帝国図書館――近代日本の「知」の物語 (中公新書 2749)

著者 :
  • 中央公論新社
3.79
  • (5)
  • (9)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 273
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121027498

作品紹介・あらすじ

近代国家への道を歩み出した明治日本。国家の「知」を支えるべく国立の図書館、帝国図書館が作られた。しかし、その道のりは多難であった。「東洋一」を目指すも、慢性的に予算が不足し、書庫は狭隘で資料を満足に保管できなかった。戦時には資料の疎開にも苦しんだ。そのような帝国図書館に、人々はどのような思いを抱いて通ったのか。本書は、その前身の書籍館から、一九四九年に国立国会図書館へ統合されるまでの八〇年の歴史を活写する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 国立図書館構想により誕生した帝国図書館の変遷が解説されている一冊。
    日本における図書館についての説明から始まり、書籍館、国立図書館構想、帝国図書館の紆余曲折、そして国立国会図書館設立まで扱われています。
    文部省博物局に設置された書籍館を帝国図書館並びに国立国会図書館の源流と位置付け、施設から館長や司書官・司書長や書記などの人員についても詳細に研究されています。
    とても難い内容ですが、司書として大変勉強になりました。

  • 長尾宗典『帝国図書館――近代日本の「知」の物語』目次|negadaikon|note
    https://note.com/negadaikon/n/n56f7e7609e44

    帝国図書館――近代日本の「知」の物語 -長尾宗典 著|新書|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/shinsho/2023/04/102749.html

  • 国会図書館に吸収合併されるまで。帝国図書館としては、国会図書館になったのは不本意だったのか。帝国からはや80年近く。昭和の御代から明治維新に近い時間だからこそこうやってまとまったのだろう。大正期の話が割と少ないのは意外だった。

  • 1897年帝国図書館設立→1947年国立図書館→1949年国立国会図書館に統合
    納本制度
    1893年出版法:製本2部を内務省に届出べし
    日本在来の文庫→西洋のライブラリーとの出あい→図書館
    国立国会図書館の蔵書数・約4622万点(2021年末)
    1875年5月東京書籍館開館
    1877年5月東京府の所管・東京府書籍館に改称
    1880年7月東京図書館に改名
    1887年:八門の図書分類
    甲部・乙部・丙部
    田中稲城のアメリカ留学→改革
    明治20年代:全国的に新たな活字コミュニケーション→読書社会
    関東大震災:区立図書館で10万冊焼失
    東京帝国大学・付属図書館は全焼
    松本喜一:民衆化・国際化・社会化→利用者本位
    第二次世界大戦での疎開:長野市→飯山高等女学校→終戦
    総司令部の民間情報教育局・CIE
    1961年支部上野図書館
    2002年国立国会図書館支部国際こども図書館

  • 「東洋一」の図書館を目指すも、予算不足に悩まされ続けた。その前身の書籍館から、国立国会図書館へ統合されるまでの八〇年の歴史。

  • 現在の国立国会図書館の源流である帝国図書館をその成り立ちから紐解いていく1冊です。淡々と年代順に事項を並べるような形式ではなく、主には帝国図書館を形作っていった様々な人たち(働いていた人たち、利用した人たち、帝国図書館のありように影響を与えた人たち)の書いた文章を通じて生き生きと描かれていき、とても楽しく読むことができました。

    図書館で働く者のはしくれとして、国立国会図書館の昭和戦前期までの所蔵状況や納本制度の実態については以前から興味があるので、そういった実務的な観点からも、本文や引かれている文献などが今後の業務上の参考にもなりそうだと思いました。

  • 明治初期に設立された「書籍館」からはじまり、その後、「国立図書館」になり、戦後に「国立国会図書館」として統合されるまでの歴史を辿る。

    声の大きなやり手の図書館長が理想と強い決意の元、うまく立ち回ればすべてなんとなかるというものでもなく、あるタイミングでの、時局や政治的背景、活字メディアの発展状況、そして利用者側である人々のリテラシーの成長具合など、複数の要素が絡まっており、図書館のありようや状況がその都度、振り回されている様がひしひしと感じられて、読みながら歴史ドラマだなぁと思いました。
    関東大震災で次々大きな大学図書館や公共図書館の書物が燃え尽きる中、国立図書館の蔵書はほぼ燃えなかったのは良かった…。

  • 国際子ども図書館にチェコの絵本の展示会を見に行ったとき、この場所はもともと何だったのか気になっていましたが、国立国会図書館以前の帝国図書館でした。1897年4月スタートの帝国図書館は内外古今の図書記録を蒐集保存し、閲覧参考の用に供することを目的とし、その機能は上京への憧れになるほどでした。東京帝大、京都帝大の蔵書数より少なく、それでも閲覧室利用の6割が学生生徒だったようです。戦中は蔵書を戦火から退避、時に避難所となり、戦後は占領地からの略奪本の返還。紆余曲折あって図書館機能のみならず、場所柄、施設設備、人事、運用面での変遷もまた興味深く読みました。

  • 大戦前の、日本の図書館の歩み。
    そもそも、図書館とは何か、誰にとってものか、目的は何かが関係者毎に違っていたり、熱い想いと気合の一方、無理解だったり予算がつかなったり、省庁の引き合いがあったり、本当に手探りやってんなと思う。

    図書館の、社会的使命の重さ。

    なんかなー、図書館戦争とか、ワンピースのオハラとか、知性化戦争のライブラリー協会とかぼんやり考えながら読んでいた。

    惜むらくは本の構成が年表みたいなもんで、情報としてはともかく読み物としてそう面白いものとは感じなかった。
    利用者側の状況とか、もっと分量割いてもらってもよかったかな。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

長尾宗典1979年群馬県生まれ.筑波大学第一学群人文学類卒業.筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科歴史・人類学専攻単位取得退学.博士(文学).国立国会図書館司書,城西国際大学国際人文学部准教授を経て,2023年より筑波大学人文社会系准教授.専門は日本近代史,思想史,メディア史.著書に『〈憧憬〉の明治精神史』(ぺりかん社,2016年),共著に『近代日本の思想をさぐる』(中野目徹編,吉川弘文館,2018年),『官僚制の思想史』(中野目徹編,吉川弘文館,2020年)などがある

「2023年 『帝国図書館――近代日本の「知」の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長尾宗典の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンデシュ・ハン...
E.H.カー
ヨシタケシンスケ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×