山県有朋-明治国家と権力 (中公新書 2777)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121027771

作品紹介・あらすじ

明治国家で圧倒的な政治権力を振るった山県有朋。陸軍卿・内相として徴兵制・地方自治制を導入し、体制安定に尽力。首相として民党と対峙し、時に提携し、日清戦争では第一軍司令官として、日露戦争では参謀総長として陸軍を指揮した。枢密院議長を務め、長州閥陸軍や山県系官僚閥を背景に、最有力の元老として長きにわたり日本政治を動かした。本書は、山県の生涯を通して、近代日本の興隆の光と影を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 意外と民主的?

  • 坂の上の雲が正岡子規と秋山兄弟で明治の上り坂を描いたのだとしたら、昭和の下り坂への入り口までを追える人物は山県有朋なのであろう。小説の主人公にはなりにくい人物だが、新書の形式での評価評論はなじみが良い

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/803370

  •  自分の山県イメージどおりの部分、イメージが少し変わった部分がある。利益線、軍事と権力外交重視の思想、藩閥・官僚閥あたりは正に従来のイメージ。
     一方、ある程度は政党勢力に対し柔軟。また士族の政治的軍隊を脱した徴兵制の官僚的軍隊建設、大臣現役武官制は内閣機能の強化とセット、帷幄上奏権の拡大制御といった点に見える、「天皇の軍隊」であると共に政治との分離は、従来イメージと異なった。「公」を重視し私的利害=政党政治を嫌うというのは、その時代には一つの思考だっただろう。
     しかし、後世から見ると結果論だろうが、軍自体が政治主体として振る舞うようになると、この制度設計はどうだったか。また山県の「往々にして日本の国力の限界を超える軍備構想」がその後日本に何をもたらしたか。
     更に明治末期から大正、国内では次第にデモクラシーが肯定され、国際的には軍事中心のむき出しの権力外交の旗色がやや悪くなる時代、山県の思考は時代遅れではなかったか。山県閥の中でも少し下の世代、開明派の桂太郎や「立憲主義的軍人」児玉源太郎はやや路線が異なった。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5/2777/K

  • 【請求記号:289 ヤ】

  • 第1章 政治的自我の形成ー長州藩での台頭/第2章 近代的国民軍の建設ー一八六八~七八年/第3章 明治国家揺籃の時代ー一八七八~八七年/第4章 総理大臣、枢密院議長/第5章 権力の老練な操り師ー一八九五~一九〇〇年/第6章 懸崖に臨むー日露戦争/第7章 明治の終焉ー一九〇五年~一二年/第8章 世界政策、デモクラシーとの対峙ー一九一二~一八年/第9章 君主制の動揺とその死/終章 二一世紀に召喚される山県

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著者プロフィール

北九州市立大学教授。

「2011年 『上原勇作日記 大正六年~昭和六年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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