (2023年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027474
作品紹介・あらすじ
ここ30年間に不登校児童数といじめの報告件数は、小学生で5.2倍と46倍、中学生で2.5倍と6倍、特別支援教育対象児童は、15年間に小中学生ともに3倍近い。少子化にかかわらずだ。本書は深刻な混迷の中にある日本社会と教育の歴史を辿る。なぜここまで行き詰まったのか――。貧困、学校紛争、日教組、財界主導、校内暴力、政治介入、いじめ、学級崩壊、発達障害の激増など、各時代の問題を描きつつ、現在と未来の教育を考える手掛かりとする。
感想・レビュー・書評
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姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB00003635
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日本の戦後教育史を記述した本。
とても参考にはなるのだが、なんかしっくりこない。。
確かに現場の教員たちや子供たちが疲弊しているのは報道されているとおりなのだが、この本を読むと戦後教育に関して体制側が常に悪い選択をし続けてきたようにしか読めなくて、そんな誤り続けてこの80年弱?やっていけるわけないだろ、、と思ってしまう。随所随所での選択は確かに誤ってる点は多いとは思う(学力テストのくだりとか、特別支援教育のくだりとか)のだが、その選択がどんな意思決定プロセスで、どんなメリットデメリットを勘案したうえで、なぜそう至ったか、という経緯が分からないから、何もかも誤っているように読めてしまう。
曲がりなりにも経験を積んだ有識者などが検討を経ているプロセスなのだから、そんな日本教育を悪い方向に持って行こうとして政策を選択しているわけないのに、その部分の記述がないから、なんかしっくりこない。(教育に関して、門外漢だし、そもそも現場を知らないからこんなこと言えるのかもしれないが、、)
何となくなんだが、この筆者が目指している教育の理想像と、国が進めようとしている教育ビジョンがそもそもずれているから、このしっくりこなさがあるのだろうか。そもそもここの大方針がずれているのだから、随所随所の政策を切り出したら、悪い選択をし続けて来たようにしか見えないのかな。だとしたら、国が一体どんな方針で、どんなビジョンで進めようとしているのか、それと筆者の教育の理想像がなんなのか、というところをまず掴み取らないといけないような気がする。
当然筆者の述べる教育の形は理想ではあるし、素晴らしいと思うんだけど、それを国としてやるとなった場合に、人的リソース、物的リソース、関係者間の調整含め、現実的に可能なのかと思ってしまう。教育は思想信条も関わる上に、関わってくる人も多種多様であり、あまりにもカオスな気がする。そこを学校・政権が全て担うのは、果たして可能なのか…? -
戦後の教育について、人権保障や障害を通して通史的に学ぶ事が出来た。
個人的には日教組の所が面白かった。
とりあえず、日本の教育は新自由主義によって列に外れた人を一般から疎外してしまう。そうゆことは辞めて寛容に生きようぜ!って事かな?
いじめの加害者も社会の被害者。だからそいつらを一方的に出席停止にするのはおかしい的な論はなんか違うと思った。
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T.N
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【請求記号:372 コ】
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【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/563937 -
登録番号:142098、請求記号:372.107/Ko48
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特別支援教育への眼差しが多分に含まれているのが、同種の教育史本と違う特徴ということになると思う。全体として資料が新聞(特に読売)が多いのが気になるが、時代の空気感は伝わる。教育行政だけでなく現場感も分かる。