- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027658
作品紹介・あらすじ
仏の国土である浄土に往生し、悟りをえて成仏を目指す浄土教。浄土宗、浄土真宗、時宗などが属し、現在信者数が最も多い。なぜこれだけ多くの信仰を集めたのか。本書は、物語の力に教えの広がりの源泉を見る。衆生を救うため誓いをたて阿弥陀仏になった法蔵菩薩の「法蔵説話」、家庭不和を主題とする「王舎城の悲劇」など経典に書かれた物語、法然や親鸞ら宗派の祖師伝を読み解きながら、その思想の本質に迫る。
感想・レビュー・書評
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浄土思想とは、念仏である「南無阿弥陀仏」は誰でも、いつでも唱えれる言葉で「阿弥陀仏」と一体になっている事で悟りを得て仏になれると言う、こと。現代版「歎異抄」が分かり易い。現代の宗教思想とは、多くが宗教的拠り所というよりむしろ精神的な面へとシフトしている、という。本書は素人にはかなり難しく理解し難いが、人の心・悩みがもっと現実的な心理療法等へ願いを求め始めており、更に今後生成AIでの説教など精神安定法話等にも進展するかもしれない。
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東2法経図・6F開架:B1/5/2765/K
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浄土教ないし浄土思想についての概説的入門書です。
法蔵菩薩のエピソードや浄土三部経についての簡単な説明のあと、中国仏教における浄土思想のなかで、善導に焦点をあてて解説がなされています。つづいて、日本での浄土教の展開に移り、源信、法然、親鸞のほか、法然の弟子のひとりである證空についてある程度ページを割いて解説がなされています。
著者は、浄土思想にかんするさまざまな物語がもつ力に注目することで、過去から現在にまでおよぶ浄土思想の意義を把握することをめざしています。そうした著者の姿勢は、浄土教の非神話化を推し進め、近代以降に哲学者たちによってその思想の意義がさまざまに論じられた親鸞をあつかうさいにも一貫しており、後世の親鸞伝からそうした方向へと考察が展開されています。
近代以降では、みずからの宗教的体験にもとづいて浄土教への帰依を語った近角常観や、精神分析の分野で「阿闍世コンプレックス」を提唱した古澤平作、そしてマンガ『ブッダ』の作者である手塚治虫などがとりあげられています。
浄土教についての、比較的幅広い視点に立って解説をおこなっている本といえるように思います。 -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/568289 -
身内などの法事や旅行先の寺院巡りなど、普段接する何気無い宗教行事だが、あまりにも無知を感じて読んでみる。おかげで少しはお経の中身に興味が湧いてきた。
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登録番号:0142354、請求記号:188.6/I97
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浄土思想の歴史 思想史がよくわかった
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周囲のお薦めで読んでみたけれど、これが専門外の方が書いたのかと思うくらいまとまっていて深みのある内容だった。
初期仏教からの流れで七高僧、そして法然上人、そのお弟子たち、そして親鸞聖人、果ては近代真宗についても触れられる壮大かつ丁寧な内容であった。
親鸞聖人の部分については、これはいろんな見方が出るところかなと思うが、それは自分が真宗中心だからそう感じるのかなとも思う。
物語でしか分からないわたしたちという大きなテーマがある。そうだなと感じる。ただ、物語のその向こうを感じていくことをしたいのだよ!!ということもある。物語でこれでいいではない。そういうことも思わされた。
これが大正解!ということではないけれども、まさにきれいな概略となっているのではないだろうか。あっという間に読めた。
一度俯瞰して浄土教を見てみるためにもお薦め。